悟るのか、迷うのか




京都市内にはそこいらじゅうに社寺仏閣がありますが、観光客が押し寄せるメジャーなものはほんの一握り
その他のメジャーではない多くは、地域に密着したローカルなもので、あまり参拝客が来なかったり、非公開だったり。



そんなローカル仲間のひとつを今回ご紹介。

京都盆地の北西の端にある源光庵(げんこうあん)です。

曹洞宗の寺で、1694年に立てられた本堂は内部が公開されています(入場料400円)。



これだけの紹介ならメジャーなところと同じですが、
僕がわざわざ源光庵をローカルと紹介するのには訳があります。



京都市内にもかかわらず交通アクセスが最高に悪いためか、拝観者が少なかったんですわ。ガラガラ。

僕は自転車で行きました。
千本通からだと、「千本寺之内」交差点あたりから源光庵までかなり長い上り坂になるので、汗をしっかりかきました。
仕事ではしょっちゅう通る道なので、たいした距離ではないと踏んでいましたが、実際にはかなり長かった(暑)。

僕が訪れたのは9月末の日曜の午後。

実は、前日にテレビでここに高さ3mにもなるススキがあることを紹介していたので、
きっと見に来た人で混雑しているやろうな〜と踏んでいたんです。




ところが行ってみると、駐車場はガラーンとしていて、本当に営業(?)してるのやろうかと心配になったほどで
肩透かしを食らいましたよ。

テレビで紹介されようがされまいが、マイナーなところはマイナーなままなんやね(笑)。




静かな参道に生える背の高ーいススキに感心し、山門のそばには鐘楼が。

僕、釣鐘をゴォォーー〜〜ンと撞くのが大好きやのに。

なんで撞かせてくれへんねん。ケチ〜。




本堂って撮影禁止のところが多いのですが、ここは珍しく三脚などを使わなければ撮影制限なし。写真撮り放題(笑)。
で、肝心の本堂の写真は撮り忘れました orz


北山を借景にした枯山水庭園は小さいながらも手入れが行き届いています。
縁側に座り込んで静かに話をするカップルや、素足でくつろいでいる外国人観光客。

彼らが自然に溶け込んでいるのがローカルさを際立たせます。





本殿の特徴は2つあり、ひとつは血天井

伏見桃山城の遺構で、380人が自刀して果てたときの痕跡です(写真なし)。


なぜそんなものを京都盆地の南の端っこから北西の端っこまで わざわざ運んでここの天井に使ったのか。
きっと「もったいない精神」で再利用か、予算不足でお古を安く貰い受けたと勝手に推測(違)。




もうひとつは、丸い「悟りの窓」と、四角い「迷いの窓」という2つの窓。

丸型は「禅と円通」の心を表し、円は大宇宙を表現。

四角型は「人生の生涯」を象徴し、生老病死の四苦八苦を表すとか。




それじゃ、おれもひとつ悟ることにするか。


丸窓の前に正座し、目を瞑(つむ)り、己が人生に思いを馳せていると




ピンポロリーン♪、バシャーッ、ピコピコ〜ン♪




は?何事やと振り返ると、正座して悟りを開いているおれの真後ろで
男子学生4人が立ったままスマホで丸窓の写真を撮ってる
やないか!


人が真剣になっているのに、雰囲気ぶち壊しやがな。ほんまにも〜。




などなどありましたが、拝観料を払うだけの価値はあります。
街の喧騒もなく静かで、心が安らぎますよ。


有名どころの社寺仏閣で高い拝観料を払うくらいなら、源光庵に行こくとを薦めます。
ただ、ほかの名所旧跡から離れているので、公共交通機関だとハシゴをしにくいのが難点(笑)。