ドコドコ vs ギュイーン



エンジンネタでは2サイクルか4サイクルかということばかり書いてきますが、エンジンはそれだけではなく、
いろいろな「型」があります。
今回はそのあたりのことについて、さわりだけ書いてみようと思います。

また さわりだけ か…。


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バイクを始めガソリンエンジンを動力源と乗り物は、
エンジン内部のシリンダーと呼ばれる円筒形の筒の中に気化したガソリン(混合気)を満たし、
点火プラグの火花でそれを爆発燃焼させ、
その勢いでシリンダー内を上下運動するピストンを勢いよく押し下げることで発生させる動力で走ります。

注射器を思い浮かべればいいと書いたことがありますね。



そのシリンダー数や配置の仕方によってバイクの特性や乗り味がごろっと変わってきます

ここではシリンダーの数で分類してみますね。


単気筒

ピストン1個、シリンダー1本
のエンジンのことで、単コロ、シングルともいいます。


もっともシンプルで軽量コンパクト。燃費もいいですね。
シングル搭載車両は比較的軽量なので加速に優れます。
小排気量車は、スペースの加減や実用性を重視してほぼ全車種が単気筒


ただ、高回転域が苦手なので、
高出力は望めず、最高速も遅いし、振動も大きいとデメリット3兄弟ですorz

全回転域における「トコトコ」、もしくは「ドコドコ」という鼓動感が特徴的。


大排気量シングルエンジンバイクはドコドコドコドコドコドコドコドコと車体全体が揺れ放題で、
ネジが緩んだり、ナンバープレートが脱落したりします…。振動マニア向け(笑)。
特にSRとグース350(笑)。




2気筒

シリンダーが2本あり、ツインパラレルツインと呼ばれたりします。


エンジンの振動が2つに分散するので、単気筒よりまろやか。


軽量かつ幅を抑えられるので、バイク用エンジンとして最もポピュラーなタイプです。

2気筒に限らず、大抵の並列エンジンは、シリンダーがやや前傾しているのが普通ですが、
シリンダーが地面に対して垂直に立っている2気筒エンジンをバーチカルツインといい、
以前トライアンフが積極的に採用していました。そういや、カワサキにもあったよなぁ。

シリンダーの配列も、オーソドックスな並列(パラレル)から
V型(Vツイン)、L型(Lツイン)もあります。
これらは、複数のシリンダーを互い違いにVやLの字型に配列します。
これにより、2気筒ながら幅は単気筒並みにすることが出来ます。
また、前後のシリンダーの挟み角度によって性格がゴロっと変わります。



モトグッチも空冷Vツインを採用し、Vの角度が90度。
ドゥカティは水冷Lツインばかり。
↑エンジンのスタイルを変えないのは、何かこだわりがあるのかな?



ハーレーは伝統的に空冷45度Vツインを採用。
(ハーレーの場合は、これ以外のエンジンが作れないだけかもしれない。大雑把な国民性やし(笑))。


また、V型はトルクが太く加速力に優れるので、
90年代後半に国産でもVTR1000(ホンダ)やSV1000(スズキ)などのスーパースポーツバイクに搭載された過去もあり。




4気筒

直4
(ちょくよん)、インラインフォー、パラ4(ぱらよん)、マルチと呼ばれる、
シリンダーが4本のエンジンです。


現在のバイクのエンジンの主流で、250ccクラス以上の国産スポーツバイクはほとんどコレ。



国産の初の直4エンジン搭載バイクとなったのはCB750FOUR(ホンダ、1969(昭和44)年)。
しかも、国産としては初の量産ナナハン&初のディスクブレーキ装着など、初物尽くしのバイクでした。

バイクは車体の幅が狭いので、登場当初はエンジンの幅広さから、「バイクに向かない」と言われたそうです。


高回転域までスムーズに回り、ハイパワー。単気筒の同排気量と比べ1.6〜1.8倍の出力を発生できます。
振動が少なく、アイドリング音も比較的静か。


しかし、エンジンのサイズがどうしても大きくなり、重量もかさんでしまいます。
高回転域の独特の「ギュイーン」というやや甲高い音も耳障りかも。



V型4気筒(V4(ぶいよん))は、エンジン自体が直方体に近くなりコンパクトにできるメリットがあります。
加速が直4よりさらにスムーズですが、
エンジンブレーキの利きが弱く、低回転域でトルクが弱いです

国産のバイクだと、Vmax(ヤマハ)やVFR(ホンダ)シリーズで使われています。


エンジンの整備性が悪いので、バイク屋泣かせと思います、ハイ。



6気筒

シリンダー数が増えれば増えるほどスムーズな走りになっていきます。

ホンダが誇るメガクルーザー、ゴールドウィング(GL1500、1800)の水平対向エンジン(ボクサーエンジン)が
非常に有名ですね。
その走りは超なめらからしいです。


↓このコラムを書くために読んでいた本で知りました、こんなバイク。



CBX1000(1979(昭和54)年)は、空冷直6エンジンです。マフラーの本数を数えれば分かりますよね。
エンジンでかすぎ(笑)。

乗用車でも6気筒はV型が普通なのに、ムチャするわ…。

さすがに幅が広すぎて普及せず、バイクの直6はこれとKZ1300(水冷エンジン)の2車種のみです。
でも、乗ってみたいなぁ。






レースの世界では、変則的なエンジンもあり、

NS500…2サイクルV型3気筒
とか、
RS211V…4サイクルV型5気筒(Vの挟み角は75.5度)、990cc、250ps

とか…。前後でシリンダーの数が違うのは、バランス的に大丈夫なんでしょうか。素人考えながら心配しちゃいます(笑)。

ほかにも、ホンダはV型の前側は4サイクル、後ろ側は2サイクルという妙なV型エンジンも作ったことがあります
(あれは実際に使われたのだろうか…?)。


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あ、最後に。
カタログなどに書かれているエンジンの排気量とは、全てのシリンダーの排気量の合計ですよ〜。



参考資料:「図解雑学 バイクの不思議」(バイク技術研究会 著/ナツメ社)