「最後の晩餐」




アンディ・ウォーホル
その名を知ったのは、布袋寅泰氏の曲で、でした。


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絵画を鑑賞するのが好きで、よく美術館に足を運んでいます。

特に好きなのは洋画…油彩ですね。粘っこい絵具のコッテリ感や光沢感を伴い表現されるのがいい。
日本画も好きですよ。岩絵具や墨絵、金箔なども用い、すっきりと澄んだ色合いや濃淡、金属感などが美しい。



ひとたび美術館に入ると、一つ一つの作品をつぶさに鑑賞するので、展示数の少ない展覧会でも入って出てくるまでh(1時間)はザラ。
大規模なものになると会場を何周もし、その度にさっき見た作品の中の見落としに気づくのです。



もともと一人で行動するのが好きですけど、美術館は特に誰をも連れ添うことなく、一人黙々と静かな館内を行ったり来たりしています。
僕の見かけからすれば全然似合いませんが(汗)。




で、冒頭に名を出しました、アンディ・ウォーホル。
アメリカの芸術家で、独特の構図の絵やコラージュ・デザイン画をたくさん輩出してまして。
…ということを知ったのは、美術館で氏の大規模な展覧会が催されたからなんです。
それまでは布袋氏の曲名の中だけの存在でした。
名称からして人間だろう(失礼)と察してましたが、それがどこの誰が何をしたかも知らなかったんです。




布袋氏の曲でその名を知ってから30年近く経ち、その生い立ちを知った僕。
でも、それだけでは美術館に足を運ぶことはなかったでしょう。僕の好きなカテゴリの絵画とは外れてましたから。
それなのに作品を見に行ったのは、新聞の展示案内に載っていた一枚の作品だったのです。







会場の京都市京セラ美術館に行って驚いたのは、
氏の作品が撮影自由で、会場内でお客さんらが普通に会話していたことです。

最近美術館巡りをしていて気づいたのは、会場内での写真撮影どころか、写真のSNS投稿もOKのところが少なくないのです。

美術館というと著作権保護等により撮影厳禁・咳払いさえ響く静かな空間で鑑賞する…が当然の決まりだった時代からすれば、
主催者の意向により鑑賞スタイルは大きく変わりました。








何もかも保護よりも、お客さん自身が好きなものを世に広めるメリットが大きくなったのでしょうね。

ただ、模写は禁止、会場内での筆記具は鉛筆のみ…なのは、やはり作品保護のためなのか。






ご多分にもれず、ここでも長時間作品を一つ一つ眺め、ときに会場内を行ったり来たりしながら、徐々に進むと、そこには











294.6×990.6cmの巨大な絵。大きすぎて、どうアングルを変えても写真に納まりません。

作品名は「最後の晩餐」。そして氏の最後の作品でもあります。



「レオナルド・ダ・ヴィンチの同名の作品を解体し現代的な要素が加えられている。
複製画の伝統に縛られず大胆かつカラフルでパターン化や反復が見られ、様々なロゴや記号にあふれている」
(作品解説より)



そして、僕がアンディ・ウォーホルの作品を見たかった最大の理由は、展示案内に掲載されていた
この作品に描かれた3台のバイクです。


特徴的なDOHCエンジンに4本出しマフラー、そしてタンクのロゴっぽい模様。
ホンダの初代CB750Four?
いや、ヘッドライトとシートと5本ホイールを見ると、カワサキの80年代のZシリーズにも見えてくる…。




どちらにしても日本のバイクには間違いないでしょう。自国のバイクではなく、日本のバイク。




人生の最後に氏はなぜキリストとバイクを同じキャンバスに描いたのか。
僕は、「最後の晩餐」に値し偉大だと語っていると思いたい。


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※布袋氏とアンディ・ウォーホルの接点についてはこちらをご覧ください。
読んで納得がいきましたが、僕ごときの文章力ではとても説明しきれません。

翠波(すいは)画廊様
「アンディ・ウォーホルを歌った曲〜デヴィッド・ボウイから布袋寅泰まで」
https://www.suiha.co.jp/column/andyworholwoutattakyoku/