名物坂道、狐坂




京都市の北部にかつて存在した、ある坂道を紹介しようと思います。


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京都盆地北部に位置する、左京区の北山通りから岩倉という高台の住宅地へ向かうには3つのルートがあります。


1つ目は、天然記念物の深泥池(みどろがいけ)〜国際会館ルート、
2つ目は、盆地東端の白川通〜花園橋ルート

そして3つ目が、今回の主役、狐坂(きつねざか)です。


狐坂は宝ヶ池球技場〜宝ヶ池を結ぶ、
2車線の幹線道路です。


一見普通に見える道ですが、
ここには車やバイクで来る人を泣かせる
有名な
ヘアピンカーブがありました。


かつては暴走族が集結したり、幽霊のウワサも出るなど、
何かと話題になったところです。

京都市内側から狐坂に向かうと、
上り坂で、かつ左小回りの180度カーブ

なります。



高台の岩倉の住民などしょっちゅう通られる方は、
心得ているのでいいのですが、

これを知らない方が通りかかると、
突如現れるヘアピンカーブ
でブレーキを掛けて
失速してしまい、エンストがオチです。
まぁ、強烈です。



僕もバイクで狐坂は何度も上っていますが、お約束のように失速し、
下り坂の場合は、スピードが乗りすぎて、オーバーランしそうに
なってます。

↑狐坂を車が走る様子。

右下の写真のバスは坂を下ってるんですけど、
完全に反対車線に入り込んでいます(笑)。



何度走っても攻略できず、厄介な道だ…と思うのですが、

上りヘアピンを乗り越えると、いよいよ岩倉に入るんやなという期待感に似たものを感じ、
下りヘアピンを過ぎると、京都市街がチラリと見え、帰ってきたぞ〜って気になります。



ちょっと不思議な感覚をくれる坂なんですよね。



このように長い間親しんできた狐坂ですが、
幹線道路の割にヘアピンカーブのせいで大型車が曲がりにくい、すれ違いも困難などの問題も
ありました。

そこで、最近行政の手が入り、ゆるやかなカーブの高架道路が出来ることになりました。

ヘアピンカーブをショートカットするように延長130m、最大高度14mの高架橋が出来ます。
蛇足ながら、総工費は12億円とのこと。



あの〜、京都市って、今のところ「財政非常事態宣言」中で、新規の施設建設は凍結するんじゃなかったんでしたっけ?


狐坂には歩道がありませんので、旧道となるヘアピンカーブの道は歩道になります。
現在(2004年5月)、支柱の基礎を建設中です。

それ自体は、日常使う人たちのことを考えてのことですので、いいとは思うのです。
岩倉の住民たちは、「渋滞も解消され喜んでいる」と歓迎しています。


でも、狐坂のある山肌の西側には、
五山の送り火の「妙法」の片割れ「妙」があり、
景観を損ねるといいます。


利便性を追求するのがいいのか、不便でも景観を守るのがいいのか…。難しいところですね。
まぁ、今回は利便性を取ったので、高架道路が完成する前に、せいぜい走っておくとするかな。


ここまで2004年5月20日作成


建設工事が行われていた狐坂に代わる高架道路がこのたび完成し、
2006年4月18日、開通しました。



↑に書いていた通りの緩やかな坂道に生まれ変わりました。ヘアピンカーブは直角カーブに。


今までお世話になった狐坂の走り納めに行きました。


上り下りとも走りましたが、やはり上り坂の左小回りは難癖です。


狐坂はもともと宝ヶ池に行くための道だったようですが、
1965(昭和40年)、岩倉に国立京都国際会館(※外部リンク)が建設されたのを機に
「宝が池トンネル」とともに整備されました。



僕の母親が当時普通免許を取ったばかりのころに、
国際会館を見にブルーバードで来たそうで、
この上りの小回りヘアピンカーブを曲がりきれず反対車線にはみ出して大回りで曲がり、
怖かったと懐かしんでいました。
国際会館周辺の道路も未整備で地道のままだったために、車が泥だらけになったとも。


国際会館が出来なかったら、いまも狐坂は超ヘアピンカーブのままだったんでしょうね。
いったい、どれだけの車が狐坂の餌食になったのかと思うと、合掌。



ここまで2006年4月11日作成


参考資料:京都新聞2006年4月6日付朝刊