陽のあたる低年式車




僕は、自分の下にやってきてくれた乗り物は、乗りつぶすことを礼儀としています。

なので、僕が乗ってきた様々な乗り物のうち「最終オーナー」にならなかったのは、
20代のときに乗っていたワゴンR、1台だけ。




さて、年数の経った(古い)車は「低年式車」と呼ばれます。
「低い」というと低年齢みたいでまだ若いとか新しいなどのイメージを抱かせますが、実際にはです。
「高年式」は高学年とか高齢者みたいですが、車の世界では比較的新しいものを指します。

なんでこんなヤヤコシイ表現になってしまったのでしょう。頭の中で混乱しますわ。



低年式車には様々なデメリットがあります。

たとえば、故障が多くなるのはもちろん、
下取りに出そうにも値段が思うようにつかなかったり、
(軽)自動車税や重量税が増税されたり、
一部のディーゼル車は特定の都市に乗り入れできなかったり…。




僕がかつて乗っていた「2相棒」ことVFR800(1型)。その典型でした。
生産が終了したのが2002年。その翌年に98年式を中古で購入。
購入した時点で既に5年落ちだった「2相棒」に12年間乗りましたよ。



こうなると困るのが、パーツの入手です。



ホンダの場合、生産終了から10年で純正パーツの生産を終了します。
それ以降で欠品になった場合、他車種のものが流用できればいいのですが、
無い場合は自作したり、中古品をオーバーホールして再使用(リビルドといいます)したり…。


VFR800(1型)はチェーンやスプロケといった消耗品まで特殊形状で、
純正どころか社外品も後に生産終了し、晩年は車両の維持に意地になる(決してシャレではない)有様でした。


更に、98年式だけ仕様が異なり、生産台数がたったの400台(!!)しかなく、
99年式以降の一部のパーツが使えない問題があったので、
バイク屋さんとパーツの調達に関しては連携を密にしていましたね。



このような扱いから分かるように、メーカーとしては古い車両には乗って欲しくないんですよ。
当然といえば当然ですが、愛着のある一台をパーツがなくて修理できないから廃車にするなんて、これほど悲しいことはないです。




そんな声を受けてか、メーカーが重い腰を上げました。


ホンダが、1991(平成3)年に発売した軽スポーツカーの「ビート」で、純正パーツの再生産をすると発表したのです。


ビートは根強い人気があり、四半世紀も前のモデルなのに 総生産台数の半数が今も現役ですからね。
パーツの値段は当時の価格の1.5倍にはなるそうですが、
思い入れがあり大事に乗ってる方ならそんなもの気にならないでしょう。

なんたってメーカー純正パーツが新品で手に入るんですからね。ありがたいことですやん。


続いて、日産の8代目「『スカイライン』R32GT−R」も 純正パーツの受注を2017年11月24日より開始しました。

どうやらマツダの初代「ロードスター」もパーツの再生産が行われる模様。


これらは名車中の名車ですからね。このまま消えゆくのは忍びないですもん。

古き良きものにも活路が見いだされるこの動き、他のメーカーや車種にも広がってくれると嬉しいですね。


それなら「2相棒」だって、もっと乗っていたかもしれないのに…。




参考記事:毎日新聞WEB 2017年8月11日配信記事
https://mainichi.jp/articles/20170812/k00/00m/020/109000c