生駒山かて知ってるで(後編・暗峠編)



阪奈道路をLEADで命からがらで走りぬいたイナカモンは、生駒山を西へ越え、大阪府大東市に到着しました。


時間は12時を回っていて、朝ごはんも少なめでしたので、腹もペコペコ。
一人でツーリングに出かけると、いつも何を食べようかと迷います。
ラーメン屋やハンバーガー屋、コンビニでは味気ない。
すると、道沿いにホカ弁屋発見!
ここに決〜めた!


健康を意識して、30種類の食材を使った和風ハンバーグ弁当と野菜サラダを購入。
すぐにでも食べたかったのですが、
この先、再び生駒山を越えますので、見晴らしのいいところでお昼にしようと今はガマンガマン。


ルートは次の通りです。

自宅(京都市山科区)→<外環状線>→観月橋(京都市伏見区)→<R24>→奈良市→

→<県道1号>→阪奈道路→<信貴生駒スカイライン入口>→<県道8号>→大阪府大東市→


→<R170>→大阪府東大阪市→<R308>→暗峠→奈良県生駒市→奈良市→<R369>→奈良公園→

→<R24>→観月橋→<外環状線>→自宅


注:このページ「後編」で扱っている行程は、大阪府大東市以降。それ以前のものは、「前編」に。


さて、生駒スカイラインを走り損ねた僕ですが、余りに悔しいので生駒山を東へ再び越えることを決意します。
ツーリングマップルを見てると、山を縦断する生駒スカイラインと交差するように国道が走っています。
さらに、峠は石だたみになっていると書かれてあって、情緒あふれてそう。ここを走って奈良県に戻ろう、そう決めました。
それが“酷道”308号線だとは全く知らずに…。


大阪側のR308の入口は分かりにくいですので、
R170から適当にアタリをつけて道を曲がって、それらしい道をたどる事にしました。
偶然それがR308でした。国道の標識もほとんど立っていませんので、ロードマップかカーナビをしっかり見ていないと迷います。

特徴としては、ずっと強烈な上り坂です。これ以外に表現の言葉が思い浮かびません。
この容赦ない坂道がLEADを泣かせます。

パワーアップしたはずのLEADですが、
余りにきつく長い坂道に苦しそうなエンジン音を上げます。
次第に道路の舗装は、ドーナツ型の穴の開いたコンクリート舗装になり、
道は離合困難な1車線
林の中に伸びる道は、昼間でも薄暗く、不安を更にかりたてます。
見た目は緩やかな坂に見えますが…



その時は地元の中学生が、クロスカントリー競争をしていましたので、道に活気があり、僕も多少は元気が出ます。
LEADは低く唸り声を上げながら中学生達の間を走っていくのですが、強烈な坂道のこと、全開で15km/hくらいしか出ません(涙)。
あまりにモタモタした走りですので、中学生やその先生方がじっくり僕を観察しています。
こんな所に原チャで来てる僕をあざけるかのように(ToT)
見るな見るな〜〜!!見せモンちゃうぞー!


ううう、この坂道、い・つ・ま・で・続・く・ん・や・ぁ・〜・〜・〜(号泣)!
中学生達も途中でいなくなり、それ以降は人も車もいませんし、PHSも繋がらない。
かと言ってこのまま引き返すのは男がすたる。


速度は全開で10キロ台をキープしたまま。この状態がバイクにとっていいはずがありません。
エンジンが焼きつくぞ!と思いながら坂を上がっていくと、山間部の何かの管理道路とぶつかりました。
そこは平坦になっていましたので、LEADを休憩させてやることにしました。
いや、おれも休憩したいよ。




酷使されたLEADのエンジンはオーバーヒートしていました。
しばらく休ませてやらないと今度はエンジンが壊れてしまう。
R170からの距離は、たったの2km弱でした。なのに、LEADはダウン。
おそろしやR308。


少し見晴らしのよさそうな場所から、下界を眺めると、大阪平野がずっと下のほうに見えています。
地図で調べると、この場所は標高400m近いです。
大阪平野の標高が50mにも満たないですので、計算上で、平均登り勾配15%以上。平均ですよ平均!!
ここを二の足で走れといわれたら、速攻でダウンでしょう(笑)。
だからLEADは頑張ってくれてると思わないと…。


ハイキングコースになっているのか、休憩している僕とLEADの横を次々と人々が歩いていきます。
楽しそうな彼らを見ながら、なんで俺だけこんな苦しい思いをさせられるんや…としょげたくなります。


僕の横を車や大きなバイクも坂道を上がって行きますが、どれもローギアでエンジン全開って感じで、
軽四なんか「うぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜ん」って咆哮あげてます。大丈夫か?


車ですら難儀する道を、50ccのLEADにマトモに走れってのが、そもそもムチャなんですよ。
だれや、こんな無謀な道を選んだヤツは! あ、おれか(笑)。

ってか、これのどこが国道なのか??!
きっと、大阪東部出身の国会議員が、自分の株価を上げるために 林道を強引に国道に昇格させたのでしょう。
国道の名にだまされたおれって…。




気を取り直して、続きを走る事にしました。
LEADのエンジンのかかりの悪いのが気になりましたが、オーバーヒートから回復出来たようです。
少々不安。

その先も急坂ヘアピンで、何度も失速しながら、
1車線で対向車が来たらどうしようと不安を覚えたりしながらも、
全行程 約2.5kmの坂を上りきり、夢にまで見た、石だたみが見えてきました。


暗峠やー!!



安堵に、全身の力がふにゃ〜と抜けていきます。やったやった、標高455mの暗峠に到着や!
これ以上 上り坂を走る事は無いんや…もう、何の心配もすることは無いんや。


でも、フツーに住宅が建っていて、日常が広がっていますので、
ここが生駒山のてっぺんだとは全く感じません。

ここまで苦労して登ってきたのは何だったのかと、さらに全面的に脱力しちゃいます。
暗峠・奈良県生駒市側

暗峠・大阪府東大阪市側
峠を挟んで西は大阪府、東は奈良県。

すぐそばで立体交差している、にっくき「生駒スカイライン」
上がってみました。


そこには、僕の苦労をあざ笑うように伸びるきれいに整備された道が。
おおおおおおののののれれれぇぇぇぇぃぃぃぃ!!!


そこをロータス・スーパーセブンが爆音立てて突っ走っていく姿が。


あんな車の走行は許されるのに、
何で しがない原チャ乗りは走らせてくれへんのんや??!!

生駒スカイライン
峠には古ぼけた「道幅1.3m」の標識が立っています。
この幅では、今の軽四ですら通り抜けられません。

道を拡張したのか、今では2m以上の道幅がありますので、
昼飯モードの僕の目の前を車が石だたみで
ガタガタ言わせながら行きかい
、落ち着いて食べてられません。

暗峠にカップルの乗ったベンツC200など場違いもいい所です。
どうして標識は直さないのでしょう?
暗峠とLEAD


この日、大阪府では府知事選挙投票日でした。大阪府側の住民は、一体どこまで投票に行くのだろうと疑問に思ったものです。
ふもとからここまでで、投票所らしきものがありませんでしたから。
まぁ、ここまで大阪府民の特権が通じるのかも、疑問ですが(失言)。


13時15分になっていました。もう腹ペコペコ
適当に記念写真を撮ってから、峠のたもとにあったベンチを占領し、ふもとで買ったホカ弁を広げました。
ぬるくなっていましたので、「ホカ弁」とは言いがたいですが…。



ベンチの向かい側には奈良県最西端の民家があり、何となく見られてる気がしましたが、とにかく座りたい。
人目など気にしていられません。
すると、ここにもハイキング中の人たちが通って行きます。
尾根沿いに登山道があり、R308と峠で交差しているのです。

平和な昼飯モードの僕に「こんにちは」と登山客同士が交わすあいさつをしていく方も。

あの〜〜……、どう見ても山登りの格好ではないのですが、僕。
類まれな原チャで来てるんですが、僕…。

多数行きかう彼らにジロジロみられ、せっかくの30品目弁当がまずくなります。

十分に峠を堪能したので、今度は奈良県側に下ります。
「生駒スカイライン」との立体交差をぬけると、生駒市の町並みが広がっています。

PHSの電波を拾いましたので、悪友「真宗Jr」に電話。


「今、生駒山の尾根から電話してんねん」
地理に詳しい彼なのですが「暗峠ってどこ?」とトボけた返事をする始末。
うううう(涙)。
暗峠から奈良県生駒市を望む


奈良県側も急坂ですが、途中2車線になったりで、かなり走りやすいです。
せっせと登ってきたのは、この下り坂を楽しむためだと割り切れれば、最高に気持ちいいです。
3km強を走り、あっさり生駒市街に下りてきました。振り返ると、生駒山の山並みが視界いっぱいに広がっています。


二度とLEADで暗峠に行くものか!と誓いました。



しかし、これで終わりではありませんでした。



生駒市でぶつかるR168を北上すると、奈良市街をパスできるのですが、
どうせなら、R308の東の終点、奈良市の奈良公園まで走ってやろやんかと考えました。
ツーリングマップルには生駒市と奈良市を隔てる「静かな古道峠越え」と書いてあります。
雰囲気もよさそう。
ところがこの後、ツーリングマップルの表記は、原付ユーザーを無視していることが判明。



R308をR168から東に入った途端、目の前に急坂。体感的には「ぬりかべ」が立ちはだかっているかのようです。
さっき、暗峠を抜けてで安堵したのは何だったのか!


気合をいれ、超急坂を上り始めた次の瞬間、LEADが耐えられず エンジン失速。

「アカン、停まる!」と思った僕は、とっさにバイクから飛び降り、
アクセルを開けもって、
二の足で走りながらLEADを押して上り坂をクリア。


こんな屈辱、初めてや。R308はLEADに対する挑戦のつもりですか??
さらに、北には第二阪奈道路が走ってるのが見え、せっかくの雰囲気もダイナシです。



それを抜けると、あとは奈良公園まで平坦な道が続きます。
ホッとしたのもつかの間、LEADに異変発見。


さっきまで全開で60km/h以上 軽く出ていたのに、出足も加速も最高速も鈍ってしまっているのです。
おかしいではないか…。
オーバーヒートの影響でもなさそうです。いくら走っても モタつく感じが取れませんから。

ハッとしました。
そうや、きっと、あの強烈な上り坂のせいや。
アレがLEADの復活した俊敏さをむしり取ってしまったんや。
宿敵、R308!


LEAD vs R308の戦いは、こうしてLEADの敗北に終わってしまったのでした。くやし〜!


それからは、奈良公園で鹿を眺め、行きと同じR24をたどって京都市へ帰っていきました。
途中の木津川河川敷で2度目の昼ごはんを食べて(今度はコンビニでした(笑))。




帰宅は17時。走行距離は、思ったより少ない140km。体力は300km走った位消耗しましたけどね!



教訓、R308を原チャで勝負するときは、替えのバイクを用意しとくことやな〜(笑)。


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参考サイト:

暗峠(国道308号)・大阪側急坂狭小区間
http://homepage3.nifty.com/kokudo-b/roads/01nara/308/kuragari/top.htm

国道308号 暗峠越え
http://shinzui.road.jp/route308-2.html