酷道からの最終警告




全国津々浦々に延びる道路。
すんごい山奥を通る道ですら、土建国家らしく広々として走りやすく改良が進められている一方、
どれのどこが道やねん!という整備もされず朽ち果てたところがあります。


そんな道なのになぜか国道指定されていて、人はそれを「酷道」と呼びます。
県道だったら「険道」、府道だったら「腐道」、市道だったら「死道」と。




ユーモアの百科事典「アンサイクロペディア」の「酷道」の項目にはこう書かれています。

酷道(こくどう)とは、国道にもかかわらず整備がなされておらず国道と呼ぶには馬鹿馬鹿しい道であり、
日本を代表する芸術品でもある。


酷道は、一部のマニアにとっては日本の造園園芸の粋を結集した芸術品として認識されるが、
この類のほかの芸術品と同じように、
興味のない人にとってはなんの価値もない ただのどうしようもない道路である。


国が大事な道路を認定して整備する道路が国道であるが、指定区間と呼ばれる特別な区間以外は、
あろうことか数字だけ与えて管理を都道府県に丸投げしてしまっている。


そのため、

「こんな道が国道かよ」
「そもそも走れるのか疑問」
「地図じゃつながっているけど道無いよね?」
「そもそもつながってない」

といったどうしようもない道路でさえ、国道として認定され、地図上ではしばしば橙色の線で表記される。

そんなどうしようもない道路たちを、
人は「国道とは思えない酷い道」略して
酷道と呼んだのである。



一部のマニア以外にも、
カーナビゲーションシステム(とその作成者)はこの芸術品に対して理解があるらしく、
興味のない人間に対しても容赦なく酷道に放り込み、その素晴らしさを刷り込もうとする。



ところがそれは酷道に興味を持たない普通の人間にとってはお節介にしかならず、
一般人は価値の分からない芸術品を見るという無益な行為を強制させられるどころか、
狭隘・迷走・悪路といった地獄を見せられることになる。




読んでてワクワクしません?


酷道に魅せられている僕は、「ツーリングマップル」に載っていて以前より気になっていた
酷道からの最強のメッセージがあるという場所へ「2相棒」と行ってきました。



それは、岐阜県と福井県を結ぶ国道157号線にあります。
温見峠(ぬくみとうげ)という県境を挟んだ両側に酷道マニアが歓喜する道が広がっているらしいのです。






岐阜県側からR157に入りましたが、
しばらくは、土建国家らしく 意味を見出せない新しいバイパス道路があったりで特に印象に残るものではありませんでした。



温見峠のある山に近づくにつれて、「この先 大型車通行不能」の大きな看板が登場し、
一体どんな道が待ち受けてるんだろうと期待が高まります。


僕は基本的に必要以上の予習はしないので、ネットなどで調べたりせず、なーんにも知らずに来てます。
そのほうが面白いし。
と言うか、後に知らぬが仏とはまさにこのことやと分からされるのですが…。


  


ここにたどり着く前に何度も引き返せと言う意味合いの看板を見てきましたが、
これより先へ大型車が進んでも責任は取れへんぞとでも言ってるようです。



更にズンズンと進むとゲートがあり、ここにも大きな看板が。


  



念には念の入れようです(笑)。
後から知りましたが、ここより先が土砂崩落のため2004年秋〜2012年秋まで通行止めだったそうです。
予習ナシなのにツイてるなぁ。



そしてその脇には












ひー、出た〜!!これ以上ないストレートな警告!!
これが見たかったんですよ、これが!!
しかし、こんなのを見せられてしまったら、ますます興味が湧くのがマニアというものではないか。



まぁ、死ぬかも知れんけど、どこにも行ったらアカンとは書いてへんしなぁ。
迷ったときは進め進め〜。自己責任でレッツらゴー!(死語)




と、ゲートを過ぎた次の瞬間、あれほどに警告されていた意味をすべて理解しました。
突然1車線になり、断崖絶壁に道路がへばりつく荒涼とした風景に変貌。


落石だらけで、オンロードバイクではまっすぐ走れない!
下手に踏んづけたらタイヤがバーストしたりコケたりするやん!


対向車が来たら、どちらかが延々バックしないといけないのに、
ガケ側にガードレールがないってどういうこと?!
落ちろということか?!落ちたら死ぬやん!!




↑ガードレールがないから落ちるんやがな〜。



何度もシャッターチャンスはあったんですけど、この状況下で悠長に写真を撮れるほど僕に余裕はなく
足元の落石の山を避けるのと、先の見えないウネウネとした道の先から対向車が来ませんようにと
お祈りするくらいしか出来なかったんですよ(涙)。


なのに対向車が何度もやって来る!!
バイクの僕は絶壁側にぴったり身を寄せかわします。
車の人はガケ側に目いっぱい車を振らないとかわせないので怖かったやろうなぁ。





この写真は たまたま撮ったんですが、ほかの方の酷道ブログなどを読んでいると、全く同じ場所で撮った写真が幾つも。
どうやら、この場所が崩落して7年以上も通行止めになっていたそうです。
道幅もあるように見えますが、実際には2m半くらいしかありません(狭)。
やっぱりガードレールがない!

写真左側には草や木が茂ってるので見えてませんが、下を流れる川まで軽く20mはあるガケです。
足がすくんで震えています。

僕も呼ばれてるんじゃないのか、酷道の守護神に…「落ちて死ね」と((((;゚Д゚))))







川に橋を架ける費用をケチったのか、道の上を川が流れる「洗い越し」が何ヶ所も。
この道、国道ですよね?(汗)
しかも水底にはコケがビッシリ生えていて、
うっかりハンドルを切ったりブレーキをかけたら滑ってコケて下に滑り落ちて死にます(怖)。



「落ちたら死ぬ」のゲートから15kmほど進んだ砂防工事の現場には「電話あります」と案内が。
PHSもスマホもバッチリ圏外で、この辺でトラブったら電話を借りに行けと。
今日は休日で工事現場には誰も居ないやん。
誰も助けに来ずやっぱり ノタレ死ぬやん!!


挙句の果てにはこんな看板が。




このあたりは豪雪地帯やけど、5月半ばまで通行止めって…。
除雪とかする気はなくて、雪が自然に融けるのを待ってるやろ?!



うーん、散々怖い目をしてここまで来たのに…。温見峠のある山は目の前に迫ってるのに。
通行止めと書かれているも、バリケードは開けられているし、どうしようかと停まって思案していると、
国産アメリカンのバイクが峠のほうへ向かって素通りしていくではないか。
あのひとも福井県に向かうのか?ならば…行くべし!!


しかし、その先は更に酷道度が増し、道は荒れ放題。
当然やわな、通行止めなんやし。

朝から走っているのに既に16時となり、思いのほか走行距離が伸び疲労がたまってきているのが分かります。

山は目の前に見えてても、地図によると峠まではまだ8kmほどあるし、でも先には行きたいし…と葛藤していると、
前方で立ち往生している車のおばさんがいました。



こんなところで人と出会うとは!あ、いや、お困りのようですがどうされましたか?

「これ以上は進めないと思って(岐阜側に)引き返そうと思うんですけれど、
近くにUターンできる広いところありませんでしたか?」



ないです(キッパリ)。
待避所もたま〜にしかないのに、広い場所なんて…。


しかし、幸運なことに、すぐ脇だけ路肩が広くなっていたので、ここでならターンできますよと誘導し
おばさんは無事にUターンが出来、お礼を言って戻っていかれました。

話をしていると地元の方らしく、温見峠までは行けると思って入り込んだらしいのですが…。
地元民でも舌を巻くのか、この酷道、いや国道は(怖)。



その間に、さっき僕を抜いていった国産アメリカンのバイクの人が戻ってきて素通りしていきました。
ははぁ、山頂付近に雪が積もっているのが見えていましたので、
積雪かその影響で倒木などがあって物理的に通り抜けられなかったんやな。


ならば僕も帰る。
これ以上進んだらアカン。何か得体の知れない危険があると第六感が働いたのもあります。





↑のどか(に見える)場所もありましたが、これは罠です。
この前後は薄暗い林と断崖に落石だらけです。

橋の欄干が50cmほどしかなく、うっかりすると転落して死にます




結局 温見峠を越えることはなく、僕も岐阜側にUターンして帰路につきました。
下り坂での落石を避けながらの走行は、僕のバイクの腕が落ちていることを これでもかと実感させてくれましたわ(涙)。

更に、すごい山奥からの帰還なので、最寄の高速のICまで50km(しかも3分の2は山道)はあって半泣きになりましたが。


福井県側には「温見ストレート」という山間部に突如現れる長〜い直線路があるそうなので、
それも見たかったんですけどね〜。
悔いの残る中途半端な冒険となってしまいました。



冬季通行止めが解除されたらリベンジ戦をするか、って?
やっぱりちょっと考えさせて下さい(^ω^;)




最後にもう一度↓