虎バター回廊




幼いころ、お母さんに「これ読んで〜」とせがんで読み聞かせてもらった覚えはないですか。



絵本



我が家にあった絵本を思い出すと、

「ひとまねこざる」とか、「バーバパパ」とか、「ノンタン」とか、
「ぐりとぐら」
とか、「おしいれのぼうけん」とか…。



どの絵本も小さな子どものいる家庭にあげてしまったので、もう手元には無いけれど、
今、タイトルを言われただけでも内容が鮮やかによみがえってきます。



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黒人の少年は両親から新しい上着と、新しいズボン新しい靴新しい傘をもらい、お出かけ。
そこへトラが次々と現れ、襲われそうになる少年。
しかし、身に着けているものを一つずつ差し渡すことで許してもらう。


一方、トラたちは少年から奪い取った物をめぐって木の周りをぐるぐる回りだす
あまりに速く回ったためにトラたちは溶けてしまい、黄色いバターになってしまった

そして少年は、トラたちに取られたものを取り返しバターを持って家に帰る。
母がそのバターで焼いたパンケーキを家族で腹いっぱい食べた…。


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少年の名はサンボという、僕のお気に入りだった「ちびくろサンボ」という絵本。



ところが、この絵本は人種差別を助長するとして発売禁止になってしまいます。

絵本の内容から、真っ黒な肌に分厚い唇を持つ黒人を蔑んでいるだとか、
パンケーキを100枚以上平らげる大食らいなことや、
そして少年の名前そのものが差別用語だとして社会問題となったのです。




絵本の内容ひとつで騒ぎ立て、明らかに歪んでいる大人社会の思考を
純真な気持ちの子どもたちに植え付けてることのほうが問題
やろ。

「差別をすること自体が差別」やということに、どうして気づかへんのか。

今は再販されていますが、一度傷ついた心は元には戻らへんど。




…ちょっと熱くなってしまいました。




そこで登場するのがコレ↓




新世代の交差点です →  




普通の交差点は、道が十字やY字などにクロスしていますが、
この交差点は、円形の周回道路…いわゆる「ロータリー」となっていて、
各方面への道が放射状に伸びている
ように見えます。



円形道路は時計回りの一方通行で、
そこをクルクル回り目的の道で出る



そこを回転中の車に優先権があるというルールがあるため、自然と車の流れが出来上がり

普通の交差点のように信号機で車の流れを制御する必要がないですし、
信号のない交差点で車同士が交錯したりすることもない
交差点をまっすぐ突っ切ることが出来ないので速度の抑制にもなる。
停電時にも安全・自立的に機能するなど、メリットいっぱいです。





こういうタイプの交差点(?)を「ラウンドアバウト」といいます。




「JAF MATE」誌に、長野県飯田市のロータリーで
ラウンドアバウトの社会実験が行われた記事が載っていました。


すると、銀次さんが「これは私の地元です」と
写真をメールで送ってくださりましたので、
上で遠慮なく使わせていただいています。





…僕には、この光景が「ちびくろサンボ」のトラ達がヤシの木の周りをぐるぐる回るシーンに思えて仕方がないのですよ。




実は僕の仕事場の近所にも同様のものがあります(笑)。
それがコチラ↓





京都市西京区の「桂坂」でして、飯田市のと同様、完全なラウンドアバウトです。

初めて見たときは何じゃこりゃと思いましたが、
慣れたら普通の交差点のような死角などもないので走りやすいです。





ただ、仕事のフル積載のトラックでここを回ると遠心力が強く働いて外側に飛ばされそうになるのがネックですわ。
バイクで走ると、ずっと車体を大きくバンクさせ続けないといけないのでちょっとダルいですね。
うっかり出損ねて2周目に突入するとイヤになってきます(笑)。




こういうラウンドアバウトですが、ひとつだけ欠点があります。
それは、交通量の少ないところでしか機能しない点です。
たとえば、…京都市内で言うなら「堀川五条」のように車が非常に多く走る、道幅30mもあるようなところで
ラウンドアバウト化すると、円形道路に入るための渋滞が起こってエラいことになりますわ。




まぁ論より証拠。お近くにラウンドアバウトがあればぜひ体験してみてください。
なお、ハマって延々と周回されましても僕は責任を負いませんのであしからず(笑)。


※後にラウンドアバウトは正式名称が「環状交差点」となりました



資料提供:銀次さん。ありがとうございます

参考資料:「JAF MATE」 2011年7月号