空冷エンジン万歳




バイクを動かす心臓、エンジン
絶え間なくガソリンを燃やし続け、ご主人様の期待にに応えるべく健気に働いてくれていますね。



しかし、ガソリンから欲しいのはパワーだけなのに、副産物として たくさんのを放出します。
ある程度の熱はエンジンに最高のパフォーマンスをもたらしますが、
あまりにエンジン自体の温度が上昇してしまうと、オーバーヒートしますし、最悪で壊れたりもします。

そこで、エンジンを冷やしてやり、適切な温度をキープさせる必要があります。



その方式として、
自然の風(走行風)で冷却する、空冷
シリンダー周囲のパイプに水を流して冷却する水冷
それと、存在自体が激レア(笑)の、油冷があります。


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では、空冷からいきましょうか。

空冷エンジンは、その歴史が一番長いです。


そして、一にも二にも、このデザイン(Ape&SR)→  


どうです、このエンジンの造形美!すばらしいの一言に尽きます。
バイクの真ん中、一番目立つ場所で、「ワタクシがバイクの主役、エンジンであります」と紳士的に主張しているではないですか。

何時間眺めていても飽きません、ホレボレします。
非の打ち所がありません。


これこそエンジンのあるべき姿!
エンジンの中のエンジン!!



このバイクくださ〜い。




んじゃ、次、水冷。


 え?外観ばっかりベタボメで中身について、なーんにも書いてへんやんけ、って?
 書かなアカンの?




それでは、もう一度↓
空冷エンジンのメリットは、

水冷エンジンのように、加熱された冷却水を冷ます ラジエターや冷却ファン、
水を循環させるためのラジエターホース、リザーブタンクといったもろもろが要らない
ので
エンジン周りが実にスッキリとし、軽量化にもつながります。

小排気量車に空冷が多いのは、スペース的な問題と、メンテナンス性を優先してるのでしょうね。


走行風をエンジンに直に当てることで冷却させ、また放熱効果を高めるため、
冷却フィンと呼ばれる金属製の薄いヒレをエンジン周囲、特にシリンダーやシリンダーヘッドあたりにたくさん付けて
表面積を稼いでいます。

僕が、先ほど「デザインがいい」といった部分のことですね。
まれに水冷エンジンでも冷却フィンが付いている車種もありますが、あくまでもデザイン的なもの。


それと、補助的にエンジンオイルの冷却効果も利用するため、
水冷に比べエンジンオイルを多く必要とし、
オイルを冷却させるオイルクーラーという、ラジエターを小さくしたようなものが付いていることが多いです。


これだけなら、昔ながらの空冷も捨てたもんじゃないなと言いたくなりますが、そうは問屋が卸さない(笑)。


デメリットも挙げておこう。多分大したことはないやろうけど↓

放熱効果が高い、の裏返しで、エンジン周りからの熱風がライダーを襲い、夏場は灼熱地獄
大排気量車だと強烈らしく、エンジンに触れた部分のジーンズが焦げてヤケドした、の報告あり(信じられへん)。


走行風を受けないと冷却効果が上がらないため、長時間渋滞にハマっていると、オーバーヒートすることもある。

デザインはいいけれど、フィンのすき間にホコリやゴミがたまりやすく、掃除が面倒だし、
古くなってメッキや耐熱塗装がはげ、そこから白いサビが浮いたりするとみすぼらしくなる(笑)。



なんだか空冷を敬遠したくなってきたぞ(笑)。


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では、あらためて水冷をば。
空冷には勝てないやろうけど、書いとかなきゃ不公平でしょ?

現在主流の冷却方式


エンジン内に張り巡らされているウォータージャケットと呼ばれる水路を冷却水が通ることで、
エンジンが冷やされます。
これにはエンジンノイズの防音効果もあるらしいです。


そして熱せられた冷却水はラジエターで冷やされて、またエンジン内に戻ります。
ラジエターでの冷却は、走行風や冷却ファンによって行われるので、水冷エンジンといえども空冷と無縁とも言えないんです。



ここに入れる水は、ただの水(軟水)に、LLC(Long Life Coolant)という不凍液を20〜50%程度混ぜたものを使用します。
真水だけだと、サビが発生しますし、水も早くに腐敗してしまいます。
あと、真冬など0℃以下で水が凍結してしまうと、エンジンの冷却が出来ない恐れもありますので、
それらを防ぐ意味で重要なものです。



それから、エンジンが高温になるのに、冷却水が100℃で沸騰してしまうと、冷却不足になるので、
ラジエターキャップなる栓で密閉・加圧し、沸点を120℃位にすることで
いかなる状況でも高い冷却能力を発揮
するようになります。



冷却効率では一番優れていて、コスト的にもまずまず。渋滞にも強いとあって、現在の車はほぼ全て水冷。
空冷の車なんて、古いポルシェぐらいしか知らんど(笑)。


パソコンのCPUなどの冷却も、冷却ファンで内部に風を送るのが普通ですが、
高性能モデルだと水冷もありますよねぇ。やっぱ時代は水なのかなぁ。



水冷vs空冷の実用対決、水冷に軍配!
空冷敗れたり〜〜うううう(涙)。



ただ、水冷にも弱点があり、

ラジエターホースの破れなどにより冷却水が不足すると、一発でオーバーヒートします。
これは怖いど〜。僕は去年(2007(平成19)年)の夏に「2相棒」で経験しました。
水温が限界温度の120℃まで上がったときは、このバイクどうなんねんと不安になりましたよ。


あと、デザインに個性がなくダサい(笑)。写真はCB1300ですが…→ 


このセンスを疑うルックスと、ゴチャゴチャしたエンジン周り。たとえDOHCだろうが何だろうがイケてません。
フィン付けりゃ、まだ見られる姿になるだろうに。
XJR1300に弟子入りしろ(笑)。




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以下オマケの項目(笑)。

油冷エンジンというものもあります。

スズキのごく一部の車種に採用された、ほぼマニア向けの冷却方式です。

僕は長年、水冷エンジンの水の代わりに、エンジンオイルとは別のオイルを循環させて冷却してると思っていたのですが、
全然違いました。


エンジンオイルの冷却効果を積極的に使ったものを指します。
シリンダーヘッドとクランク部分にノズルを設けて、カムシャフトとピストン裏に勢いよくオイルを吹き付けて冷却をするシステムです。

熱の発生する部分をダイレクトに冷やせることが最大のメリットといわれています。
しかし基本的な冷却は空冷なんです。冷却フィンもあるので油冷と空冷は、パッと見では区別がつきません。
ま、オイルクーラーがラジエター並みに大きいのが特徴かなぁ…。
そのため、油冷エンジンは、「空油冷エンジン」とも言われます。


油冷は空冷のデメリットを克服したものと言われていました。
が、その割に普及せず、消えていきました(笑)。


バンディット1200とGSF1200が油冷の代表選手でしたが、
2007年のモデルチェンジを機に水冷になってしまいましたし。

最後まで残った油冷はGSX1400。それも2008年で姿を消しました。


だって、放熱でヤケドすると書いた空冷の比じゃない(らしい)んですもん。どんなんやねん(笑)。

冬場はオイルヒーター状態で、体ホカホカかもしれませんよ。
だけど、それって、夏場は乗れたものではないんじゃ…。



結論:水冷も油冷も、どこかで空冷の恩恵を受けている。
故に、空冷の最終勝利?!


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ちなみに、「2相棒」も水冷なのにエンジン周りが熱いのなんの。
放熱効果が優れてる証拠だといえばそれまでですけど…、それにも限度があるやん。
エンジンの上にフライパン置いたら目玉焼きが焼けそうなほど熱い?!
V型エンジンの後ろのシリンダーが、座ってる真下にあるからなぁorz



メーカーには 夏でも快適に乗れるバイクの開発を夏休みの宿題にしとくから、ちゃんと9月1日に提出すること!
「宿題はやったんですけど、持ってくるの忘れました〜」は今すぐ家まで取りに帰ってもらうからな( ̄ー ̄)




参考資料 オートバイ(モーターマガジン社) 1997年9月号