必要なのは水道代




2年前でしたっけね、ホンダの燃料電池車(FCV)、クラリティ・フューエルセルに試乗したのは。








水素(H2)を燃料とし、酸素(O2)と化学反応させること発生したエネルギーを電力に、
モーターを駆動しさせて走る車のこと
です。
中学の理科で習うとおり、水素と酸素の化合で発生するのは水だけ



FCVの試乗記はこちらのコラムを読んでいただくことにして(→ コラム 「究極のエコカー」)、
ここでは次世代の燃料と言われている水素についてちょっぴり勉強しようと思います。




ホンダのディーラーにある水素生成&充填装置はこれです。




本来はそれなりにサイズのあるプラントですが、
京都市が水素社会の実現を目指して設置したコンパクトタイプのもので、イ○バの物置くらいの大きさです(笑)。



水素は、化石燃料やウランのように自然界には大量に存在していないため、人工的に作る必要があります。

どうやって作るかというと、先ほど出てきました中学の理科の実験と同じ仕組みを使います。



水を電気分解するんです。やりましたよね?



僕は理科の実験が大好きでしたので、教室でやったのを良く覚えています。
水に直流の電気を流すと、プラス極側から水素が、マイナス極側から酸素が発生します。

そう、ホンダのディーラーにある装置はまさしく理科の実験そのままの仕組みなんです。

ここで素朴な疑問が発生します。



電気の元となる水素を作るのに、電気を使うの?



そうなんです。

ご存知かもしれませんが、電気は溜めておくことができません。
発電所で発電した電気は、送電線を伝って瞬時に各家庭や商店、工場等に送られます。
そのために、発電所ではニーズに応じて発電量を調節しているんですね。
(夏場の暑い時期だとエアコンの使用が多くなるのでたくさん発電し、
夜間は昼間に比べると電力使用量が少ないので発電量を減らすなど)



どうして?電気自動車(EV)やスマホのバッテリーは充電して電気を溜めてるやん。



確かにそうですが、溜めておける量が桁違いに少ないです。
フル充電した最新式のEVの電力量は、家庭で消費する電力、何日分相当ですか。
それではせいぜい数日しか持たないですよ。
それに、EVから電力のアウトレット(コンセント使用)しようにも、必ず傍にEVが必要になります。
不便ですやん。



それを水素と言う形にしておけば、実質的に電気を溜めておけることになりますし、
持ち運びもできます。

そこが水素のいいところなのです。







ちなみに、ホンダの(以下略)では、
電気分解用の電力も太陽光発電で賄っているので、必要なのは水だけ。
それも水道水だそうです(笑)。そういうわけで、生成コストは水道代だけ。
ですので、かなり安いそうです(幾らなのかは聞き忘れました(謝))。



ただし、装置の規模がイナ○の物置クラスですので、
クラリティ・フューエルセル1台分の水素を生成するのに3日ほどかかります(超遅)。



水素を車に注入する給油口(…油ではないか)はこんな風になっています。



ガスコンロのガス管接続口みたいです(笑)。




接続するホースはガス管みたいに細くなく、ガソリンの給油ホースなみに太いです。


更に、給電機能もありますので、専用の給電器を接続すれば、家庭用電源(100Vだけでなく200Vも!)も使用できます。
定格出力は9.0kVA。家庭での1週間分の電力を供給できます。





↑見た目は発電機くらいですが、重量が発電機よりもかなり重い50kgもありますので、要軽量化。




水素活用については、こちらの新聞記事がまとまっていますので、セルフサービスでご覧ください。
記事が巨大ですので、スマホでご覧の方は閲覧しづらいですが、気合でカバーのこと(笑)。







このように、水素は次世代の燃料として注目を浴びているそうです…、
が、僕がFCV試乗した2年前から現在にいたるまでで あまり…というか、ほとんど進展がないようなのです。
明るい水素社会の実現はどうなっているんでしょうか(疑)。




記事引用:毎日新聞 2019年9月4日付朝刊