ATVで行く、宮古島のんびり旅




2008年3月14日。
沖縄離島一人旅の最終地、雨の宮古島を傘を差しとぼとぼ歩く僕。
目指すは「ATV宮古島」。

ニポンでも数少ない(だろう)、ATVをレンタルさせてくれる専門店です。


ATVとはAll Terrain Vehicleの略で日本語では「全地形走行車」
右下の写真のようないわゆる四輪バギーのことで、
排気量は50cc、車の普通免許で運転可能な乗り物です。


宿から小一時間も歩き、靴に水が染み込み、足元が気持ち悪くなった頃、ようやく店に到着。
早速借り、店のブログに載せるという写真を撮ってもらいました。
それがこれ。カッパを持ってきておいて良かった!


24時間のレンタルで、早速走りに出たかったのですが、
雨の中、慣れない乗り物を運転して事故でも起こしてはつまらないですので、
葛藤と戦いながら「明日は晴れますように」と願ったのでした。




3月15日。5泊6日の沖縄離島旅、最終日の朝。
前日の一日中降り続いた雨が上がり、青空が広がっていました。
ATV日和です。

前日に雨の中を小一時間も歩いてレンタルしに行った甲斐があったというもんです。
これから飛行機の時間まで思い切り走るどー!




宿のお兄さんに
ここ(宮古島)の紫外線は本土の倍くらいの強さなのでUVケア必須ですよ」の忠告を無視し、
日焼け止めも塗らず半袖シャツを着て、出発。
後に激しく後悔することになります。



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旧・平良市街は地方都市の中心地的な街並みですが、
それを抜けてしまうと、のどかな風景一辺倒になります。

宮古島は、三角定規の直角の頂点を左下に持ってきたような形をしていて、
島の南西に来間島(くりまじま)、北に池間島という共に橋でつながれた小島が。
南東に東平安名岬(ひがしへんなざき)という岬があります。
今日まで沖縄の島めぐりをしてきた僕です。当然この2つの島にも訪れる義務があります(笑)。




空港に立ち寄り荷物を空港のコインロッカーに押し込んで身軽になった僕は、まず南西の来間島へ向かいました。
最初はぎこちなかった操作も慣れてきて、徐々にスピードアップしていきます。
と言っても35km/hくらいしか出てないんですけど(笑)。
ま、車も大して走っていませんので、車が来たらさっさと停まって道を譲ればいいだけの話。




気温も程よく、天気はバツグン。初夏の風を体いっぱいに受け、気持ちがいいです。
この日差しが僕のムボービな地肌を蝕んでいるなど、露ほどにも思わず…。




宿で頂いたマップを片手に とことこ進みます。
おや?まだ10kmほどしか走っていないのに、もうガソリンのメーターが下がり始めてるやん。

本当に燃費悪そうやなぁ。

店の人の「ガソリンスタンドを探しながら走ることになりますよ」の言葉どおり、
この日だけで4回も給油しなくてはいけないハメになります。

僕もガス欠が怖くて、「行きたい場所」や「走りたい道」ではなく
ガソリンスタンドのあるルートばかり選んでいた気がしないでもない(笑)。




アクセルレバーをしっかり押し込まないとスピードが乗らないので、右手の親指がだるいのなんの。
また2サイクルエンジンですのでエンジン音がかん高く、静かな島に騒音公害を撒き散らしています(笑)。

来間島を結ぶ来間大橋です。お約束で記念撮影
気に入った一枚をキメるまで何枚も取り直したのはいつもの事や(笑)。
しかし、雨上がりの影響か海の鮮やかさが物足りなく、パッとしない風景で。



この小さな小島には絶景が拝めるスポットがあるらしく、
所々にある案内標識を見ながら進むも、それがデタラメで道に迷うorz
観光客を困らせるために作ったのかと勘ぐりましたよ。



そして、良さげな定番の展望台もスルーしてしまい、そのまま島を出てしまうorz
何のために来間島に来たのか分からんやん(-_-;)
気を取り直して、宮古島に戻り、島を東へ。
南側の海沿いは、ムイガーと呼ばれる断崖絶壁
東平安名岬まで数kmにわたって続き、迫力と荒々しさが同居しています。



ここでもキメキメ撮影。



飛ばしたくなるような道が続いていますが、
僕の乗っているチビマッチョはMAX45km/hです(涙)。
とは言えスピード感は十分にあります。

なぜかって?着座位置が低いからですよ。




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気持ちよく走りつつ、ミラーを見ると、
いつの間にか、僕を先頭に数台の車の集団が出来ていました。
あらま、ご丁寧に遅い僕にペースを合わして下さっていたんですね。


スミマセン、ちょっと避けますね。お先にどうぞ〜(譲)。
と、やや減速し道の左端いっぱいまで寄って身振りまでして道を譲っているのになかなか抜いてくれません。
仕方なく停車すると、ようやく追い抜いてくれました。




やり過ごして少し間をおいてから、再び走り出したら、じきに集団の最後尾に追いついてしまった(笑)。
その集団は、明らかに遅いやろ、な速度で一糸乱れず走っています。



この速度が宮古島の標準だと気付くのに さして時間はかかりませんでした。
地元の車は、こちらがイライラするほどゆっくりなんですよ。
その上に、島はほとんど平坦で坂が少ないので、なおさら非力なATVが受け入れられるんでしょうね。


時間の流れもゆっくりですし、夕方に乗る飛行機の時間ばかり気にしてる自分が、
「何を慌ててるの?」といわれてる気がして、小さい存在に感じました。



多分何とかなるやろ。小さな島やし。気楽に遊ぼ。


で、こんな看板発見。
沖縄弁(琉球語?)は全く理解できません(涙)。





東平安名岬は、島から2kmほど細長く突き出た先にあり、観光バスやレンタカーが多数停まっていました。




えーと、ATVの駐車方法はこれでよろしいですか?(堂々) 




そこの出店でお昼ごはんに「宮古そば」(ソーキそばみたいでした)を食べていると、
横に座っていた三重県と北海道の親子の旅行者が雑談中。


耳をそばだてると、

「地元の車が遅すぎる。(レンタカーの)私たちはついついスピードが出てしまい、気付けば70km/hとかも出ていた
etc.etc.


旅行者の視点からの地元の車は、やっぱり遅いのだということが証明されました(笑)。
言わずもがな、僕の目からもレンタカーはすぐに分かりましたよ。
ちまちま走行の僕をためらうことなく抜いて行きますから(笑)。



かなり飛ばしたくなる道が多いのは確かです。見通しがよく、直線的ですので。
でも、ここは のんびりの島。郷に入れば郷に従えで、余裕持って島の風景を楽しむのもよいかと。




出発のとき、観光客の皆さんの物珍しそうな視線が剣山の上を歩かされてるかのごとく突き刺さりまくり。
そんなに見ないでください!
ひとり照れながらプスンプスン走り去りました。いい歳こいた男がなに照れてるんだか(笑)。
バスや車より、こっちの方が面白いですよ〜。



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ここから一気に島の最北端まで走り抜きます。
本当は東海岸を走りたかったんですけど、ガソリンスタンドが無いので、内陸部を疾走(してるつもり)。



見渡す限りのサトウキビ畑です。
ATVの背景に合わせてみました。どうです?自然いっぱいの感じが出てるでしょ。

♪ざわわ〜ざわわ〜ざわわ〜(著作権の加減で以下歌詞略)




再び島の中心部を通り抜け、最北端、池間島へ!
地元の車はほとんど走っていませんので、暴走レンタカーに気を払いさえすれば、
一休さんのトンチのように、道の端ではなく真ん中を堂々と走れます。



島の最北端、狩俣漁港が左手に見えてきました。
普通、港といえば、無機的でくすんだ雰囲気がありますが、
この港、なんと、桟橋のところまで海水がエメラルドグリーンです。

こんな光景、ありえへん…。ここ漁港じゃなくてプールじゃないの?と思うほど美しいのです。
潜ってみたら色とりどりの熱帯魚とか居そうです。
写真を撮らなかったのはどうしてやろうと、今になって地団駄ふんでます。




池間大橋を渡り、池間島に入ったところにオミヤゲ屋さんや展望台があります。
浅黒く日焼けしたオッチャンがサトウキビジュースを売っています。
目の前でサトウキビを絞り機にかけ、コップに注いでくれて100円。安い!


注文ごとに絞りたてを提供してくれます。正真正銘無添加。
色は黄土色なので見た目がアレですが、飲むと濃厚な甘さが体を貫きます。
それでいて市販のジュースのようなクドさはありません。
サトウキビ100%パワーがみなぎってきます。


僕のために絞ったのが余ったので、オッチャンが「飲んでくれ」ともう1杯頂けました。
沖縄の銘酒、泡盛を入れて飲むと更においしいそうです。
うう、ATVに乗ってきてなければ、ぜひとも味わいたかった…(下戸のくせに)。




池間島の最北端まで行きました。しかし、灯台があるだけの殺風景な場所でした…。




じりじりと帰りの飛行機の時間が迫っています。
日が暮れるまで遊んでいたい気持ちでいっぱいですが、返却に戻らなくてはいけません。
悪あがきのように、海沿いを走りまくり、飛行機出発の1時間前に「ATV宮古島」に帰還。


6時間で128kmを走りました。
店のお兄さん曰く、24時間レンタルでは140km走ったのが最高と聞き、その記録を塗り替えたかったと笑いを取って
沖縄離島めぐりは終了したのでした。




しかし、宿のお兄さんの忠告を無視したがために、腕も顔も日焼けで真っ赤。痛いのなんの。
教訓:南国の日差しを舐めてはいけない(笑)。いやマジで。




実用燃費は24km/L。言われていたより良い燃費でした。
その代わりスピードがなぁ…。



ちなみに、僕は乗車時はずっとヘルメットをかぶっていました。
バイクの怖さを知っているだけに、いくら合法といえどもノーヘルで乗る気にはなれませんでしたわ。