四つ葉とチョウチョは勇気のしるし




運転免許って、五体満足でなくても取得できます。

たとえば、手が不自由だったら、足でハンドルを操作できるように改造した車なら運転OKとか、
足が不自由だったら、手でアクセル操作が出来るように改造した車なら運転OKとか…。



そういった身体障害を持つ方々が運転されている車には、
「四つ葉のクローバーのマーク」が貼られています→ 


これらの車に対して 幅寄せしたり、割り込みすることは法律で禁止されています。

(それ以前に、そういうことを平然とやってるヤツが、人としてどうかしてると思いますが。)




身体障害を持つ方々にとって、車こそが移動の手段の要だと思うんですよね。


ですけど、免許を取得出来ない条件というのは、今でもいくつか残っています。


年齢が若すぎるとか、薬中毒者とか、重度の知的障害があるとかは別にして、
目が見えない方…これは申し訳ないですが、どうしようもないですね。
口が利けない方…は、筆談で会話が出来ればOKとなっています。
耳が聞こえない方…も 免許取得が出来ませんでした。

周囲の音が聴こえないと危険だというのです。



果たしてそうでしょうか。
窓を閉め切って、音楽バンバン鳴らしながら運転して、踏み切りの警報音が聞こえずに遮断機の下りてる踏み切りに突っ込んだり、
緊急走行の救急車が迫ってきてるのに全然気付いてなくて、進路のジャマばかりしたり。

そんな人が運転してもいいのに、耳が聞こえない人が運転してはいけないのは何でなんよ?
そう思っていました。



が、今年(2008年)6月に道交法が改められ
それまでの「補聴器をつけて10m先の90デシベルのクラクションの音が聞こえること」の条件を満たさない
重度の聴覚障害者も車の運転が可能となりました。

運転するに当たっては、後方視野の確保と死角解消のために、
幅の広い「ワイドミラー」を取り付け、聴覚障害者標識をつけることとなっています。

ちなみに聴覚障害者標識を付けずに運転すると2万円以下の罰金、もしくは1点・4000円の反則となります。 

この標識、チョウのように見えますが、耳を組み合わせてチョウのようなデザインにしたそうです。




改正道交法施行後2ヶ月後の 2008(平成20)年8月に、
早くも聴覚障害のある方の免許取得第1号が誕生しました。


新潟県に住む41歳の画家の男性→ http://muyukobo.blogspot.com/

この方、47都道府県を全て訪れた旅好きで、
「好きな場所へ行けて別の世界を感じられる」車の運転に魅力を感じていたそうです。


「追い越し」の言葉の意味が理解できないなどの苦労もあったそうですが、初受験で合格。
さっそく自宅周辺をドライブし、「リラックスして運転できた」とか。


障害者だって幸せに生きて欲しい。そういう意味での社会進出は喜ばしいことです。


と、言うのか、彼らのほうが僕たちよりチャレンジャーではないのか、と。
持っている不自由さ(件の男性は生まれつき耳が聞こえないので、「不便を感じたことはない」らしいですが…)を乗り越え、
克服していく姿は、パラリンピックを見てるとよく分かるでしょ。


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しかし、取得できるのは普通免許のみで、さらに運転出来るのは乗用車のみ
トラックや貨物車、普通免許のオマケである原チャも運転出来ません。



この男性の次の夢は「法律を変えてバイクに乗る」とか。


力強い言葉です。


バイクの免許をもってる方が事故等などで身障者になった場合
免許更新時にバイクの免許だけを取り消されることがあり、
一度取り消されると、たとえバイクに乗れる体に戻れたとしても、バイクの免許の再取得は不可能とか聞いたことがあります。
この辺がいかにもお役所らしい(笑)。


バイクは車輪が2つでバランスを取るのが難しいから免許を与えることに慎重なのでしょうね。
けど、そんなの程度の問題でしょう。
健常者が決める問題ではない。一律に禁止してるのはナンセンスです。



いつか、全ての方がバイクを操る楽しさを享受できる日が来ますように。



参考資料:毎日新聞 2008年9月30日付朝刊



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※2012(平成24)年より、すべての二輪免許と小型特殊免許における聴力試験が廃止され、
 聴覚障害者のバイクの運転が認められました。


※また、同時期に貨物車(トラック)についても、
 死角を写す補助ミラーかワイドミラーの装着を条件に聴覚障害者の運転が認められました。


※2016(平成28)年より、補聴器をつけて聞こえる方は、二種免許の取得も可能になりました。