オートマ限定



※おことわり

このコラムは掲載当時(2003年)時点での内容となっています。

大型二輪のオートマ(AT)限定免許には、制定当時、排気量に上限(650cc)がありましたが、
2019年12月に撤廃され、
全ての排気量のATバイクに乗れるようになりました。



車の免許には、オートマ(AT)限定と言うものがあるのは、ご存知と思います。
クラッチ操作の要らない車だけが運転できる、アレです。



最近のファミリーカーでマニュアル(MT)仕様って、ほとんど無いですもんね。



スポーツカーをお持ちだとか、MTじゃきゃヤだ、とこだわる方や、
仕事などでMTのトラックや商用車を運転することが無いのなら、AT限定でも十分ですし。



ただ、AT限定で免許を取ったら、本来の車を動かす大変さがわかりませんよ。
適当に運転されそうで、それはそれで怖いですわ。
だからMTの車も運転してみてほしいところ。


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けれども、
単純に移動の手段として車を考えた場合、運転は限りなく楽なほうがいい、そう思うでしょう。


だったらAT以外には考えられませんね。



教習所で免許を取るなら、教習時間もAT限定のほうが限定なし(つまり、MT)より2時間短いうえに、面倒なMTのクラッチの練習も不要。
モチロン料金も安い(差額は平均して2万円と聞きました)。
いい事ずくめやん。




それに対して、バイクの免許にはAT・MTの区別がありませんでした
かつての125cc超のバイクは、大半がクラッチ付。だから区別などする必要もなかったのでしょう。


でも、現在のバイクのカタログをみると、あるわあるわ、中型・大型のATバイクが。


※ここで言う「ATバイク」とは、スクーターのことを指しています。


ホンダのフュージョン、フォルツァ、フォーサイト、シルバーウィング、
ヤマハのマジェスティ、T−MAX、
スズキのスカイウェイブなど目白押しです。



126〜250ccクラスで、35%がATバイクです。

51〜125ccの小型クラスに至っては、
AT、セミAT
(クラッチ操作不要のMT…「スーパーカブ」などがそうですね)のバイクが90%を占め、
純粋なMTの車種は限られています。



現在、51cc以上の「自動二輪車」全体でのAT比率は、5割強にもなるんですよ。
半分ですよ、半分!!



にわかに信じられません。
ビッグスクーター・ブームの火付け役になった、ヤマハのマジェスティが出た頃は、単なる流行りと見ていましたが、
今や立派なバイクの「1カテゴリー」にのし上がってアグラをかいてます。
そのうち、バイクもATが主流になってたりして(笑)。
バイクも移動の手段に成り下がるのかなぁ…。




それはさておき、スクーターやセミATバイクしか乗る予定が無くても、
教習所で新たにバイクの免許を取るとなると、
クラッチ付のMTバイクで教習を受け
させられたものです。

郵便局で勤めることが決まった友人は、セミATの90cc・「郵政カブ」に乗るためだけに、
わざわざ教習所で普通二輪免許を取ったと言います。

こんなの、どう考えても無駄でしょう。


いわゆる「自動二輪免許」を持たない人の6割が、
バイクのAT限定免許を必要と考えていた
んですから。



僕は、クラッチ付のMTバイクで教習を受けなくてはいけないことが、
バイク乗りへの道を遠ざけていた
ように思います。



え、どうして「いた」って過去形なんや、って?


それは、やっとこさ、ケツの重たい警察庁が動いたからです。




遂に、普通二輪・大型二輪免許にそれぞれ「AT限定免許」を設ける方針が決定、
2005年6月に施行されました。


新設される二輪のAT限定免許は、

大型(650cc以下)、
普通(400cc以下)、
小型(125cc以下)

の3種類。
技能教習時間はMT二輪より短縮され、

大型29時間(MT36時間)、
普通15時間(MT19時間)、
小型9時間(MT12時間)

となっています。



ようやくか、といった感じですが、これでより目的に合わせたバイクの免許を取得することが出来るようになり、
結果、バイク人口が増えるやも知れません。
大歓迎です。
でも、バイクが増えて事故などが多発するようではいけませんので、教習はしっかりやってもらいたいものです。



ただ、原付の場合、試験場で受ける事前講習で使うバイクはスクーターですので、問題ないでしょう。
教習所で普通免許の教習を受ける際にも、原付の講習があるはずですしね。(見たことありませんが(^^;))



逆に原付免許・普免ライダーでMTバイクに乗る予定の人には
クラッチ操作の講習をしたほうがいいのでは…。

免許を取っても、半クラの感覚を取得するのは手間だと思いますから。


それに、最初にも少し書きましたが
「バイク → スクーター → 簡単に乗れる ∴オモチャみたい」と思われたくないですし。



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AT限定がスタートしてから1年間で、2万6000人がAT限定二輪免許を取得。
全ての自動二輪免許取得者の7.5%にあたり、
小型限定(125cc未満)では40%超と高い比率となりました。



AT限定は小型のバイクでこそ生きてくるものと言うのが はっきり数字に現れましたね。



  あ、そうそう、2008年にホンダから発売されたセミATスポーツスクーター「DN−01」は、排気量が680ccです。
  AT免許の許容最大である650ccを越えているため、大型二輪AT限定では運転出来ません。



参考:



京都新聞 2003年5月29日付
「ビッグマシン」 2003年7月号
共同ニュース 2004年4月9日付
産経web 2006年7月6日付
JAF Mate 2019年12月号

 

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