百機のお見送り
作者の丸山勉氏のご逝去の報に接し、哀悼の意とこのコラムを捧げます。
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開催初日に見てまいりました。
京都市京セラ美術館で開催の、アマチュア美術家の国内最大規模の展覧会、日展。
日本画、洋画、書、工芸美術、彫刻の5つの部門からなる総合美術展です。
今回展示されるのは約450点。見ごたえ十分。
今年で11回目ですが、それは今の団体に改称されてからの回数でして、
実際には明治末期から行われている歴史の長い展覧会なんです。
僕は絵画を中心に見てます。
大きなキャンバスに描かれたそれらは画家さんそれぞれの個性が出て見ごたえがありましてね。
が、どうも日本画にしても洋画にしても、絵画のモチーフは人物や風景、静物がメインで、
描き方もいわゆる正統派が目につくなぁ…。
芸術家って奇抜なイメージがあるんですけど、ピカソのキュビズムやゴッホの豪快な作風の影響を受けすぎやろか、おれ(笑)。
と、このようにひねくれている僕ですし、昨年は立派な乗り物の絵に感心させられたので、
今年も乗り物の絵がないかなと広い会場をうろうろ…。
すると、ありました。
コチラです。
(c) 丸山勉
絵のタイトルは「百機夜行図1」
百鬼ではなくて、百台の機体です。この後ろにもたくさんの車たちがいるのでしょう。
車のキャンバスに対するサイズ感、どの車に人が乗っていないところを見ると、
これらはトミカのようなミニチュアカーなのかなと。
整列もしてないし、車たちはあっちゃこっちゃ向いてるし、
きっとみんなでお喋りしながら楽しく進んでいる愉快な仲間たちやな〜
と、ほほえましく思いながら写真に収めました。
が、お気づきですかね。
右側に添えられた作者・作品のクレジットに黒のリボンがかけられているのを。
そうなると、この絵の見方が変わってきます。
招き猫が招いたのかな。
京都開催の僅か5日前に61歳でこの世を去られました。
この絵の後方におられるはずです、きっと大好きだったろう愉快な仲間たちに囲まれた丸山氏の御霊が…。