オールナイト南無阿弥陀仏
京都を代表する観光名所のひとつ、知恩院。
南隣の円山公園とセットで訪れた方もおられると思います。
ここでは春になると、一風変わったイベントが開催されるのです。
正面にででーんとそびえる三門(≠山門)の楼上で、夜通し念仏をお称えし、木魚を叩く…というもの。
法然上人の説かれたお念仏の み教えを体感する、知恩院の由緒正しき行事なのですが、
そこに一般の方が参加できる、と。
その名も「ミッドナイト念仏in御忌」
とても由緒正しき宗教行事とは思えへん(笑)。
昨今の寺社仏閣で流行りの集客イベントではなく、
京都観光のメジャー度も低く、インターネットもほとんど普及してなかった90年代半ばから毎年開催されてます。
通常非公開の国宝・三門楼上に上がらせてくれるだけでもありがたいのに、
念仏だけではなく、木魚も叩き放題とは!
かなり緩そうやけど、本当にエエのんか?!
というわけで、木魚叩きに行ってまいりました。ポクポクポク。
2019(平成31)年4月19日。23時過ぎに知恩院に到着しました。
さすが深夜。周囲には人はほとんどおらず、サーチライトに照らされ厳かな雰囲気を出す三門…
正面にでかでかとゴシック体で書くか?!普通。国宝もカタナシやど(笑)。
屋根から「○○部インターハイ出場!」みたいな垂れ幕にしたらもっと面白いのに(笑)。
この上…楼上が「会場」でして、外にまで「ポクポクポク」が聞こえてきています。
念仏は聞こえへんなぁ。
空いてるのかも。
すぐにポクポク出来ると期待して、早速三門の方へ行くと、行列が…。
3〜40人くらいは並んでいるではないか。
列に並んで待つというのが苦手な京都人の僕は、踵を返したくなりましたが、
年に1回の行事だけに、我慢するしかないかと、渋々列の最後尾につきます。
しかし、なかなか進まない。どうなってるんやろう。
時間は刻一刻と過ぎ、23時40分。ようやく三門内部への入口に到達。
しかし、楼上に上がる階段の前でまたストップ。
いったいどれだけ待たせれば気が済むんやッ (゚Д゚
)
↑待っている間に頂いた諸注意の用紙。「ポックマ」って、知恩院どこまで緩いねん(笑)。
和尚さんが携えている無線から「5人上がってください」と聞こえ、
急な階段を伝い歩きで上り、ようやく会場入りできたときには、日付が変わろうとしていました。
そこには目を疑う光景が広がっていたのです。
正面には立派な仏像が鎮座され、天井や壁には立派な壁画が描かれている、数百畳はあろうかという楼上の広間(?)には
数百人の方が座り、一心不乱に木魚を叩いていたのです。
全面的にポクポク状態。
それも、叩くスピードが8ビートかと思うほどの木魚の乱れ打ち。
案内役の和尚さんに勧められた空いてる座布団に腰を落ち着け、いざ叩くぞ〜!
ほとんどの参拝者は肝心の「南無阿弥陀仏」を唱えず、木魚を乱打しています。
僕も負けじとポクポクポクポク(叩)。
参拝者の邪念がそのまま木魚に反映されているのか、叩く音も乱れ調子で耳障り。
かと思ったら、皆の心がひとつになったか、急に同じタイミングで音がキレイに揃う瞬間があったり。
木魚を8ビートで叩き続けてると手首がだるくなってきまして。おれドラマーと違うし、叩き慣れてへんねん(笑)。
和尚さんたちの「南無阿弥陀仏」もそのペースで唱えられてるので、なんかノリノリ。
これで全員正座じゃなくて総立ちやったら、どこかのライブハウスと変わらんぞ(笑)。
その段になって和尚さんが叩いている大きな木魚が強引にテンポを落とし、
落ち着いた木魚音に調整されました。
コラ指揮者、もっと早く調節してくれんと手首が疲れるやんか〜!
10分くらい叩いたら退出つもりだったんですけど、
楼上全体を包むライブハウスにいるような空気に呑まれて僕もハイテンションになり、イケイケモードに。
僕の周囲の人たちも酔いしれてるんやわ、木魚ライブの高揚感に。誰も席を立たへんねんもん(笑)。
三門に入るまでの待ってる人数の割に待ち時間が長く、なかなか順番が進まなかったのが分かりますわ。
結局40分近く木魚三昧で、席を立ち、
指揮者 和尚さんの叩く大きな木魚を一緒に叩かせてもらって
会場 三門を出たのは0時40分になっていました。
いや〜、子どものころからお寺にある木魚を叩くのは好きでしたが、思う存分ポクポク出来て満足でした。
また来年も木魚にまみれようかな。
三門については、知恩院のページをどうぞ
https://www.chion-in.or.jp/highlight/building/sanmon.php
ミッドナイト念仏についてご興味のある方はコチラへ(動画もあるよ〜)
https://www.chion-in.or.jp/special/midnight/