消せないんです




「あのバイク、ライト点けたまま走ってるぞ」

かつて、僕のバイト先のオッちゃんが、昼間なのにヘッドライトを点けて走っているバイクを見て、そう言いました。


街中で走っているバイクをよく観察してると、なるほど、大抵のバイクは昼間でもライトを点けて走っています


車で、昼間にライト点けたままにしてたら、対向する車が「ライト点いたままやぞ」って意味の「パッシング」をしてくるでしょう。


でもね、今のバイクはライトが点きっぱなしになるように 作られているんです。
「常時点燈方式」、略して「常点(じょうてん)」って言うバイク特有の仕組みです。



バイクは交通社会の中では、小さい乗り物です。
大型のバイクでも、車の中では小さい存在なのに、
ましてやコンパクトな原付になってしまうと 車からは見落とされかねませんよね。
それで、少しでもその存在を周りにアピールするために「常点」を取り入れたわけです。
90年代半ばからバイクメーカー各社が採用し出し「バイクは昼間もライトオン」がキャッチフレーズになりました。



その後、98年4月以降に生産されたバイクに対し、
エンジンが動いている時に、ヘッドライトを消せる装置を付けてはいけない(つまり、点けたままにしなければいけない)」
と言うふうに道路運送車両法の保安基準が改められ、「常点」はバイクのスタンダードに上り詰めました。



勘違いされると困るので付け加えておきますが、「バイクの『常点』は義務ではない」のです。
もともとヘッドライトスイッチが付いていて、
ライトを消すことが出来るバイクまで、「常点」する必要はないということです。



古いバイクは「常点」することを想定して作られていないので、常に点けっぱなしにしてしまうと、
消費電力がかさんで、バッテリーに負担がかかるそうです。
当然ライトを付けたままセルモーターを回すなんてご法度です。



「常点」が標準になっているバイクは、当然そのあたりが解消されていますし、
エンジンスタートと同時にライトがつくようになっているなど、
おりこうさんになりました。


ただし、現行モデルの「最初からヘッドライトスイッチの付いてないバイク」に
ライトスイッチを後付けして、消せるように改造すると、
違法改造になります。



僕、車にも乗りますが、「常点」のお陰で、後ろから来るバイクが わかり易くなってありがたいです。
僕の「相棒」は年季が入っているので、ライトスイッチが付いています。
車の少ないところでは消していますが、込んで来たときや、「すり抜け」をするときなどは、昼間でもライトオンするようになりました。
自分の身を守るためにも「バイクは昼間もライトオン」!!