おバカさん、「走り屋」の聖地に挑む




「走り屋」って知ってますか?


「八百屋」「魚屋」とか「郵便屋」などの「〜屋」って付く職業って、なんだかプロフェッショナルな感じを受けますよね。


これと同じ解釈をすると「走り屋」は「走ることを仕事にする人」ですけど、実はコレ、職業名を指していません。あくまでも俗称。
よく聞く言い方をすると「ローリング族(≠暴走族)」「ドリフト族」「峠小僧」になります。


もちろん公道上でバイクでハングオンをしてヒザを擦ったり、
クルマでリア(タイヤ)を滑らしてコーナー(カーブ)を駆け抜けていく(←ドリフトのこと)「公道レーサー」行為は、交通違反ですよ。


でも、それが楽しくて、彼らは峠に集まってくる。僕の「相棒」だって、レーサーので、僕も好きです。
.ヒザを擦ったりなんてのはは出来ませんけどね。コーナーを攻めるのは気持ちいいんですよ。



そんな「走り屋」の「聖地」のひとつに、六甲山があります。

神戸市を南北に二分にする、標高900mの山系がそれ。
尾根伝いに東西に伸びる県道16号線をメインルートとし、



その尾根をまたぐ道路として「表六甲道路」「裏六甲道路」「芦有ドライブウェイ」「西宮北道路」等があり、
六甲山の下をくぐる道路として「六甲山トンネル」「新神戸トンネル」があります。


また、六甲山には「高山植物園」や「六甲山牧場」、「森林植物園」などの観光地があり、
登山道やロープウェイも整備され、年中登山客や観光客が絶えない場所です。




そこへ春の陽気に誘われて、母親のLEADを拝借して行く事にしました。
決行日は2002年3月17日、日曜日。
六甲山の道を走ったことのある方なら↑の行為が無謀そのものだというのは分かってもらえるはずです。
それ以前に、原付で「聖地」に乗り込むこと自体、「聖地」をバカにしています(笑)。




急坂・急カーブの連続で、およそマトモな道路とは思えません。
だからこそ、そこを如何に速く走れるかを「走り屋」達は競うんですが、初心者の方には運転の練習どころか、
あの世への片道切符になりかねません
。十分運転の技術を上げてから挑戦してください(笑)。



僕はそれまでに「相棒」と2度六甲山を走っていて、さすが面白い道やと感じていました。
コーナリングが滅法気持ち良い。
でも「ここを原チャで走ったらどーなるのか」を試してみたくなったんです。
そういう発想もすごいとは思いますが…。
パワフルな「相棒」では難なく走れたその道は……。




行き帰りはR171(通称イナイチ)を通りました。
交通量は多いんですけど、すり抜けも大抵は出来ますし、変に枝道に入るより確実に行けます。
大阪府豊中市からR176に接続し、兵庫県宝塚市「宝塚歌劇」前交差点から県道16号へ。

六甲山を西へ縦走し、六甲山の西端、R428「小部峠」交差点で折り返し、
また六甲山を東に縦走。

芦有ドライブウェイを北上し、県道51号(有馬街道)を東へ。
R176へ接続し、あとは行きと同じ。





京都を出発して2時間半、ようやく宝塚市に着き、東側から六甲山を登り始めた僕は、冷や汗をかいていました。
アクセル全開なのにLEADは悶えるような唸りを上げ続け
スピードメーターの針はどんどん下がってくるんです。



「ヤバい」僕は直感的にLEADのエンジンが壊れてしまうのではと、感じました。
全開でも30数キロしか出ない状態が延々と続く。「行けーッ!頑張れLEADー!」って励ましても効果なし。
そりゃそうや(笑)。いつも点滅してるスピード警告灯が、全く光らないんですから(怖)。


「相棒」と走ったときと全然違うやん! そりゃV4・400ccと、単気筒・50ccを比べたら酷やわ。
上り高配が10%台の連続で、急カーブで失速してしまうと、再加速も苦しそう


上りの途中で「こんな道なんです〜」って写真を撮るために止まったんですけど、
このあとの再発進はエンジン全開でやっとLEADがノロノロ動き出す位のもので、
エンジンが壊れるかもしれない恐怖は更に加速しました。
母親のバイクやのに…
ウデがあるのに(笑)、これじゃあ とても車の流れには乗れません。



ヨタヨタ運転の、どう見てもサンデードライバーのクルマや
軽四にまで抜かれてしまう。
いや、上り坂では後続車という後続車に抜かれました。
チクショ〜!



そんな上り坂が数kmも続いて、恐怖に怯えつつも、尾根まで登り切り、
平坦な道になると、形勢逆転。
「パワーの無い乗り物であればあるほど激走する」僕の性格が
にょきにょき現れ、原付暴走族にへんしーん!



あっさり先ほど抜かれたクルマに追いつき、車の流れに乗ってコーナリングを
楽しみました。
全開でも60km/h。これが速すぎず遅すぎずで爽快!
カゴつきのLEADで(笑)。
登り12%



クルマ共は、急カーブにビビってるみたいで、ブレーキを踏みまくるので
スピードが出ていなく、全開にしなくてもついて行けちゃうんですよ。


このやろ〜さっきはよくもおれを抜いて行きやがったな〜!!とばかりに
クルマのケツを煽る僕。
さっきの上り坂での顔面蒼白はどこへやら。やっぱり都合のいい生きもんですよ、僕は。


挙句には、下り坂で前を走っていた、テラノ(日産のRV車)が
左ウィンカーを出して僕に道を譲ってくれるんです!
カゴつきの50ccスクーターの僕にですよ。そこまで自信がないんかテラノ!(笑)


サンキュ〜ってホーンを軽く鳴らして譲ってもらいましたけど、
抜いていったバイクが「原付」ってわかったときの
顔が見たかった
ね。
で、追いついてこないし(笑)。下手くそ。




カーブ続きの道のあちらこちらで「走り屋」が休憩していました。
横を走り抜けるたびに彼等の視線が刺さるんです。


赤の「KISS RACING」のジャケットを着て、
シールドがフルスモークの フルフェイスを被った、
京都市山科区ナンバーの、カゴ付きLEAD50に乗ってるヤツは、何もんなんやって顔つき
で。


まさか六甲山を攻めにきたわけやないやろし、50ccやで、ツーリングでも無いやろ、服装からしても地元民でもなさそう。
そんな不可解な思いが彼等の脳裏を巡ってるのかと思うと、変な意味で優越感に浸ってしまいました。
おれって、原付でここまでやるなんてスゴいやん、ってね。
一般論からしたら、ただのおバカなだけですが(笑)。



帰りの道のりはたんたんとしたもので、書く事が無いくらいです。
無事に帰り着きました。走行距離は182km。十分です。


いってきま〜す

六甲山を縦走して西端に到着

ただいま〜


味のあるツーリングでしたけど、それからというもの、LEADの調子がイマイチなのは、秘密のアッコちゃんです(笑)。
こういう時こそ、自分の原チャがあれば誰にも文句言われへんのに…。



これが平日なら、六甲山に接続してる有料道路を走るつもりでした。
どの有料道路も、原付は通行料が2桁なんでね、フトコロが傷まないから。

でも、表六甲道路、裏六甲道路、芦有ドライブウェイと面白い道は、土日祝日バイク通行禁止
摩耶(マヤ)山への道路に至っては完全にバイク通行禁止。
それもこれも、’80年代のバイクブームの折に「走り屋」共がムチャクチャをしたために、締め出しを食ったんです。

走れたのは、「西宮北有料道路」だけ。それもほとんどがトンネルで、緩やかな上りなので、
全開走行しなきゃアカンようなシチュエーション。



  


何の因果で優良な原付乗り(問題発言)まで、とばっちり食わなアカンのや!?