斜め後ろは見えてない!




かつて、免許を持ってない頃、僕のゲタといえば自転車でした。
どこへ行くのも自転車。これが最高の乗り物と信じてやまなかった時代がありました。


そして高校〜予備校生だった10代後半に自転車のピークを迎え、
大学生になるのと同時に中免(現在の普通二輪)を取得し、バイクの道を歩んで生きます。


で、
自転車時代には全く考えもしなかったのに、バイクに乗り出してわかったことがあります。



「死角」の存在です。


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前へ走っているのに、同時に後方からの車両にも気を払わなくてはならない。


↑こんなこと、自転車に乗りながら考えたりしませんよね。



だって、自転車が追い越す対象は歩行者くらいですし(僕はその自転車をも追い越してましたが(笑))、
車やバイクからは抜かれる一方。
後方からそれらが来ても、そのエンジン音で存在を察知し警戒し、必要なら後方を振り返って確認すればいいからです。
出せる速度も知れてますから、それで十分 事が足りるんですよね。(下り坂は別ですが…。)



ところが、車やバイクの世界ではそうもいきません。
自転車の時と違って、人間の肉体のみで出せる速度を大幅に上回る猛スピードで走り、お互いに抜きつ抜かれつです。
右からも左からも追い越し追い抜きがあります。一瞬たりとも気が抜けないはずです。



このような1秒間に何十mと進む乗り物から、車線変更するときなどに
「後続車が来てるかな〜」などと悠長にキョロキョロして前方を見てなかったら、
街中いたるところで大事故
が起こっちゃいますよ。



と、いうことで、わざわざ後ろを振り返らなくても後方が見えるアイテムとして、
車体の両サイドにバックミラー(車には、プラスしてルームミラー)がついてるわけです。



はぁ、やっとこの単語へ誘導できた。



便利ですよね、これ。
バイク/車乗りになって、後方確認の重要性を実感したと同時に、
何で自転車にはバックミラーがついてないのかと思うようになりました。
いまでもたまに自転車に乗りますが、ついクセでバックミラーがあるだろう場所に目が行きます。
それくらいバックミラーが大切な存在なんですよね。



そして、自転車では一々振り返らないと後方が見えないことに面倒くささとイラ立ちさ、
振り返ってる間 前方が見えないことに不安を感じます。
そんな経験ありません?



僕は交通社会に乗り出してしばらくの間は、バックミラー(ルームミラー)が後方すべてを映す出す万能の鏡だと思っていました。



大間違いでしたね。

映らない場所があるからです。

それを死角と呼んでいます。


この存在は、本当に厄介ですよ。


自分が前方の車の死角に入ったり、または後続車が自分の車の死角に入ったりすると、
ミラーだけに頼っていると「後方には車は無い」と見落とすわけです。


死角の位置は、自分の真横から斜め後ろに広がっています。



写真で見てみるとこんな感じ。↓


前方にLEAD、その左後方45°の位置にDioがいます。
LEADの最後部と Dioの最前部の距離は、1m半くらいです。

そして、LEADにとって、Dioの位置が死角と呼ばれるところです。



LEADから真横を直接目視してもDioは見えず、
バックミラーにも全く映っていません。

Dioから見たLEADの死角の位置関係→



つまり、盲点。


このDioの位置に入るのは、すなわち「死」です。


斜め前方の車両が自分の存在に気づかず突然車線変更などをしてきたら、接触してしまいますし。



僕も、死角に入ってる車に気づかず車線変更しようとして、ヒヤッとしたことは何度かあります。
だから、出来るだけ素早く、なおかつオーバーアクションに首を振って斜め後方を直接目視し、
死角を補ってやってます。



そうはいわれても、自分が死角に入ってるか分からない…って方には、前方車両のミラーを見て下さい。
そこに運転者の顔が映っていなければ、その場所が相手車両にとっての死角です。


死角の広さは、 バイク < 乗用車 < トラック・バス と車体が大きくなるに従って広くなります。



さらに、着座位置の高いトラックは、車体のすぐ左下と、前方右左角、車両の後方も死角。
見えない位置がてんこ盛りありますので、すり抜けには十分注意して欲しいです。


それを防ぐため、
トラックなどの大型車にはアンダーミラー・コーナーミラー・安全窓・バックモニターが付いてるわけですが、
それでも完璧ではないです。



だって、運転してるのは人間なんですから。

あ、「安全窓」って聞きなれない言葉かも知れませんが、


トラックの助手席より低い部分の視野を確保するために、5t以上のトラックを対象に
助手席の窓の下に設けられている小窓のことを言います。(右写真)


左折時の巻き込み防止事故の多発を受けて、
日本自動車工業会が1978(昭和53)年以降の新車への設置をメーカーに要請したものです。




 好き好んで人の死角に入るのが好きな方もいるみたいですね。
 白い鉄馬に乗ってる人とか(笑)。
 卑怯者〜デカいバイクのってるんやったら正々堂々と勝負しろ〜!




参考:
道路反射鏡協会(どんなモンにでも「協会」ってあるものなんですね(-_-;))
http://www.dhk.gr.jp/

毎日新聞 2012年10月2日付夕刊