右側バックミラーへの心遣い
去年、左側のミラーがないがしろにされているコラムを書きましたので、
こんどは右側のミラーについて書いてみようと思います。
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身近にある「ネジのように、くるくる回して開け閉め」するもの。
ペットボトルのキャップや水道の蛇口などを思い浮かべてみましょうかね。
これらを開け閉めするとき、それぞれどちらに回しますか?
いきなり言われても、「あれれ?どっちがどっちやったっけ????ヽ(´Д`;)ノ」と頭を抱えちゃったり。
僕もこの文章を書きながらそれが分からなくなり、ひとりプチ・パニックに陥りました(笑)。
日常ではそんなこと一々考えたりせず、無意識…というか直感で行っていると思います。
まだどっちがどっちか分からず大混乱状態の方のために、答えを書いておきましょうね。
開ける/緩めるときは左に回し、
閉める/締めるときは右に回します。
このことを「正ネジ」といいます。
どうしてなの?と訊かれても、「そういうルールになっているからでしょ、多分」としか答えられません(笑)。
そういうネジについてのお話です。
バイクを自分で整備・メンテナンスするために 最初に用意したい工具は「ねじ回し」の類ですね。
プラスドライバーをはじめとして、スパナやメガネレンチ、六角レンチetcetc…。
増し締めを行ったり、部品の取り付け外しには欠かせません。
その数あるバイクがらみのネジの中で、おそらく唯一であろう変わったパーツがあります。
ヤマハのバイクの右側のミラーです。
これの取り付けネジ、普通と逆回しになっているんです。
右ミラーを取り外そうとするときは、右に回さなくてはいけない、いわゆる「逆ネジ」です。
ヤマハ車をお持ちの方はぜひ確認してみてください。
我が家にあるJOGとシグナスも、右ミラーは逆ネジでした。
世の中には、あえて逆ネジを使う部分が少なからず存在します。
僕の持ってるものでは、「スティックタイプの液体のり」の中栓がそうでした。
これは、外側のネジ式キャップを回して開け閉めするときに、中栓が一緒に回らないようにするために、わざとそうしてあります。
ちなみに、ヤマハ車に社外品のミラーを装着するときは、
ミラーの根元に「逆ネジアダプター」なるパーツを穿かせて、正ネジを逆ネジに変換してやる必要があります。
ちなみに、逆ネジアダプターはバイク用品店で普通に売っています。
わざわざ「ヤマハ車用」って書いてありますよ(笑)。
では、ヤマハ車の左ミラーは正ネジなのに、
右ミラーだけ逆ネジを採用しているのはどうしてなのでしょうか。
この程度のこと、ネットで調べればすぐに分かりそうです。
でも、検索結果だけを見て何でも知った気になるのが大嫌いなのは、前にも書きました。
自分自身が納得できる答えが欲しい。
と、なれば、やはりメーカーに直接お問い合わせするのが最短ルートでしょう。
餅は餅屋と言うではないか。
さっそくヤマハのお客様センターに電話してみました。
最初に自動音声で、通話の録音と、ナンバーディスプレイを採用している旨が流れます。
ふふふ、前にスズキに電話したときはPHSから非通知やったけど、今日は家の電話から番号通知して掛けてるで〜(笑)。
オペレーターのお姉さんが応対してきました。
またもや若そうな女性の声に心拍数が上がり、激しく高揚(相変わらず単純)。
言葉をかまないように、丁寧な口調で、右ミラーの逆ネジの謎を教えてくれと伝えました。
すぐに回答が出ました。
前方から物体がぶつかった際、ミラーを傷めない為だ、と。
ん??どういうことですか?もう少し詳しく説明をして欲しいと頼むと、
オペ姉は続けてこう言いました。
右ミラーが正ネジだと、前方から物が強くぶつかった場合、 ネジを締める方向(つまり、右回り)に大きな力がかかってしまい、ネジがねじ切れたり、ミラーが折れてしまう恐れがある。 逆ネジにすることで、右ミラーに物が強くぶつかっても、ネジが緩む方向(つまり、右回り)に回るので、 ミラーへのダメージを防げる。 |
ヤマハは、そこまで考えてくれていたのか…!!
バイク乗りの目線に立った、ささやかな心遣いに正直に感激しました。
そして、右側にコケたとき、ミラーが折れてしまうことが多々ある理由が理解できました。
転倒時にバイクが最初に地面に接するのはミラーだからです。
僕たちは、つい見えているところだけで判断をしてしまいがちですが、
こういった、ちょっとした見えない工夫に、製作者のプロ意識を見出しますね。
僕の中で、ヤマハが他社より2歩くらいリードしましたよ(笑)。