「赤カブ」ライダー



おことわり:この文章に出てくる郵便局の職種は、
郵政民営化どころか、郵政公社移行以前の国家公務員時代のものです。
現在では違う名称になっています。悪しからずご了承ください。


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♪今日だけは 神さまのこと みんな信じてる
 よい年で ありますように 何かおこりそうな お正月♪




「ユニコーン」のマニアックな曲を つい口ずさむ、新年が 無事やってきました。
元旦からショッピングモールなどが営業している(←先陣を切ったのは ダイエー)し、
仕事上、年末年始の休みが短いので、年々お正月モードを感じなくなっている僕です。

それでも新年は新年。いつもとは違う日ですよね。

大晦日に 300円しか当たらず、暴れた人(その中の一人に、おれも含まれてる(-_-#) )も、まあまあ、抑えて。

新年のたのしみといえば…


初日の出
初詣
新春の特番
お年玉(僕はもらえません。やる立場です(/。\) )
新年会(←忘年会をしたばっかりでしょ?(笑))
etc.etc……。



僕の楽しみは、なんと言っても、年賀状です。
今やその形態もインターネットで出す、ペーパーレス年賀状(年賀メール)も盛んですが、
やっぱり、年賀ハガキのが一番です。

「1月中旬にある、お年玉くじの抽選が 楽しみなだけじゃないのか…?」 って声も聞こえてきて…。
…なんやて?! おれが送った年賀状、返してもらおか!



期間限定で、HP上にも年賀状を掲載していますが、僕の郵政メール版年賀状は、小学生の時から、あるスタイルを守っています。
それを楽しみにしている方もおられるので、がぜん年賀状作成に 力が入ります。



その、年賀状を始めとする、郵便配達に使われている、郵政カブ(以下「赤カブ」)について あれこれ書いてみようと思います。

学生時代、郵便局の年末年始のバイト(ゆうメイト)に 3年連続行った経験があり、

高校生が「郵政チャリ(赤チャリ)」に郵便物をしこたま積み、えっほえっほ走ってるのを横目に、
「赤カブ」でビシバシ走りまくっていました。

大好きなバイクに乗れて、給料がもらえる(時給1000円!)のだから、文句を言えやしませんよ。



ただ、当時は、郵便物を配達するだけが仕事なんて、虚しいと思ったものでした(失言)が、
住民から「ご苦労様です」と言ってもらえるのが嬉しく、励みでした。




「ゆうメイト」で赤カブに乗ってる人は、全員高卒以上で、
なおかつ「普通二輪・小型限定」以上の免許を持っている人に限られます。
当然、僕は「赤チャリ」には1度も乗ったことがありません。

「赤カブ」と呼ばれているバイクは、その名のとおり、ホンダの「スーパーカブ」をベースに作られていますが、
実は、同じような形で、ヤマハの「メイト」をベースにした「郵政メイト」と、
スズキの「バーディー」をベースにした「郵政バーディー」があります。

僕の通っていた某郵便局は、殆どが「赤カブ」でしたが、1台だけ「赤メイト」がありました。



当然、郵便配達用に設計されているので、ベース車輌とは異なる点が幾つもあります。

・タイヤが14インチ

スーパーカブを始めとする、ビジネスバイクは、17インチのタイヤを履いているのが普通ですが、
タイヤを小さくすることで、郵便物を積む位置を低く出来(それだけ、取り出しやすくなる)、
フロントに郵便鞄を置いてもヘッドライトに懸からなくて済む、
乗り降りがしやすいなどの利点があります。

(ホンダの14インチバイク「リトルカブ」って、「赤カブ」からアイデアを頂戴したのでは?)
・グリップヒーター

寒い時期の配達は、これが重宝します。暖かさもハイとローの2段階調節機能付き

配達する時は、
右手でアクセルとフロントブレーキを操作し、左手に郵便物の束を持ちます。
左手は手袋をしていますが、郵便受けに郵便物を投函するために右手は素手で、親指に指サックをすると仕事がしやすいんやね。
そのときに、グリップヒーターの恩恵をしっかりと受けます。と言うか、無いとやってられん。

普通のバイクにも標準装備して欲しいわ。
電力をそれだけ食うので、電気系統も強化されているみたいです。

・郵便鞄置き

フロント部の、カゴを据え付ける場所に、郵便鞄を置く場所がしつらえてあります。
ただ置くだけでは落っこちてしまうので、バイクと鞄の両方に 引っ掛ける金具がついています。
・ボテ箱

後ろに積んでいる、赤い大きな荷箱のことです。
最近モデルチェンジして、雨や盗難から郵便物を守る、「上フタ」が付きました。
僕の時代には無かった代物なので、使ったことはありませんが、かなり機能的なようです。バイク便が使ってる荷箱よりいい!
これも欲しい。

 

また、赤カブは黄色ナンバーの90ccが大半ですが、原付仕様の50ccのもあります。
たまに、赤文字のナンバーがありますが、それは免税車輌だそうです。



原付仕様は、郵便配達用ではなく、貯金・保険のセールス用の模様。
なぜ、そんなことが言い切れるのかというと、

郵便配達をする、「郵政外務」職の人は、
採用日に、「普通二輪・小型限定免許」以上を所持していることが条件
だからです。



郵政外務をしている友人が採用された際、バイクの免許を持ってなかったので、教習所に走ったと言ってました。

貯金・保険・郵便局の窓口や郵便物の仕分けをしている人は、「国家公務員第III種」の職員なので、
「郵政外務」とは採用区分も、職種も違うんです。

さて、90ccの「赤カブ」を乗り回した僕の感想は、
なんて乗りやすいんや! につきます。

もう、何年も前のことなのに、はっきりと思い出せるくらい印象深かったんです。


4サイクルエンジンで、6.5馬力、0.7kg・m と数字上、非力に見えますが、
低速域に高トルクを発生するように調節してあるみたいで、出足はスムーズ。走りも軽やか。
3速ロータリー式MTに、スクーターと同じ「自動遠心クラッチ」を採用してるので、クラッチ操作不要。
郵便物を左手に持ったままでも、坂道発進も楽々。

最高速は そんなに伸びませんが、スピードを出す乗り物ではないので、これで十分です。
と 言うか、実用性重視なので、飛ばすと危ないと思う。

タイヤが小さい分小回りがしやすいし、重心も低いので、どっしりとした安定感があります。

サイドスタンドの位置が絶妙で、走行中にブレーキをかけながらスタンドを左足で蹴り出し、
停車と同時に、降車、及び 郵便受けに投函する動作に移れ、時間の短縮になります。

肝心の燃費もちゃっかりチェックしました。
ゴーストップが多い「赤カブ」のこと、実用燃費はかなり悪く、リッター25km程度でした。

この文章を書いている、2002年暮れ。
巷には、高校生、大学生の「にわか郵便局員」が溢れ、赤カブ、赤チャリで元気よく走り回っています。
それを見るたびに、かつて、僕も赤カブに颯爽と(?)乗って、郵便配達をしていた時のことがダブり、懐かしく思うのです。



郵便局は、「郵政公社」に移行し、2007年10月に民営化しました。



たとえ郵便局のシステムや、局員の制服が変わろうとも、トレードマークの「赤カブ」は今のままであって欲しいと、
願うばかりです。


「赤カブ」については、
「球根栽培法」 (www2.biglobe.ne.jp/~kclo3) を一部参考にしました。