ダッコちゃん商法




小学生のころ、父の実家に風変わりな人形がありました。

空気を入れて膨らますと赤ちゃんのような姿形になる真っ黒いビニール製の人形で、
その腕や足の部分がまるで何かを抱っこしているような格好になっていまして。

それを自分(ニンゲン)の腕に抱きつかせて街を歩くのが大流行したと聞きます。



その名はダッコちゃん



今思えば「なんでそんな奇妙な行動が流行ったのか」と首をかしげたくなりますが、
いつの時代も何が流行るか分からんってことですかね(笑)。




ところが、昭和の終わりころ、黒い肌、太い唇、縮れた毛に、腰ミノをつけた姿のダッコちゃんは
黒人のステレオタイプで蔑んでいると言われ、姿を消します。

このころ、黒人への差別を無くそうとの社会運動が盛んで、黒人を連想される様々なものが駆逐されていきましたもんねぇ。ちびくろサンボとかカルピスとか。


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このコラムを書こうとしたときに不意にダッコちゃんを思い出したので書きました。
「抱く」がテーマだからです。

でも、ここでの「抱く」は別の意味で問題をはらんでいます。抱擁やハグのようにエエものではないです。
見ていただきましょう。




(c) 京都新聞



抱き合わせ販売です。
ディーラーで人気車種を購入する際に、様々なオプションサービスのセットを強要していたのです。
どれも高級な車種ですので利益は十分にあると思いますが、今後のために客の囲い込みもしたかったのでしょうか。



記事にある車種はトヨタの看板商品ですし、欲しい方はたくさんおられますからね。
足元見られた客はしぶしぶ承諾していたのでしょう。
まぁ、オプション不要論者の僕がされたら即 縁切りですわ(笑)。


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ダッコちゃんが糾弾されたころ、ゲーム界隈でもあったんですよ。

大人気のゲームソフト、ドラクエIIやIIIの購入客に、不人気ソフト…いわゆる「クソゲー」を抱き合わせて売ってる店が。
客は なけなしのこづかいを握りしめてやってくる子どもですよ。
僕はファミコン買ってもらえなかった家ですので他人事でしたけど、子ども心に嫌な気分になったものです。




だから今でも「抱き合わせ販売」という言葉に過剰に反応しちゃいますね。
あ、ダッコちゃんの抱き合わせなら歓迎します(笑)。



記事引用:京都新聞 2025年4月11日付朝刊