おれたち京都通
いまや全国各地にある「ご当地検定」。
その地の文化・歴史・風習などをどれだけ知っているかを問う、これらの検定のはしりとなったのは、われらの「京都検定」です。
2004(平成16)年12月に第1回検定が行われ、今年で4回目。
昨今の京都ブームに乗っかって、毎年沢山の方が受検されています。
正式名称は「京都・観光文化検定試験」といいまして、公式HPには、その目的として
「試験を通じて京都を正しく理解し、京都の魅力を発信すると共に、
次世代に語り継いでいくこと」と記されています。
要するに、どれだけ「京都マニア」かを測る訳やね。
では、僕の京都マニア度はいかほどか?
1級〜3級がありますが、小手調べに3級を受検してきました。
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2007年12月9日。
早朝から試験会場へ向かうべく地下鉄の車内の僕。
僕の試験会場は、北区・烏丸北大路にある大谷大学です。
しかし、観光名所の少ない郊外へ向かう早朝の地下鉄路線なのに、異様な混雑です。
あたりの乗客を見回してみると、「京都検定公式テキスト」や「京都検定過去問」や、自作の試験対策ノートを手にしている人ばかり。
乗り合わせた大多数が受験者の模様(笑)。
途中の今出川駅で、その過半数が下車しました。
京都市内の試験場は3ヶ所あり、そのひとつ、同志社大学へ向かうのでしょう。
もうひとつは伏見区の龍谷大学です。
何で僕はローカル私立大で受検なんや…おれも名門・同志社の門をくぐりたかったぞ(差別発言)。
そうこうしている間に大谷大学に到着し、キャンパスに足を踏み入れます。
大学独特の雰囲気に、遠い過去となってしまった学生時代がダブります。
大きな講義室では、その思いがさらに強くなります。
すでに沢山の受験生が席について、地下鉄のときと同様に、勉強の最終チェックに余念がない様子。
お気楽受験生の僕はPHSでネットゲームでもして時間をつぶすつもりでしたが、そういう気は萎え、
カバンから過去問を取り出し、読んでるフリをします。皆マジメなんやねぇ。
試験は、各級とも公式テキストの中から出題されるということがアナウンスされていまして、
3級は9割がそこからの出題とのこと。
公式テキストを買えといわんばかりやん。でも、ちゃんと読んでおけば合格できるんやな、と ばかりに本屋へ買いに行きましたよ。
結局それは買わず、過去問を手に入れましたが、それもろくすっぽ読みませんでしたね。
僕の本当の知識量を知りたかったのと、もうひとつ理由があるんですけど、それは後で書きますわ。
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試験開始。
いきなり挫折モード。
京都に住んでいながら、聞いたことのない単語がわんさかわんさか出てきます。
最初の問題はコレ↓(各問題文の下の行に正解が書かれています。マウスでドラッグして反転させて見てください)
《1》 平安京は「四神相応之地」といわれる。北に位置するのはどれか。
(ア)玄武 (イ)朱雀 (ウ)青竜 (エ)白虎
正解:ア
四択なのに、選択肢の内容も理解できませんorz
ほかにも何問か書いてみましょうか。
《14》 船岡山の山上にあり、織田信長・信忠父子を祀っている神社はどこか
(ア)わら天神 (イ)大将軍神社 (ウ)建勲神社 (エ)玄武神社
正解:ウ
ジモピーぐらいしか分からんど!!
《24》 「苔寺」で有名な西芳寺の庭園は( )の作庭とされる。
(ア)夢窓疎石 (イ)石川丈山 (ウ)小堀遠州 (エ)金森宗和
正解:ア
だれですか、これは?
《29》 琵琶湖疏水の水を引き込んだ平安神宮の神苑のうち、東、中、西の三苑は( )の作である。
(ア)重森三玲 (イ)小川治兵衛 (ウ)加藤熊吉 (エ)中根金作
正解:イ
知るかこんなもん!!(逆ギレ)
《31》 京都で伝統的工芸品の指定を受けているのは何品目か。
(ア)12品目 (イ)15品目 (ウ)17品目 (エ)20品目
正解:ウ
これを知っていたからといって、どうだと言うんや。
《52》 雛祭りの節句料理で、蛤や蜆(しじみ)などの貝料理、ばら寿司などとともに食卓に並ぶ魚類はどれか。
(ア)鰈 (イ)鯖 (ウ)鰯 (エ)鱧
正解:ア
こんなん、聞いたことありませんが…。
《60》 京ことばで「ムシヤシナイ」の意味はどれか。
(ア)軽食 (イ)虫かご (ウ)ケチ (エ)金持ち
正解:ア
この単語、どこで区切っていいのかすら分からなかった…orz
漢字で書くと「虫養い」で、「虫」とは腹の虫のこと。
サービス問題もあるけど。
《6》 後醍醐天皇を支持して建武新政に参加したが、後に対立して室町幕府を開いたのは誰か。
(ア)足利尊氏 (イ)足利義満 (ウ)足利義政 (エ)足利義昭
正解:ア
足利義政って答えてしまったorz。おれ歴史 大の苦手やねん。時代も名前もゴッチャになってるし。
高校時代や大学受験の歴史科目は、本当に泣かされたよ。
僕向けサービス問題もあった。
《48》 五山送り火で、大文字の次に点火されるのはどれか。
(ア)左大文字 (イ)船形 (ウ)鳥居形 (エ)妙法
正解:エ
五山送り火は、毎年原チャで巡ってるから、これは楽勝。
などなど、全100問の4択マークシート式です。2級も同様。70点以上で合格。
1級は50問の記述式問題と、5問の論文があり、80点以上で合格です。
しかし、問題を解き(分からないものは適当にマーク)ながらに思いましたね。
これ、本当に3級の試験問題なの?1級と間違ってへん?
っていうか、こんなことを知ってて意味あんのか?
細かいというか、どーでもいい知識を問う問題が多いど。
本屋で見た「公式テキスト」は300ページ以上あり、内容も、ただ項目と内容が羅列してあるだけ。
読み物としては最低最悪の悪書もいいところです。
こんな本は買う必要ない。これを読んで暗記するのが「勉強」か?
公式テキストや過去問からみえる京都検定は、京都を知ってる気分になるだけのように思えて仕方がなかったのです。
実際に自分の目で見たことがない、自分の耳で聞いたこともない内容を頭に詰め込むことは、
「記憶=知識」を強要する受験勉強みたいでイヤになりました。
史跡にしろ文化財にしろ芸術品にしろ、そこには歴史があるはずです。そこまで掘り下げて知ることが大切なんじゃないの?
だから試験「勉強」など何もしないで本番に挑んだ、と。
試験時間は90分ですが、途中退室が認められていますので、1時間で解答用紙を提出して会場を後にしました。
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試験の2ヶ月近く後に 結果のはがきが届きました。3級は受験者3888名に対して、合格者は1508名。
合格率は38.8%とありました。
それを見るまでもなく、自己採点により僕の「実力」は分かっていましたよ。
この辺に書いてありますので見たい人だけ見てください→ 49点
ちなみに、3級受験者の平均点は64.5点でした。
なお、2級の合格率は25.0%、1級の合格率はわずか8.1%でした。
そういうわけで、僕が公に「京都通」を名乗れる日は相当遠そうです○| ̄|_