ラストランは室堂〜大観峰
僕が「立山黒部アルペンルート」に初めて行ったのは1988(昭和63)年の家族旅行で。
当時中学1年でした。
(c) 立山黒部貫光
その時に知ったのが、トロリーバス。
名前からしてノロいのか溶けてしまいそうなのか…。
そんなイメージを3回りもした今でも持ち続けてます。名前変えた方がいいと思うで(笑)。
トロリーバスは、僕の中学生当時も36年経った今も、立山黒部アルペンルートだけのものでした。
富山〜長野間の立山連峰を様々な乗り物で横断する、二ホンで一番贅沢な山岳観光ルート、その一翼を担っている
今回の主役がコチラ。
(c) 関西電力
左から初号機・弐号機・最終型です(嘘)。ホンマは100型、200型、300型ですって。
アルペンルートの長野側・黒部ダム〜扇沢間の「関電トンネル」を走っていたモデルです。
その名の通り、見たところは単なるバスです。
運営していたのは関西電力。
黒部ダムを作ったのは関電でして、その建設資機材運搬ルートとして掘られたのが関電トンネルなんですよ。
それを観光に使っている、と。
ですが、
「バス」なのにナンバープレートがありません。
よく見ると、車体上部にパンタグラフがあります。
そう、トロリーバスは架線から電力を受け、モーター駆動で道路を走る乗り物なのです。
法的には「無軌条電車」といい、れっきとした電車の仲間なんですね。見た目はバスやのに。
そのため標識も鉄道特有のものが設置されています。
あ、「無軌条」とはレールや枕木の無いという意味です。
なので発着場には低いながらもプラットホームがあり、「○○駅」と呼びます。「バス停」ではありません。
トロリーバスの運転席は路線バスっぽいし大きなハンドルもありますが、計器類は電車そのもの。
いわば1両編成の電車のバス版といった感じでしょうか(かえってヤヤコシイ説明(汗))。
(c) 関西電力
で、これを運転するには、
無軌条車限定の「動力車操縦者運転免許」と、
バスの運転技術として「大型二種免許」の両方が必要となります。
しかし、陰気くさいカラーリングやなぁ。
これは、自然との調和を意識した配色なんだそうで。
そんな風に言ってるけど、ルートのほぼ全部がトンネルやのに自然もヘッタクレもない気がするのは僕だけでしょうか(汗)。
他にも関西企業らしいダジャレが仕込んであるんですけど、えいまる様のご慈悲により容赦します。
…そんな関電トンネルを走っていたトロリーちゃんは、2018(平成30)年をもって運行終了しちゃいまして、
現在は、普通のディーゼルバスからエンジンを取り外し、リチウムイオン電池とモーターを搭載したEVバスに替わっています。
そして、国内で現在残っているトロリーバスは、
アルペンルートの最高標高地点、室堂〜大観峰間を運行するのみとなってまして、
それも今年(2024(令和6)年)をもって運行終了します。
(c) 立山黒部貫光
僕が中1のときは、この区間はディーゼルエンジンの普通の観光バスやったんですけど、
環境問題を受けて平成の時代にトロリー化したんです。
それも、来年(2025(令和7)年)よりEVバスに置き換わります。
全国でここだけでしか走ってないだけに、部品の調達が難しいんですって。
そういう事情もあり、二ホンからトロリーバスは姿を消します。
こうして、またひとつの時代が終わるんですね。
寂しがっても仕方がないので、前を向こう。
乗ったことない人はトロリーちゃんに会いに行っといで!
参考・画像引用:
立山黒部アルペンルート
https://www.alpen-route.com
黒部ダムオフィシャルサイト
https://www.kurobe-dam.com/trolleybus