ゲリラ豪雨の副産物
このコラムを書いているのは2017(平成29)年7月半ば。
北上したり南下したりしながら日本列島に長雨をもたらした梅雨前線が、
太平洋高気圧によって日本海上押し出され、本州では梅雨明けが間近です。
この時期になると、夕立が多くなりますよね〜。
〜〜ある日の天候〜〜
朝から好天。湿気が多く蒸し暑い感じ。
太陽の光をたくさん受けて地表が温められ気温がぐんぐんと上がります。
すると、暖められた地上近くの空気は軽くなり、上空へと向かいます。
こういう気象状況を「大気の状態が不安定」といいます。天気予報でよく聞きますよね、この言葉。
それが上空で冷やされると、湿った空気中の水蒸気が飽和し雲となり、
雲の中の水滴がぶつかり合って大きくなると地上に落ちてきます。
このとき出来る雲(=水滴が大量に集まった大きな塊)が積乱雲。いわゆる入道雲です。
そして、降る雨が夕立です。
夕立が短時間で止んで、その後何事もなかったかのように晴れるのは、
積乱雲が消滅したわけではなく、積乱雲が全て雨になった、が正しいです。
これが、夏場の午後になると、もくもくと雲が発生
→ 大雨 → カラッと晴れるメカニズムです。
何もないところから突然雲が出てくるわけではなく、タネも仕掛けもあるんですね(笑)。
それに対して、
朝から地上の気温が高く湿気を多く含んだ空気で、上空の気温が非常に低い場合、
湿気を帯びた空気は勢いよく上空へと向かい、上空の冷たい空気は重いので地上に向けて降りてくる…、
つまり空気の層が大きく入れ替わろうとします。
こういう気象状況を「大気の状態が非常に不安定」といい、巨大な積乱雲となり、豪雨を長時間降らせます。
こういった雨はピンポイントで突然降るため、俗に「ゲリラ豪雨」と呼んでいます。
数日前の、福岡県朝倉市〜大分県日田市にかけての線上降水帯による水害や、
まさしく今日起こった、愛知県犬山市の1時間に120ミリの降水は、これらの典型例です。
------
ここまでがコラムの前フリです(笑)。
気象に関しては興味があるため熱心に書いてしまった(;^ω^)
------
これらの大雨が降ると、道路事情が一変しますよね。
降水が煙幕のようになって視界不良になったり、冠水して走りにくくなったり…。
では、大雨によって最も危険が迫る道路と言えばどこでしょう。
正解は、高架橋や高架道路をくぐるアンダーパスです。
一般的に地面を掘り下げるなどして道を敷設するため、雨が降ると、当然そこに雨水が流れ込んできます。
そのために、アンダーパスの最深部にはポンプが設置されていて、水をくみ上げる仕組みになっています。
でも、それがゲリラ豪雨などによる大量の降水になると、排水が追いつかず、
巨大な水たまりになってしまうわけです。
ちょっと位の水たまりなら車で走り抜けられるやろ?って?
甘い。
水の抵抗力をナメたらアカンで。水深20cmでも車の推進力を奪うんやで。
そういうドライバーが果敢…いや、無謀にも水たまりアンダーパスに車で突っ込んで途中でエンジンに水が入って動けなくなり、
最初は車内の空気による浮力で浮かんでいた車も、そのうち浸水してズブズブと沈んでいく、と。
人間の力では浮かんだ状態でも水圧に打ち勝ってドアを開けることはほぼ不可能ですし、
開いたとしたも、その瞬間に車内に水が勢いよく流れ込み脱出する間もなく一緒に沈んでオダブツです。チーン。
だから、沈む前に窓を割って脱出しろ ってのはそういうことなのです。
京都市内でいち早く水没するであろうアンダーパスは、
右京区の西大路五条〜葛野大路五条間の国道9号線、阪急京都線のガード下ですね。
そのために、手前のほうにはこんな警告がなされています。
↑ 堀川五条交差点
↑ 五条七本松交差点
↑ 問題の阪急ガード下
それでも突入する甘ちゃん向けにガード下には水深表記までされています。
バイクだったら水深何センチどころか、水がついた時点で走行不能に陥りますので、
おとなしくゲリラ豪雨が収まるのを待ちましょうか。