140→90→…




僕、知らんかったんです。
運送業界の「2024年問題」
残業に関する新たな規制に対して、業界全体が頭を抱えているという話。



端的に言うと、「働きすぎやから、労働時間を削減しなさい」ということらしいです。



バブル経済の絶頂期だった、昭和から平成に代わる1990年前後の数年間の時代。
何をやっても儲かるという、国全体が浮かれていた時代。
「24時間戦えますか」なんてフレーズのCMが流行るほど、今思えば無茶と思っていたことや、似たようなことが
一部業界には残っているんですよね。

働いて働いて、残業代で稼いでウハウハ…やけど、それって一般的に考えてどうなんやろ?
残業ありきの労働って、尋常ではない。


…と、いうわけで、総労働時間を制限しようとなったんですね。
何度も言ってますけど、ニホン人は働きすぎですから。

それが実施されるのが2024年というわけ。



そのしわ寄せは、今なおMAXで走っている運送業界を直撃します。

MAXで走らなくてはならないのは、
物流の9割を占めていると言われる、大型トラックの高速での法定速度が80km/hに制限されているために、
時間を稼げないからです。



速度リミッターが効く90km/hで、大型トラック同士がわずかな速度差で抜きつ抜かれつを繰り返しているのも分からないでもないです。
それくらい時間に追われている。



こうなったのも、かつて大型トラックがエンジン全開の140km/hで走るなど飛ばしすぎで、甚大な交通事故が多発したため、
それを是正するために今の規制になったわけですが(→コラム「速度抑制装置付」)、今度はその上限を上げるといいます。


労働時間短縮のために。



((C)京都新聞 クリック/タップで拡大表示(490kB))



僕の予想も100km/hかな。
そうすれば1日8時間労働としても160km。京都〜名古屋間の距離を稼ぐことは出来ます。大きいな。



だけど、それが問題解決になるとは思いません。
そもそも残業しているのは、そうしないと生活できるほどの収入が得られないからでしょ。
そっちのほうが問題じゃないの?



スピードアップしても走行距離は同じ。だから、効率が上がり労働時間を短縮しても収入が補填されるとは、考えにくい。
この島国はセコいから。



90年代初頭にバブル経済が崩壊し、僕が高校3年ごろから不景気と言われはじめ、
最初は「失われた10年」だったのが、いつの間にか「失われた20年」となり、そして今では「失われた30年」と囁かれています。


技術の進歩で見た目の生活は豊かになったかもしれませんが、それを支えてくれている業界の青色吐息はいつ無くなるのでしょうかね〜。




記事引用:京都新聞 2023年7月14日付朝刊



※最高速度は2024年4月より90km/hに引き上げられることになりました。
 ですけど、現状もリミッターが作動する90km/h走行が常態化しているので、結局のところ、何も変わらないのでは…。

 時事通信ニュース https://sp.m.jiji.com/article/show/3174546