環境国道43号線






写真は兵庫県は西宮市の国道43号線です。


なんだか変な感じをうけませんか。



直線が続くスカーッと走りやすそうな道なのに、



制限速度が40km/h遅いやろ。

それも、車線ごとに制限速度の標識が掲げられています。
丁寧というよりも、しつこいというか…。




ケーサツがよく巡回していてスピード違反で捕まりやすいことでも知られています。
なので、制限が遅い!と文句たれる僕も警戒して控えめに走りますよ。
ミラーと目視による周囲の確認は欠かせません(笑)。

けど、よその同様の道なら60km/hでもおかしくないのになぁ。




何故こんなことになったのか。それにはちゃんと理由がありましてね。



この国道43号線は神戸港なんて貿易港や神戸空港などに近く、産業道路としての役割があり、
そして並行する国道2号線のバイパス的意味合いで整備されていますが、
同時に訴訟されまくった歴史を持っているからです。




国道の上には阪神高速もありますので、交通量が多く、
沿線住民が、騒音や排気ガスによる公害で健康被害を受けているとして、
国と阪神高速道路公団をセットで度々訴えていた
んですね。



その歴史は古く、1976(昭和51)年に提訴され、
1995(平成7)年に判決確定しています。

この訴訟については関西圏に住んでいるだけでなく、当時大学受験生だったこともあり
時事問題として関心を寄せていたので、よく覚えていますよ。



で、裁判は住民側の実質勝訴となり、その結果 道路がどうなったかというと、
冒頭の写真のようになったわけ。



騒音や排気ガスの影響を減らすために、速度制限を控えめにし、
バイパスでもない一般道としては珍しい防音壁を設ける。
沿線住民の環境に配慮した対策をとることになった、と。




便利さを享受する一方で、それによって困らされている人もいるということ。
国道43号線はそういうことを考えさせられる道なのですね。
(→関連コラム「スキマビジネスの雄」)



(↑)沿道の建物にこんなに大きな垂れ幕掲げられてますし…。



参考資料:神戸合同法律事務所 「国道43号公害規制訴訟」
https://www.kobegodo.jp/FileDetail.html?id=17