おれたち国際A級ライダー気分




※おことわり

このコラムは「モータースポーツ宣言都市からのバイク漬け便り」の一部ですので、
読まれてない方はここをクリックして予習されることを強く推奨します。
予習しとかないと、突然出てくる謎の固有名詞に困惑しますよ(笑)。


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日も傾き始めたころ、僕たちは再び「バイク賞品王」の会場であるA2パドックに集合。


いよいよ、待ちに待ったメインイベント、「パレード走行」です。

鈴鹿サーキットの国際フルコース(1周5.821km)を自分のバイクで走れる瞬間がやってきたのです。



まずは隊列を整えます。なんせ120台のバイクですから、いっぺんにコースインしたら混乱しちゃいます。
適宜グループに別れ、コースへと進んでいくわけです。



そして、コースへと流入したところは、
いつもはメインスタンドから見下ろしているホームストレート



大歓声に包まれ、「戦場」へといざなうレーサーたちを思います。




えいまる (左・「2相棒」)と
Aさん (右・VT250Fインテグラ)
えりあさん(アプリリアAREA51) momoさん(Dream125)





走る前に、メインストレートで集合写真の撮影です。
立て続けに2枚撮影され、3枚目の写真を撮るとき、カメラマンが



「みんな じっとしていて、つまらないですよ〜」



ファインダーの向こうの120人全員がお行儀よく並んで固くなっているサマは、
さながらバス旅行の観光地での記念写真みたいになっていたのでしょう。

僕たちが並んでいたのは最後列。
すかさず言いました。



飛んどこか。



momoさん、えりあさん、Aさん(仮名)の方を見ると、

「それでいきましょう」




4人で集団から1歩下がり、カメラマンの「3〜!・2〜!・1〜!」のカウントダウンに合わせて、
今や!!

…結果は写真のとおり。Aさんがわずかにタイミングがずれたようですが、おおむねOK(笑)。

ほかの皆さんの様子を伺うと、やっぱり固いままでしたので、

僕たちは違う意味でも浮いていました(^^)ヾ





おのおののバイクに跨り、パレード走行の始まりです。




シビックtypeR、アコードワゴン、レジェンドといったオフィシャルカーが先導してくれ、いやが上にもテンションがあがります。


僕は、そこそこ速く走る大きなバイクのグループに混じってもよかったのですが、
原付の えりあさんが、強制的に最後尾のグループにまとめられていたので、
せっかくやし、4人一緒で走りたいと僕も最後尾グループにもぐりこみました。


走り出すときには、スタートラインの上に点る赤信号がシグナルブルーに変わる心憎い演出もあり、
人生初のサーキット走行が始まりました。



路面は継ぎ目もなくしっかり踏み固められた真っ平らなアスファルト
視界をさえぎるものなど何もない。
しかし、コース外に一直線に伸びる無数のブレーキ痕が鈴鹿の非情さを如実に物語っています。



まさに、走るために走る道。



ああ、おれ、レーサーやん。

時速50kmほどしか出てないけど(笑)。



走りながらサーキットの写真を撮ろうかとデジカメを首からぶら下げていましたが、
写真ではなく、自分の心に刻もうとカメラに手を伸ばすことはありませんでした。

コースは知っているつもりでしたが、
実際に走ると、広すぎて、いま自分がどの位置を走行中なのか全くわかりませんでしたわ(笑)。




「逆バンクコーナー」を走行中、接する「バイク賞品王」会場に不審な人影を確認。
会場に目をやると、コースの際に停めた軽トラの荷台から手を振るホスト兄が!(笑)


安っぽい白の軽トラと派手な服装のホスト兄のチグハグさに、メットの内側で笑いながらも
僕もいっぱい手を振り返しましたよ ( ^o^)ノシ




2周、11km半のパレード走行は、あっという間に終わり、国際コースをあとにしました。


正直言うと、レーサー気分ではなく、本気で「走るために走りたい」という興奮でいっぱいでした。
なので、パレード走行では不完全燃焼でした。



が、

最後の終了のアイサツ時にホスト兄はすべてを見透かしたかのように

「物足りないくらいが丁度いいんですよ」と言われました。
確かにこの状況下で「満足」を得るのは難しいのではないかと思います。全開走行なんぞしたら、まずマトモな体で戻ってこられないでしょうし。


しかし、この中途半端さは、僕たちをハメる策略だったに違いありません(笑)。



だって、レースや競争に興味を示さない僕が、また「走るために走りたい」と思ったのですから。
いつの日か、レーシングスーツに身を包みレーサーバイクに跨った僕が、鈴鹿のスターティンググリッドでシグナルブルーを待つときが…。


写真提供:momoさん。ありがとうございます。