真視力検査




先月(2010年9月)のある日曜日、運転免許証の更新に行ってきました。

僕が免許を取得した当初は、平日しか更新ができず、
土日だけが休みの学生さんや社会人は授業をサボったり仕事をサボったりして手続きにいかねばならず、不便なものでした。


今では日曜も更新ができますし、僕も無駄に仕事を休まずに済むので2回連続日曜日に更新となりました。



この更新により10年間守り続けたゴールド免許から陥落する僕は、警察署などでのお手軽更新が許されず、
運転免許試験場までわざわざ行かなくてはなりませんでした。



京都府の試験場は、京都市伏見区の超ド辺鄙(へんぴ)な場所にあり、
一応市街地でありながら、公共交通機関でのアクセスが信じられないほど悪いのです。
土地購入費用をケチったとしか思えません。京都駅前の七条警察署の跡地を試験場にしてくれたら便利でいいのに。


肝心の建物も老朽化してる上に何度も増築されているのに、内装工事は一度も行われてないようで、
内部は迷路&昭和40年代テイスト(笑)。


しかも、試験場の近所では熱心な交通取締りが行われていることも、なにかの陰謀だと思っています(笑)。


あ、職場の先輩の中に試験場から自転車で5分のところに住んでる方がおられますので、悪口はこのくらいで(笑)。



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「2相棒」と試験場に向かう、この日の僕は気合が入っていました。


服は、最も気に入っているカンタベリーの一番高いラガーシャツを。
メットのせいでクチャクチャになったヘアスタイルを直すために濡れタオル持参
もちろん散髪済み
ハードのコンタクトを装着すると、瞳が大きく開いてしまうので裸眼にメガネ持参
いつも通っているジムのプールのベランダで日焼けした小麦色の肌


…勘の良い方ならお分かりでしょう。僕が何を企んでいるのかを。あ、デートじゃないですよ(笑)。



どんなに頑張ってもヘンな写りになってしまうあの写真を、なんとかオトコマエに出来ないかと
更新の3ヶ月も前から下準備を重ねてきたのです。



そう、全ては免許証の写真のためや!!




しかし、僕には写真撮影より大きな難関が待っていることが分かっているので憂うつでした。

それは、深視力検査です。「しんしりょく」と読みます。

大型免許や2種免許など、運転のプロ向けの免許をお持ちの方は必須の検査で、
普通の平面視力検査とは別に、遠近感や立体感を測定するものです。



検査方法は、覗き込むタイプの検査機の中に、3本の爪楊枝状の黒く細長い棒が ||| と横一列に並んでいて、
真ん中の1本だけが前後に8cmずつ往復運動します。

それを真正面から見て、3本が一直線になったときにボタンを押し、3回連続で誤差±2cm以下であればOKというもの。

今流行の3Dですよ、3D。




だけど、僕は先天的に立体視力に長けてないらしく、
球技系のスポーツでは、自分に向けて飛んでくるボールの距離感が分からず、取り損ねて顔面キャッチするなんて当たり前。
車のバックミラーを見ても後方の物までの距離感がつかめず、難儀することも。


そんな僕が細くて短い爪楊枝の遠近感など分かるはずないやん。
なんでこんな意味の無い検査をするのかとキレそうになります。いやキレてます(笑)。
けれども、深視力検査をパスしないと、大枚をはたいて取得した大型免許が取り消されてしまうので必死なんですよ。




その日の深視力検査は、僕と50代後半と思しき男性の2人が苦戦していました。

僕には合格できない原因がありました。
矯正視力が左1.2、右0.8とバランスが悪く、おまけに乱視で爪楊枝への焦点が定まらないのです。



ううう、何度チャレンジしても大きくズレてしまう(涙)。


深視力検査は目への負担が大きいため、
再チャレンジの場合、少々時間を置いて目を休ませてやらなければなりません。
そのうち、目を休ませても目がだるいいままに。
目の疲労回復が追いついていません。


追い討ちをかけるように検査官(K察官です)が「ホラ、時間がなくなってきたよ」とイラついた声で言い出すではないか。


確かに免許更新受付時間は過ぎてるし、普通の視力検査の人は全員終了して、視力検査場には深視力が合格できない
僕たち2人しか残ってへんのは分かってる。
けれど、時間内に受付を済ませてる申請者(僕たち)には検査を受ける権利があるやろ、
気が済むまで深視力検査を受けさせんかい(-_-x)



ここのK察官は なんとお役所仕事で上から目線なんやろ。
大人なおれ(自称)やから怒りを抑えて「いや〜すんませんねぇお手間取らせて」って言ってるけど、
これが気の短いヤツやったら、道端でバッタリあった瞬間に刺されてもおかしくないど、あんた(笑)。




半泣きになって何度も検査を受けなおしてる僕に、
一度で深視力検査を合格した いかにもトラック乗りという風貌のオジサンがボソッと言いました。




「3本ともジッと見てるから難しいんと違うか?2本だけ見てみ?




そうか、
そう言われて、動いてる真ん中の棒と、右側の棒だけを見比べることにしました。左側の棒は視野から遮断(笑)。
すると、僕の目でも、両者の違いがなんとなく分かります。


ここか!ここか!ここか!とボタンを連打したら、

検査官「よし!合格ですよ」

もはや当て勘ですが、勝てば官軍。
ありがとうトラック乗りのオジサン!!



かくして僕の大型免許は生き残りました(笑)。

嬉しさのあまりガッツポーズしながら視力検査室を飛び出ちゃったので、
もう一人の男性がその後合格出来たかどうか知りません(謝)。




文章では分かりにくいですが、このように深視力検査というものは厄介なだけの代物です。

仕事上で大型免許等が必要であれば仕方がありませんが、
僕のように冗談半分で大型免許を取得してしまうと、更新のたびに苦しむことになりますので、
取得される方はくれぐれも覚悟の程を(笑)。




深視力の後の写真撮影も、事前の準備のおかげでカンペキな写りが出来たと自負している僕の免許証を見よ!!


Before

After

よしよし、計算通り(?)オトコマエに写ってるやん。


でも、やっぱり免許の色が変わってしまったがな orz
5年前はスマートやったんやなぁ ○| ̄|_




それはともかく、期待していたのです。
更新に訪れた2ヶ月前に、免許証の一部が改められ、

下の図のように本籍地欄そのものが無かったり、
裏側には、脳死状態での臓器提供意思表示欄が出来
ているはずでした。







しかし!!

僕の新しい免許証には、無くなっているはずの本籍地欄は残ったままやし、
裏側に臓器提供の意思表示欄も無いやないかッ!!
おいこら京都府公安委員会!何でこうも おれの期待を裏切ってくれんねん!!


もう〜、おれは脳死したら全臓器を提供する気マンマンやったのに、一気に萎えたわ。


まぁ、たとえ提供したとしても、
僕の肝臓はフォアグラやし、腎臓では石を飼ってるし、すい臓は高エコーやし、心臓には脂肪が巻いてるんで、
移植時に運悪く僕のが当たっちゃった方はガマンしてよね(笑)。