正体を現わした「Lite」原付




※このコラムでいう「原付」とは、原付免許で乗ることのできるバイクのことを指します。


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いつ発表するのやろう…と思っていたら、先陣を切ってホンダが発表しました。
次の時代を担う原付についてです。




今年、2025(令和7)年11月からの排気ガス規制の強化により、
現行の国内大手メーカーの50ccのバイク…原付の生産がすべて終了します
(→「原チャForever」)。


それに代わるものとして「新基準原付」なるものが法律で公布され、4月より施行されていますが、
メーカーは沈黙を保ったままだったんですね。


「新基準原付」とは、

今後新規に生産される、50cc超125cc未満で最大出力が4kW(≒5.4PS)以下のバイク

と定義されていまして、原付免許で乗ることができ、税金やナンバーの色も原付1種となります。
(→「シン・原チャ」)




で、排気ガス規制強化まであと半月となって、ようやくメーカーが詳細を発表した次第でして。




(c) 京都新聞


スーパーカブ110Lite
スーパーカブ110プロLite
クロスカブ110Lite
Dio110Lite


の4車種です。


「Lite」って名は、ノンオイリーのシーチキンライトみたいで安直(笑)。


では、公表された仕様を見てみましょう。

  スーパーカブ110Lite スーパーカブ50 スーパーカブ110
排気量
(cc)
109 49 109
最高出力
(PS/rpm)
4.8/6000 3.7/7500 8.0/7500
最大トルク
(kgf-m/rpm)
0.70/3750 0.39/5500 0.90/5500
燃料消費率
(WMTCモード)
(km/L)
67.5 69.4 67.9
シート高
(mm)
738 735 738
車両重量
(kg)
101 96 101
価格
(税別)
31万円 27万円 32万円



 

Dio110Lite

TACT(比較用)

Dio110

排気量
(cc)
109 49 109
最高出力
(PS/rpm)
5.0/6000 4.5/8000 8.7/7500
最大トルク
(kgf-m/rpm)
0.77/3750 0.42/6000 0.92/5750
燃料消費率
(WMTCモード)
(km/L)
56.6 58.4 55.6
シート高
(mm)
745 720 760
車両重量
(kg)
95 79 96
価格
(税別)
21万8000円 17万5000円 22万8000円
(Dioベーシック)



これって、既存の125ccのエンジンを高回転まで回らないようにリミッターで抑えただけじゃないの?

つまり、事前の噂通り現行の125cc(原付2種)モデルのデチューン版ってことかな。



そういう仕様だと考えたら、
トルクの太さから、出足や加速は125ccと遜色ないでしょうし、
フツーに車の流れをリード出来そうですよ。
パワー不足で、道の端っこを申し訳なさそうに走る必要ないですね。

やはり、今までの原付と別物のバイク。羊の皮をかぶった狼です(笑)。

だけど、法定速度は30km/hのままやし、そことのジレンマに苛まれるかもしれんけど(苦笑)。


お値段はベース車両寄りで、既存の50ccよりも高くなってしまいます。

デチューンといっても、Dio110Liteは「本家」よりもシート高を15mm下げて足つきの良さに配慮しているとのこと。


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実際のところ、国内にしかマーケットが無く、生産コストがかかり利益も大して出ない、法的な縛りもキツい原付を作るメリットなんてメーカーには無いと思うんです。
それでも原付のカテゴリを出すのは、メーカーとしての責任を感じてるんでしょう。
原付を運転できる免許を所有している人は約8170万人(2024(令和6)年)もいるんですからね。
潜在的なマーケットは確実に、ある。


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2スト→4スト→125cc/4kW化と「進化」する原付界。
今後どのようになっていくのでしょうね。

僕はとりあえず新基準原付でブイブイ言わせてみたい(笑)。




参考資料:
運転免許統計
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/r06main.pdf

ホンダ「新基準原付」各ページ
https://global.honda/jp/news/2025/2251016-cub110lite.html
https://global.honda/jp/news/2025/2251016-dio110lite.html

記事引用:
京都新聞 2025年10月17日付朝刊