市街地のチェッカーフラッグ




ニホンで 公道を使った競技といって真っ先に思い浮かぶのは、マラソンや駅伝、自転車のロードレースですね。



両者とも一般参加の大会が全国で開催され、賑わっています。
僕も京都市の市街地を走るマラソン大会に参加し、
一般車の通行をシャットアウトした道路を「走るために」走ったときは、言葉にしがたい高揚感にあふれていましたよ。
あの感覚はホンマ、格別ですね。(→コラム「5781人の21.0975km」)




…翻って、モータースポーツのレースは、
オンロードならサーキット、オフロードなら特設ステージや山道、廃道を使ったものくらいしかないですよね。


まぁ、峠道や都市高速などを非合法サーキットにしている輩はいますけど…、
そんなのじゃなくて、マン島TTレースのような、
公式なモータースポーツの公道レースをニホンで見たい!





そういうのは、今まで国内で開催されたことはありませんでした。
理由は、道路を管轄する行政機関や警察が及び腰だったからです。
何かあったらどうすんねん。だれが責任取んねん。

そんなところでしょうね。




それが、ついに開催されたのです。
場所は島根県の江津(ごうつ)
「首都・東京から時間的にもっとも遠い地」として、アクセスの悪さを逆手にとってアピールしている自治体です。



その江津市の公道で、ニホン初のモータースポーツのレースが行われました。

時は2020(令和2)年9月20日

小排気量のレーシングカートを用いたレースです。
JR江津駅の周辺を走る道路と、一部、国道9号線も走る周回コース。







コースには衝突によるレース車両の逸脱による被害防止のバンパーブロックが並べられ、
雰囲気は十分です。


僕も見に行きたかったのですけど、コロナ禍の影響で一般の観戦は自粛されたため、
レース関係者と近隣住民だけがパラパラと見ているだけで、コース周辺が閑散としていたのが残念でした。
代わりに、レースの決勝の模様がYouTubeで生配信されましたので、僕も家のリビングでスマホで観戦しましたよ。




果たしてレースは始まりました。








見ていて妙な気分になりましたよ。
はみ出し禁止の黄色い中央線がひいてあったり、横断歩道や「止まれ」の表示のある道をカートが駆け抜けていく…。
ホンマに公道を走ってる!













カートの最高速度は約60km/hと決して速くありませんが、
各マシンに性能差がないため、レーサーの腕で勝敗が決まるシビアなレースとなります。
コーナリングひとつとっても、わずかなライン取りで差が出るため、走り方に迫力がありました。
クラッシュシーンもありましたが、バンパーブロックがしっかりと衝撃を防いでいましたよ。




そしてチェッカーフラッグが各車両に振られます。ニホンの公道で初の…!






続いてウィニングラン。みんな公道を走り切った満足感を余すことなく見せてくれました。






スマホではなく、テレビの大画面で観たかったと思わせる決勝レースでしたよ。



ニホンで公道レースを開催しようと計画が立ち上がってから、この日を迎えるまでに8年のもの歳月を費やしたと、
実況で話されていました。

たくさんの関係機関との協議と、事前準備、そして江津市の皆さんの協力があっての大成功だったと思います。

画面越しにレースを見ながら、これで、ニホンでも公道でのモータースポーツが各地で開催されていくに違いないと確信しました。



次はどこの公道でチェッカーフラッグが振られるのでしょうか。



記事引用:京都新聞 2020年9月18日付夕刊