「ベタ踏み坂」のトリック
ダイハツの軽四、タントカスタムのテレビCMで紹介されて一躍有名になった場所があります。
その動画がYouTubeに載ってますのでコラムの続きを読む前に観てくださいな。
↓コチラをクリックすると新しいウィンドウ/YouTubeアプリで動画が観られます。
https://www.youtube.com/watch?v=Y-2tUIL_X2Q
これは、鳥取県境港市と島根県松江市を隔てる江島大橋(えしま
おおはし)で撮影されました。
今やったら「ベタ踏み坂」を正式名称に改めたほうがいいと思うわ(笑)。
映像やチラシを見る限り、こんなジェットコースターみたいな坂道があるわけないやん、
それに、坂じゃなくて壁やろ!と
関西人なら間違いなくツッ込みますよ(笑)。
これは一体どういうことなのか?疑問を疑問のままにしたくない僕は、「2相棒」と国道9号をひた走り
因幡(いなば)〜出雲路へと出向いたのでした。
境港市で「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪オブジェが並ぶ「水木しげるロード」を堪能した僕は
いよいよ県境へと向かいました。
おっ、これがベタ踏み坂…いや、江島大橋か〜。
橋の下を航行する船舶のために頂点部の海面からの高さが約45mもありますが、
坂のふもとから見る限り特別急な坂にも見えへんねんけど…。
おれ、来る場所間違えたんやろうか?本当にそう思いました。
ま、論より証拠。あれこれ考えず橋を渡ってみましょうかね。
ブーン(走行中)
…おや?「2相棒」だと、難なく上れる程度の勾配…どころか、他の車もフツーに坂を上ってますけど。
それどころか、頑張ったら3段変速のママチャリの立ち漕ぎでもクリアできそうやで。
頂点部近くになると、周囲にさえぎるものが無いため吹きつける風が強くなり、
バイクがフラフラと左右に振られます。
坂の勾配を体感するよりも真っ直ぐ走るのに神経が行ってしまってベタ踏み坂を味わう余裕があらへんがな〜。
そうこうしているうちに橋を渡り終え、島根県側に降り立った僕は、
ベタ踏み坂がどれほど凄い坂なのかを一望できそうな場所を求めて移動しました。
そこから見たベタ踏み坂はコレ。
全景を映した動画(mpeg形式、約10秒、2.67MB)もありますので、良ければどうぞ。
(↓クリックすると動画再生ソフト(アプリ)が立ち上がります。見られない場合は、リンクを右クリック(長タップ)をして保存してご覧ください)
http://eimaru.sakura.ne.jp/49cc-talk/betabumi/betabumi.mpg
あんまり大した坂と違うやん。
橋を真正面から見ても、
テレビCMやチラシみたいに見えへんやん。
何でや?!何で壁のようにそそり立つ、あの「ベタ踏み坂」に見えへんのんや?!
何で?!何で?!何でやーッ!!?
湧きたつ憤りを撒き散らしながら橋の周囲を熊のようにノソノソ歩いても、分からない。
どうして僕の目には、ちょっと急な坂道にしか見えないのか…。
……あ!!
ふと気付いたんです。
もしかして、そういうことか!
僕の予想が正しければ、「その通り」になるはず。
そうして僕が撮った写真がコレ。
壁…とまではいきませんが、天空に上っていくような勢いのベタ踏み坂ですやん。
さきほどの横から見た橋と同じ橋だとは思えないでしょ?
どうしてこうなったのでしょう?
↓------これより種明かし------(マウス等で反転表示させてください)↓
実は、離れた場所から望遠レンズで撮っただけ。
望遠レンズは遠近感を縮めてしまうため、直線的な坂道が「縮んで」急勾配の壁のように写ってしまうのです。
チラシやTVのCMで登場するベタ踏み坂は、更に遠方から超望遠レンズで撮ったために、より大袈裟に
写っているというわけ。
レンズが作り出したトリック写真であり、肉眼でこのように見ることは出来ません。
↑------種明かし終わり------↑
トリックを見破った僕は、ああ、そうやったのか…!面白いものやなぁと、ひとり妙に納得し、
ベタ踏み坂を後にしたのでした。
ちなみに、滋賀県の琵琶湖大橋も同じ条件を満たしていますので、
江島大橋同様にベタ踏み坂にすることが出来ますよ(笑)。