原動機無自転車に潜むワナ




原動機付自転車(原チャ)といえば、50cc未満のバイクのことを指しています。
いまどきの原チャなど、どこをどう見ても「自転車」には見えないんですけど、
登場当時は、自転車にエンジンを載せただけのシンプルな乗り物だったことをうかがわせます。


それに対抗して、↑ げんどうきなしじてんしゃ と名づけてみました。
略して原ナシ。



……深く考えてません?


ただの自転車のことですよ(笑)。



便利ですよね。ちょっとそこまで買い物とか、近距離の移動には最適。
バイクのようにメットもかぶらなくていいし、運転免許もいらない。子供だって運転OK。
自分のペースで気持ちよく走れるし、騒音や排気ガスも出さない。階段などでは担いでいくことだって出来ます。
究極のエコロジー車



僕がもうひとつ趣味を増やすなら、自転車を選ぶでしょう。
あ、ママチャリではなくロードレーサー的なものや、モトクロスみたいな競技用自転車ですよ。
カッコいいメットとウェアに身を包んで大自然の中を駆け巡る…。
琵琶湖の湖周道路をバイクで走っていると、彼らとよく出くわします。
バイクとはまた違った楽しさがありますし、すごく憧れます。


こんな僕も自転車で琵琶湖一周は2回してるんですけどね。



そんな自転車ですが、あまりに自由度が高いためか傍若無人な走りかたをしてる方も少なくはありません。


歩道を歩行者の間を音もなく すり抜けていったり、
傘をさして走ったり、
携帯片手に走ったり、
夜にライトも点けず走ったり、
子供を前と後ろに乗せて3人乗りしたり、
交差点を減速もせず突き抜けたり、
道のド真ん中をいきなり横断したり、



上から5番目以外の全てをしたことがある僕が言ってもちっとも説得力がありませんが、
免許を取って公道をバイクで走るようになったときに、
自転車の無茶な走りにヒヤヒヤした覚え
があります。


なにしろ、車輪のある乗り物の中で、ほぼ最も交通弱者な立場の自転車ですからね。
車・バイクで自転車と交通事故を起こすと、
自転車側に重過失があったとしても、法律上車・バイクが悪くなります
からね。
理不尽でなりません。



自転車同士の事故や自転車と歩行者の事故も最近多発しています。



京都府下の自転車の事故(2004年)は3986件で交通事故全体の16.6%を占め、16人が死亡しています。
全国での自転車事故(2002年)は約17万件、991人の方が亡くなっています。
メチャクチャ多いんですね。



2003年の交通安全標語は「自転車も飛ばせば怖い暴走車」でした。見方を変えれば自転車だって走る凶器です。
自転車といえど、道公法上「車両」なので、車同様 違反行為には罰則もあります。
だから本来は安易に扱うべきではないのでしょうね。


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こんな新聞記事がありました。
記事転載(一部編集)

 京都府警右京署は自転車の2人乗りを続けたとして、
男(22歳)を道交法違反(自転車の2人乗り)容疑で「交通切符」(赤切符)を切って検挙した。

府内での同容疑による検挙は30年ぶり。
府警は「マナーがあまりにも悪く、見過ごすわけには行かなかった」としている。

 調べでは、男が自転車の後部に友人の女性を乗せて走行した疑い。
同署員が見つけ、再三注意したが男は無視。
停止させようと自転車のハンドルをつかんだ署員の顔を殴り、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。

府警は男を悪質な交通違反者と判断し、赤切符を切ったという。



2005年4月19日付毎日新聞朝刊より


記事を読んで おや? 思ったことはありませんか。


文面に「交通切符(赤切符)」とあります。
車・バイクでの飲酒運転や、制限速度を30km/h以上超過したときや、無免許運転などに対して切られるアレです。


それ以外の軽微な交通違反は「反則行為」といい、反則切符が切られ、
期日までに反則金を収めると刑罰を科されないシステムがあります。


反則切符はその色から「青切符」と呼ばれています。お世話になった方も多いでしょう。僕も貰ったことがあります(-_-x)。



本来は道交法違反で検挙されると、ほかの犯罪と同様、裁判を受け刑事罰を受けることになります。
が、道交法違反で検挙された年間900万人全てに対していちいち裁判などしてるとキリがないですので、
軽微な交通違反には↑のように、手続きを簡略化できる制度があります。




これは車・バイクに対してだけの特例で、
自転車には、反則制度が無いのです。
なぜ無いかというと、青切符の制度が出来た当時(1965(昭和40)年ころ)、
自転車の違反件数が少なかったことから対象とされなかったのです。
ま、違反行為の自転車を見つけても、口頭での注意や指導警告票(イエローカード)を渡す程度でした。



なので、自転車で検挙されるといきなり赤切符を切られ略式裁判を受けるハメになり、
罰金刑以上だと前科
になります。ひ〜ッ、犯罪者〜〜!




上記の内容を模式的にあらわすと、

車・バイクでの場合は↓
反則行為 (反則切符(青切符))

交通違反 (交通切符(赤切符))
自転車の場合は、↓
交通違反 (交通切符(赤切符))

 


こんな感じです。
恐ろしい!手軽な自転車の陰にはこんな制度が隠されていたのです。
もっと書きましょうか。刑罰の差を。

 

車種による反則金(赤文字は刑罰)

反則(違反)行為

自動二輪 原付

自転車

信号無視 9千円 7千円 6千円 懲役3ヶ月以下、または5万円以下の罰金
2人乗り
(自転車以外は定員外乗車)
6千円 6千円 5千円 2万円以下の罰金または科料
無灯火 6千円 6千円 5千円 5万円以下の罰金
並走

該当なし

2万円以下の罰金または科料
歩行者妨害
(歩行者への注意や徐行を怠る)
9千円 7千円 6千円 懲役3ヶ月以下、または5万円以下の罰金
急な進路変更
(自転車以外は合図不履行)
6千円 6千円 5千円 5万円以下の罰金
通行区分違反
(自転車は、自転車通行可でない歩道を走行した場合)
6千円 6千円 5千円 2万円以下の罰金または科料
指定場所一時不停止 7千円 6千円 5千円 懲役3ヶ月以下、または5万円以下の罰金
安全運転義務違反
(手放し、傘さし、携帯電話(※自転車の場合))
9千円 7千円 6千円 5万円以下の罰金
酒酔い運転

懲役5年以下、または罰金100万円以下


ただし:
自転車の2人乗りは、16歳以上の人が6歳未満の幼児1人を乗車用補助装置に乗車させ、またはヒモ等で確実に緊縛している場合はこの限りではありません。
傘さし運転は、交通のきわめて閑散な道路での運転はこの限りではありません。
(※京都府道路交通規則による)



こんなに罰則が厳しいなら、怖くて自転車に乗れなくなりそう…。



K察自体はいきなり前科となってしまう自転車の交通違反の摘発には慎重だったのですが、
警察庁は、自転車の悪質な交通違反の取り締まりの強化の通達
を出しました。
具体的には信号無視や、歩行者妨害に対して積極的に道交法違反で検挙するとのことです。

最近の自転車のルール違反や運転マナーの悪さ、自転車の事故の増加も受けて、
無法地帯となっている自転車にもちょっとはお灸をすえたほうが…ってことでしょう。



自由な乗り物、自転車。
その「自由」とは、ある一定の決まりがあってこそ成り立つものだということを 忘れてはいけませんよ、ね!



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こんな新聞記事を発見。

警報機が鳴る踏切、自転車で渡り 高1少女を検挙   岡崎 / 愛知



 警報機が鳴っている踏切を自転車で渡ったとして県警第2交通機動隊は26日、
岡崎市の高校1年の少女(15)を道路交通法違反(遮断踏切立ち入り)の疑いで検挙した。
27日に名古屋地検に書類送検する。
同機動隊によると、同種事案の検挙は今年に入って6件あったという。

 調べでは少女は同日午後5時15分ごろ、岡崎市矢作町の名古屋鉄道名古屋本線の踏切で、
警報機が鳴っているにもかかわらず手前で自転車で停止せず、遮断機が下りる前に踏切に入った疑い。
パトロール中の隊員が目撃し、交通切符(赤切符)を交付した。

 少女は「友人と待ち合わせで急いでいた。ごめんなさい」と謝っているという。
道交法では警報機が鳴っている踏切に入った場合、3カ月以下の懲役か5万円以下の罰金を定めている。

遮断機が下りているのを上げて渡るヤツは電車に轢かれたらいいとけど、
これは…愛知県K第2交通機動隊、いくらなんでもやりすぎやろ。見せしめというよりK察の「検挙実績」稼ぎをしているとしか思えへんな。



参考資料
京都新聞 2006年4月 6日付夕刊
2006年5月30日付夕刊
毎日新聞 2003年3月26日付朝刊
2005年2月16日付朝刊
2005年4月19日付朝刊
2006年4月13日付朝刊
2007年4月27日付朝刊



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こんなものに乗ってて赤切符を切られたケースもあります↓

←摘発された男曰く、「道に車を停めて買い物に行こうと思ったが、
距離があったので車に積んでいたスケボーに乗ってしまった」。


しかも、この市道は片側2車線で交通量が多く、男は左側車線を占領したため、
後続車両は車線変更するなど混乱したそうです。



……36にもなってバカですか?
こんな記事を読むにつけ、ニポン人の「大人の子ども化」を憂いますわ。はぁ……。


参考資料: 京都新聞 2006年8月10日付朝刊
毎日新聞 2006年8月10日付朝刊