「五山送り火」総なめプロジェクト



京都のお盆を彩る「五山の送り火」。

お盆の入りに帰ってきていた御霊が、あの世に帰って行くのを、
京都盆地の北側にある山々に「大」「“妙”“法”」「舟形」「左大文字」「鳥居」をかたどった
巨大な炎の造形を掲げることで見送る、宗教行事です。

あくまでも宗教の行事なんですよね。

なのに、京都市は「21世紀へのカウントダウンイベント」として、2000年の大晦日に、五山の送り火を灯しました。
御霊を見送る炎を、イベントの一言の名の下に点けてもいいのか?と
議論が沸きましたが、結果論としては良かったとは思います。

毎年、真夏の暑い夜に見ているのものを、防寒具を着て見るのが、ある意味新鮮である意味違和感を感じました。
お盆以外に五山の送り火が公式に灯ったのは、それだけです。

冬の夜にどこかの学生共が大文字山に登り、京都の街に「懐中電灯で大文字」を灯した事はありましたけど…。


それはさておき、今年も8月16日20時に「五山の送り火」は、京都の夜に浮かび上がりました。
でも、送り火の5種類6文字を全部見られる場所は年々減り、僕の知っている限りでは、
京都タワーや京都駅ビル、京都ホテルの屋上などなど、数少なく、しかも有料で、
殆どの「見所スポット」ですら、3文字くらい見えていい方です。

我が母親曰く、「昔は実家の前に建ってる6階建てのビルの屋上からでも全部見られた」そうですが、
背の高いビルが乱立する今となっては、それも無理な話。

でも、やっぱり全部見たい!
僕と我が母親は思いました。

そこで原チャの登場。バイクで走り回って全部見て回ってやろうと もくろみました。
母親はLEAD50で19時45分に、僕は弟のDioで19時50分に家を出発。別行動です。

なんで「相棒」を出動させないんかって??
渋滞にはまったら、すり抜け出来ひんやん。
結果として原チャで行って正解でしたけどね。

これより下の文章は、ここをクリックして、走行地図を表示させ、対応させながら読むと分かりやすい…かも。
点火は20時。山科区の自宅から西向きに走り、
山を越えて京都盆地に入ってから、送り火が見える最初の地点まで約5km
しかも、点火から僅か20分で送り火は消される≠消える)ので、かなりキビシイ時間。


20時0分三条通りから山を越え、一番近いポイント、平安神宮付近に到着。
すでに、見物客がワラワラいました。
そこからは、斜めに見える「大」が夜空に浮かび上がっていました。

ああ、今年も夏の終わりがきたんやな…。
バイクを道端に停め、ほんの数秒間だけ見入って、すぐに鑑賞モードから覚め、出発。時間との戦いですからね。
白川通りを北上しながら、右手に建物の隙間から見える「大」をよそ見しながら、Dioで爆走。

警察官は沢山いますけど、雑踏警備に追われて、
無謀な走りをしてる僕にまで気が回らない
様子。

そうなりゃ、僕の天下や!
なんてってったて、時間との勝負なので、制限速度がどうのこうのとか、走ってるクルマの間をすり抜けしたら危ないとか言ってられませんからね。
今晩だけ、許す!(笑)


一気に白川北山まで北上して、北山通りを西に向きます。
この通り沿いからは、「“妙”“法”」が、それぞれ すぐ間近に見えます。

だから、それを目当てにしている車で渋滞し、歩道は歩行者であふれかえり、
歩道を追われたチャリは車道を堂々と走り、雑踏警備の警察官はいない、まさしく僕の大好きな無法地帯と化していました。

僕と同様の考えを考えをもった、バイク達も大量発生。
でも、渋滞した道ではデカいバイクは走りにくそう。
勝ったな。ふはは、原チャは無敵やー!


北山通りを西向きに走ると、先に「法」が、続けて「妙」が見えます。
進行方向の車道は、「法」を見たチャリ野郎が「妙」を目指して車道を走っています。


ジャマじゃーーーー!!!
クラクションを鳴らしまくりチャリ野郎を蹴散らし、なおかつ、クルマの間をすり抜け、右手間近に見える「法」、「妙」を見ました。
本当に間近で、山で火を焚いてる人まで裸眼で見えそうな距離
美しい…いや、近すぎて、文字には見えない。


母親はこのとき、一本南の北大路通り高野交差点から「妙法」をいっぺんに見たそうです。そっちのほうがよかったなぁ。

よっしゃ、コレで半分や!
時間は20時20分。一番最後の「鳥居」にも点火される時間。急げ!

さらに北山通りを西へ。
加茂街道がホコ天になっていて通れないので、堀川北山から堀川通りを北上、
上賀茂御園橋から御園橋通りを西に向き、船岡山へ。

船岡山「舟形」が灯っているのが辛うじて見えました。山に近づきすぎたのがハッキリ見えなかった敗因でした。

玄琢(げんたく)から南を向き、千本通りを経由して、千本北大路から北大路通りを西へ。
千本北大路から「左大文字」が見え始めました。

大渋滞が起こっている、北大路通りと西大路通りの接続するL字カーブをショートカット(重要)し、
西大路通りに出て南下。
金閣寺付近〜丸太町通りの円町までの西大路通り沿いは、ずっと「左大文字」が見え続けます。

そのために、北行きの車線は大渋滞。
南にいけば行くほど、点描された「大」が、ちゃんとした文字に見え、文字通り夜空に浮かんで見えます。
南向きの僕はDioのミラーに「左大文字」を映しながら走りました。
うーん、京都に住んでよかった!と思える数少ない瞬間でした。


そして最難関、「鳥居」へ。
「鳥居」だけは、灯している場所が他とは離れていて、なおかつ低い山肌に灯るので、見にくいんです。


円町の交差点を西へ。ひたすら丸太町通りを走りつづけます。

20時40分嵐山に近づいたところで、ぽつんと灯る「鳥居」を発見。

この瞬間、目的を全て果たし、ホッと一息ついているところへ、LEADに乗った母親が突如現れました。

約束していたわけでもないのに、バッタリ出会って、お互いに驚きましたよ。
「鳥居」が見える場所を人に聞いてここに来たということでしたが、偶然も偶然。それが一番嬉しかったですね。
でも、時既に遅し。「鳥居」はフェードアウトし、夜空に溶け込むところでした。

母親も、僕とは違う場所でそれぞれを見たようです。
飛ばして走っていた僕と大して時間を違わずここまで来たということは…、やっぱり血は争えないと言うことですね(笑)。


ここまでの50分間、バイクに乗りっぱなし・走りっぱなし。渋滞する道を緊張しながら走ってた糸がぷっつり切れ、疲れが出ました。
お尻も痛かった(笑)。
カメラを持って行ってましたけど、撮ってるヒマもありませんでした。
ま、写真に撮ったら後で見られるから、印象に残らなくなるのでは、とも思いますし。


丸太町通りを引き返し、円町から西大路通りを南下し、五条通りを東へ。
母親の実家に立ち寄り、家に帰ったのは21時半でした。

走行距離もチェックしてないんで、正確にはわかりませんが、まぁ、30km位でしょう。
それから考えた燃費は、リッター20kmを大きく下回ってます。
全開で走り倒したからねぇ。

こんだけ前を見ないで、横見たりミラーを見たりよそ見しながら走ったのは初めてやなぁ。
よくぞ、どこにもぶつけず帰ってこられたなぁ!(笑)


それが終わると、京都もようやく秋の気配を迎えます。

ところで、最初に、「五山の送り火」は御霊の為のものと書きました。
だから、送り火に向かって手を合わせるのが礼儀(?)なんですよね。
お年寄りの方が山に向かって手を合わしているのが印象的やった、と我が母親は申しておりましたが、
僕は、手を合わせずに帰ってきてしまいました

罰をあてないでくださいm(_ _)m