オーバーアシスト自転車



最近、自転車に乗ったのはいつですか?


バイク乗りになるまでは、自転車でどこでも行っていた僕ですが、
一度エンジンつきの乗り物に乗ってしまうと、人力で走るのが、だるくなってしまいました。
他の皆さんもそうでしょう。


さらに車に乗るようになると、近所へ行くのでも車で出かけ、歩くことすら面倒になってるのではないでしょうか。


僕も年齢を重ね、何もしないでいると、体力が衰えるのを感じるようになり、
最近は、近距離は意識して自転車や徒歩を使うように心がけています。
状況にもよりますが、家から1kmのJRの駅周辺くらいまでなら歩きますし、2〜3kmくらいなら自転車も利用してます。
健康にもいいですし、何しろカネが掛からないのがいいですよね。
たまに、自販機に吸い寄せられ、うっかり120円も使ってしまうこともありますが(笑)。


学生時分は自転車で10kmくらい走っても、平然としていました。


さて、そんな自転車、免許も要らずお手軽です。
そして安い。ママチャリなら1万円もしませんしね。
でも、↑にも書いたとおり、ちょっとでも楽に走りたい。
そこで、ママチャリでもミッションを組みこんで3段変速などが登場。


我が家に3段変速ママチャリが来た当時小学生だった僕は、
そのころ流行っていた22インチの似非スポーツタイプ6速オコチャマロード自転車に乗り、
すでにギアチェンジの便利さを享受していましたので、
ママチャリの3段変速など…と思った節がありました。


けど、今から思えば、3段変速でも十分世の主婦の助けになったのでは…。
前カゴに買い物袋をいっぱい乗せると走り出す最初のひと漕ぎが重いですからね。
重心も前に偏りハンドルも取られやすいですし。
それが軽いギアに変えると、スムーズに走り出せるのですから。


僕が今乗ってるマウンテンバイクは、前3速、後ろ7速の21段変速です。
急な上り坂から平坦路で飛ばすのまでオールラウンドにこなせます。


けれど、いくらたくさんギアが付いていても、肝心の動力は人力100%ですし、
低速ギアだと上り坂がラクな代わりに、たくさん漕がないとスピードが出ません
体力の乏しい方なら、かえって疲れてしまうでしょう。
車やバイクのローギアでエンジンをいっぱい回してもあまりスピードが出ないのと同じ。
↑の場合はガソリンを大量に消費してしまいます。



結局、低速ギア走行は効率が悪いということです。



これをなんとか解消したい、そこで考え出されたのが電動アシスト自転車です。
いつもと同じ漕ぎ方でも、自転車に内蔵されたモーターが補助してくれることで、坂道でも楽に走れるようにしたのです。



最初にメジャーデビューしたのが、ヤマハの「PAS」。1993年のことです。
Power Assist Systemの略の名をつけられたそれは、ママチャリのメインフレームに、
デカいバッテリーとモーターをつけた、見るからに重そうな代物でした。
ところがどっこい、これがスムーズに走るのです。衝撃的でした。



でも、値段も普通のママチャリの数倍もする(当時)ので、こんなもん売れるか!と思っていました。
それは、体力が有り余っている僕の考え。
世間では爆発的に売れ、バッテリーやモータの小型化、高性能化、低価格化が進み、今や、ありふれた存在となっています。



僕も1度だけホンダの電動アシスト自転車・ラクーンに乗ったことがあるのですが、
不用意に強くペダルを踏み込むと、軽くウィリーします。

それもそのはず、15km/hまでは、人力に対するアシスト比率は1:1
つまり、漕いでる力と同じだけアシストしてくれるのですから、実際には倍の力で走り出すことに。
そりゃウィリーもするやろう。


15km/h以上になるとアシスト比率が徐々に下がり、
24km/h以上ではアシストがゼロ…つまり人力のみの普通の自転車と同じになります。
実用的な速度域では、常にアシストしてくれるわけです。


電動アシスト自転車を売り出す際、公安は難色を示したと言います。
「モーターの力で走れるのならバイクに該当する」と。
ですが、

・人力で漕いているときだけアシストする(=自動で走るわけではない)
・一定速度以上ではアシストしない


の2条件でもって、かろうじて「自転車」として認められた経緯があります。



ところが、先日の新聞にこんな記事が載っていました。




海を挟んだ西の大国では、都市部で車が普及しだしたとはいえ、
今も自転車がメインなのはTVなどでよく放送されるので知ってるかと思います。
そのために、自転車の種類も豊富なようです。



その流れでいけば、電動100%(「フルモード」と言うらしい)で走る自転車が登場するのはごく普通の成り行きでしょう。
で、「電動自転車」で検索してヒットしたサイトでそれを見てみると、
問題の電動自転車は、外見上、日本で見かける電動アシスト自転車そのままです。
見分けがつきません。黙ってたらほぼ確実にバレへんな(笑)。
ですが、そこに書かれていたユーザーの感想のひとつを転載しておくと、


今までの自転車と比べると(比べるのがおかしいかもしれませんが)いや〜、スゴイもんです。
もう自転車が勝手に走ってくれてるようなもんです。これじゃ運動にもならんですよ。



↑それって、普通、自転車とは言わんやろう。
自転車の形をした別の乗り物と言うべきやね。


HP上でも何度も取り上げている通り、
日本では100%電動の二輪車は「バイクと定義される」
ですよね。
このサイトの隅っこに、一応小さな字で、

公道でのフル電動モードでのご使用は、おやめください。
・フルモード走行
出来ます


とか逃げ口上がされていますが、

ユーザーの感想と矛盾してるやん。
電動自転車も、「電動アシストモード」か、普通の自転車のように人力100%で使えば問題はないのでしょうけど、
楽をしたいのが人間の性。


「フルモードの連続走行はバッテリーを著しく損傷する」と警告がされてても、フルモードで走りまわるに違いありません。
あっちこっちで交通事故が起こってしまいそうです。


でも、個人的には乗ってみたいなぁ。2万5000円なら、国産の電動アシスト自転車より安いし。



参考資料:毎日新聞2005年6月21日付朝刊