六道さん




ところで、お盆って何ですのん?
と問われたら…。


それは、ご先祖様の御霊(みたま)の現世への里帰り、ですね。
京都では御霊のことを、親しみをこめて「お精霊(しょらい)さん」と呼びます。



この時期に皆さんお墓参りをすると思いますが、実際にはお墓はモヌケの殻なんですね(笑)。
ご先祖様の留守の間にキレイにするのがお盆のお墓参りだと思います。




で、里帰りしたお御霊さんがちゃんとあの世に帰れるよう、お見送りとして行うのが「五山の送り火」です。

「大文字焼き」と呼ぶのがNGなのは、送り火がイベントや祭事ではなく、れっきとした宗教行事だからです。
だから厳密にいえば、現世に生きている僕たちに見せるものではないんですね。




では、お盆になったらお精霊さんは勝手に帰ってくる(失礼)のでしょうか?
いいえ、帰ってきません。
見送る宗教行事があるのならば、お迎えする宗教行事も当然あります。


それが、冥界の入口である六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)で8月7〜10日に行われる「六道まいり」です。
親しみをこめて「六道さん」と言います。

これをもって京都のお盆が始まります。特別なお参りなんですよ。












六道さんを参るには、他にはない作法があります。



かいつまんで説明すると、

・水塔婆にご先祖様の戒名を書いてもらう





・それをもって「迎え鐘」を撞く




 この鐘はお堂の中に納められているので直接見ることは出来ず、綱を引くことで鐘を鳴らします。
 鐘を鳴らすことでお精霊さんが帰ってこられる重要なポイントです。


・本堂(戒名を書いてもらった所)の薬師如来を参る

・線香の煙で水塔婆を清める



・お地蔵様が多数おられる「賽の河原」に水塔婆を手向け、槇(まき)で水塔婆に水をかける




・お参り終了




こんな感じです。
手数が多く、境内を右に行ったり左に行ったりと忙しいです。

今年は母と2人で六道さんに参ったのですが、コロナ禍もあって久しぶりだったため作法を忘れていたので、
近くにいた職員さんに尋ねたら、間違った作法を教えられましてね。
おかげで迎え鐘を撞くより先に 水塔婆を線香で清めてしまったやん!

これがフランス料理のフルコースやったら、メインディッシュの後に前菜が出てくるほどの大チョンボですよ!
お精霊さん、怒ってへんかなぁ(汗)。


六道珍皇寺が賑わうのは六道さんの時くらいですので、
たぶんご近所の方が手弁当で来てくださってると思うんのですが、その程度はちゃんと教育しといてくださいよ〜。




ちなみに六道さんには、
・職員さんが水塔婆に戒名を代筆してくれますが、1体あたり500円(たとえば両祖父母をお迎えするなら4体で2000円)
迎え鐘を撞くのにおさいせん
本堂を参るのにおさいせん
線香3本100円

などなど課金ポイントが複数設置されていますのでご注意を。



あと、水塔婆への代筆で、ご先祖様の戒名を忘れた場合は俗名(生前の名前)を書いてくれますけど、
名前の前に「俗名」と但し書きされて格好の悪いことになりますので併せてご注意ください(笑)。



ま、こうして京都のお盆は始まるのです。

もちろんですが、対になっている16日の五山の送り火にもおもむき、お精霊さんをお見送りし、今年のお盆も無事に(?)終わりました。
無礼な僕たちですが、どうぞお見守りください。



六道珍皇寺はこちらからどうぞ→ http://www.rokudou.jp/