長刀鉾



あと1ヶ月で、京都の「3大祭り」の中でもっとも盛大な祇園祭です。

祇園祭というと、夜に山鉾(やまぼこ)が立ち並んで「コンチキチン」の鐘の音を奏でる中を、
カキ氷やお好み焼きや、チョコバナナを食べながら見て回る…そんなのを思い浮かべてませんか?


夜に行われるのは祇園祭の前夜祭みたいなもので、山鉾巡行(7月17日)の3日前(14日)が「宵々々山」
2日前が「宵々山」、前日が「宵山」と呼ばれ、週末と重なると、おっそろしい人出になり、
狭い通りに並んだ山鉾を見ようと人が集中し大渋滞になります。


宵山の人出、○○万人などと報道されると、うんざりです。
何が嬉しくてそんな人の洪水の中に突っ込んでいく必要があるんや?!
屋台を冷やかしたり、ナンパをしたりしてるバカヤロー共は引っ込みなさい!!

下心抜きで純粋に祭りを楽しみたい僕には、人だらけの宵山など行く気も起こりません。
でも今年は行ってきました。


ここでの本題は、そんな「前夜祭」の話ではありません。
山鉾巡行についてです。

7月17日午前9時、山鉾を守る 32ある「鉾町(ほこまち)」から、四条烏丸へ続々と山鉾が集結します。
その数、32基(当然か)。

鉾の並ぶ順番は、先頭は、「長刀鉾(なぎなたぼこ)」
後は最初から並ぶ順番が決まっている長刀鉾を含む8基を除き、くじ引き(くじ取り式)で決められます。

巡行開始直後に、四条通堺町で「くじ改め」と呼ばれる、鉾が「くじ取り式」で決まった順番に並んでいるかのチェックの儀式があり、

そして、長刀鉾の先頭に乗る稚児が、
四条通麩屋町に結界として張られた 「注連縄(しめなわ)」を太刀で切り

町衆が山鉾を引っぱり、巡行は本番を迎えます。



四条通を東進し、四条河原町で辻回しをし、河原町通りを北上。
河原町御池で辻回しをし、御池通りを西進。
新町御池で巡行は終了。そこから それぞれの鉾町へ帰っていきます。



辻回しというのは、山鉾の車輪の下に薄く割った竹を沢山敷き、その上で滑らすことで山鉾を方向転換させることをいいます。
ハンドルなんて気の利いたものはついてませんからね。

僕も間近で見たことがありますが、巨大な鉾が町衆の掛け声と共に方向転換する様子は、何度見ても、豪快です。
辻回しが上手く決まるとすごい歓声に包まれますが、たまには下手をして失笑を買ってるところもあります(笑)。

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さて、今年も祇園祭の山鉾巡行で先頭を行く、長刀鉾の稚児と補佐役の禿(かむろ)2人の選定の時期
やってきました。
稚児が決定した新聞記事が6月7日に載っていました。


それによると、
稚児は、情報サービス会社社長(43歳)の長男(8歳)、
禿は、 
石材会社代表(54歳)の次男(8歳)、
    私立中学教師(43歳)の長男(8歳)
で、
3人は京都教育大学付属京都小の3年の同級生でサッカー仲間
だそうです。

いかにも金を持ってそうな家のガキお子様でしょ?
それも国立大学付属小学校の同級生ときてる。



どうしてだと思いますか?
実は、稚児や禿になるためには、祇園祭に際し、沢山の寄付などをしなくてはならないんです。

その額は、僕の年収の2倍ほどに当たります。8桁に乗ってしまいますね。

フツーの家庭のお子さんが「稚児になりたい」と言っても、なれるはずがないのです。

その夢をムリに叶えようとしたら、家庭崩壊が目に見えています(笑)。
大体、小3の子供に大役をやらせたかって、後々の記憶に強く残ると思えませんし、これこそ親のエゴじゃないですか。

だって、本人自ら「稚児になりたい」などと言うはずがないでしょう。考えられないもん。

小3で祇園祭を語るなんざ、100万年早いんだよッ!!
俺ですら分かってないのに!(笑)

僕が稚児になれなかったからと、ひがんでるんじゃないですよ(笑)。当時は興味も無かったし。



ま、選定する長刀鉾保存会の方針で「金持ちのボンボンじゃないとダメ」とか規定があるのかどうか分かりませんが、
よりによって、同級生でサッカー仲間をまとめて3人選ぶなんて、裏で何かあるとしか思えません。
寄付というより、袖の下…ワイロでしょ、これって。

顔写真が載っていましたが、3人ともいかにも小生意気なお坊ちゃまヅラで、同じ年頃はハナタレだった僕とは全然違い、ムカつきます。



山鉾巡行の当日、稚児は汚れてはいけないので、地面に足を着くことは許されず、
全て強力(ごうりき)と呼ばれる男たちに担がれて移動します。

すごいVIP待遇だことで。


俺が強力やったら、わざと地面に落としてやって、そんでもって、注連縄を先に100円のカッターナイフで切り落としてやりますよ(笑)。


調子に乗ってこんな文章を書いてたら自分がすんごくミジメになってきた…(涙)。

参考資料:毎日新聞2003年6月7日付朝刊
祇園祭については、ここも参考にしました