本州〜九州・海底浪漫ウォーク




トンネルというと、どういうことを連想しますか。
陰気くさいとか、狭いとか、無機的とか、夜に一人で歩けないとか、お化けが出るとか…。

マイナスイメージばかりが付きまとうなぁ。



当HPでも、過去にトンネルをメインにしたコラムを2本お届けしていますが、
どちらも心霊スポットがらみですしね。



僕も全国各地の大小様々なトンネルをくぐってきましたが、
このたび、最も楽しく通り抜けられたトンネルに出会えましたので、報告がてらコラムにしたためようと思います。




山口県下関市北九州市門司(もじ)を隔てる
関門海峡
を訪れました。


初めて海峡を目にしたときの率直な感想は「幅狭っ!」

本州と九州ってこんなにも近いのかと。



あ、写真の右端の丸っこく黄色い物体は男前のHP主宰者です(*´∀`)





短い距離しか電波が飛ばないPHSですら、
山口県側で北九州市の電波を、福岡県側では下関市の電波を拾ってたくらいですからね。


そのくせ日本海と瀬戸内海を繋ぐ海上交通の要所なので、
でっかい貨物船から小型のモーターボートまで、多数の船舶がジャンジャン行き交う光景は異様でア然としていました。

そりゃ海上管制(※外部リンク)も行われて当然やろし、たまに船同士がゴッツンコして大惨事になったりもするわ。


そういう何かと忙しそうな海の下に今回の主役があります。



関門トンネルです。



このトンネルは2階建て構造になってまして、

上側は原付2種以上のバイクと車の専用道路(車道)、
下側は歩行者、自転車、原付1種の専用道路(人道)なんです。
海底トンネルは数多くあれど、人が歩ける海底トンネルは 世界で唯一、関門トンネルだけです。



大学時代からの友人「脇(仮名)」と自転車でくぐってまいりました。



え、原チャのHPなのに原チャで行ってないのかって? 
京都からここまで自走で行く元気がありませんねん orz

下関で昼間からフグ料理を堪能した僕たちは、

海峡の最も狭いところにある「関門トンネル人道入口」へとやってまいりました。
ちなみに料金は右写真のとおり。

料金を支払いたいけれど、10円玉を切らしている僕と 小銭が全く無い「脇」。
お賽銭方式ではおつりが出ないではないか。


少し迷った挙句、僕が2人分として50円玉を料金箱に投入。10円は募金や(笑)。
ここからエレベーターに乗って海底にあるトンネルへ!!
乗り場も海岸をイメージしてあるようで、ワクワクさせられます。
階床表示を見てると、だいぶん深いところへと向かっているようや。
海面下 約60mにあるトンネル入口に着くと、広いエレベーターホールがあり、
その横にトンネルがぽっかりと口を開けています。


人が行き交うには十分な広さのトンネル。
そしてトンネル内部も海をイメージした色彩で彩られていますし、何しろ明るい!
歩いている人たちもなんだか楽しそうです。

僕が知っているトンネルのイメージとは全く違う世界が広がっていました。お化けなんか出そうにないで(笑)。




長く延びる直線。トンネル中央部に向かって緩い下り坂になっているので、
「脇」が自転車に乗っていったら楽でエエやんと跨りました。


あ、アカンで。「乗ったらアカン」って(地上)入口に書いてあったやん。

そう言おうとする僕よりも早く「脇」が漕ぎ出した瞬間




「自転車は乗らないで押して歩いてください」




トンネル中に響き渡る大きな声。



反射的に自転車から降りる「脇」。
声の主はあちこちに設置されたスピーカーでした。辺りを見回すと監視カメラだらけ
僕たちのルール違反はバッチリ見られているのです orz



トンネル内は乗車厳禁

自転車はもちろん、
原付もエンジンを切って押して行かなくてはならないんです。


下り坂はいいけれど、後半の上り坂をバイクを押すのは結構な労働と思いますけど。
まぁ、あの空間でエンジンをかけたら空気が汚れるやろなぁ。




その後も2度、同様の警告アナウンスが流れてました。
あんな放送でトンネル中の衆目に晒されたら、誰かってマジメに押して歩くわ(恥)。



県境でお約束の写真。同様のことをしてた人も多数(笑)。




天候に左右されないのでウォーキングしてる人もいました。
雨の日とかならいいけれど、今日みたいな晴れてる日まで単調な景色の直線道路の往復していたのでは飽きてこないのかと。



空調(?)も利いているのか、暑くもなく寒くもなく。
ただ真上が車道なので、大型車やバイクのエンジン音などが人道内に響いていました。
車道の床が抜けたりしないやろなぁ。




ゴールデンウィークのさ中だったからかもしれませんが、通行人がやけに多かったです。そこいら中で記念写真を撮ってるし(笑)。
やっぱり海の下を歩けるってのは他のトンネルにはない魅力やからね。



トンネル延長は780m所要時間 約13分で対岸の門司側に到着です。


こちらも下関側と同様のレイアウトのエレベーターホールと、
同じサイズのエレベーターが設置されていまして、

一瞬同じところに戻ってきたのかと狐につままれた感じを受けました。
どうせなら両側で異なるデザインにして、本州と九州の違いを出してみても良いだろうに。





またエレベーターに乗り地上へと脱出。



すぐ向こうにはさっきまでいた下関が見えているので、
海をくぐってきたという感覚や本州と九州を跨いだという感慨はほとんどなく、
僕たちは早々に門司の街を目指してペダルを踏み込んだのでした。



関門海峡を挟んだ両都市は観光でタッグを組んでいますので、
自転車か原チャがあれば両方を気ままに満喫できますよ〜。




(注)車道は24時間通行できますが、人道の営業時間は6時〜22時までです。
徒歩や自転車や原付で対岸へ出かけて夜遊びが過ぎると帰れなくなりますぜ(笑)。