若葉のころから




自分自身への いましめを込めて。



運転免許を取って初めて公道に繰り出した日のことを覚えていますか。
僕は、バイクでの「公道デビュー」も、車での「公道デビュー」、どちらのときも、ガッチガチに緊張して、
体中に力が入りまくっていた記憶があります。
暑くもないのに汗もかいてね。



教習所で十分な教育を受けていても、免許取得後の運転では教官が横についてアドバイスをくれるわけでも無し、
自分で考え自分で行動しなければならない。
道路に出れば、立派な「社会人」として捉えています。



車の免許を取得してから1年間、車を運転する際に貼るもの…。

ご存知、若葉マーク。 

「私は未熟者ですので、どーかお手柔らかにお願いします」とPR。
他車の方も「ようこそ交通社会へ」ってな感じでしょうか。
免許を持つ者は必ず通る道。ベテランでもそのあたりは心得ているはず。



まー、車はそういうPR手段があるから良いかと思いますが、バイクの場合はどうでしょう。
免許取り立てで、公道に放り出されるってことは、路上教習のないバイクにとっては、いきなり実践ということです。
「ワテ 初心者でんねん。運転下手でスンマヘンなぁ」って主張する方法もありません

他車からは、初心者も超ベテランも同列に扱われるでしょう。って言うか、見分けがつかないですし。
いきなり大型二輪を取ってハーレーで公道デビューしようが、原チャで走ってる30年選手だって、立たされる舞台は、同じ。



僕は先にバイクの免許を取り、今は亡き「相棒」と夜な夜な住宅地で走る練習を積み、
自信を持って一般道デビューを果たした、ある夏の早朝のことは、忘れません。


  自分では普通に国道を走っているつもりだったのですが、
  あろうことか、後続車からクラクションの嵐の洗礼を受け、僕を無理やり追い越して、
  僕の前にカブせるように割り込んだりされたのです。



当時は、僕がなぜそんな仕打ちを受けなきゃいけないのか分からず混乱しました。
そして、家にやっと帰り着いたときの感想は、ただ、
恐怖の一言。
それがトラウマとなり、しばらくは早朝にバイクで走ることが出来ませんでした。


思い返せば、一日のうちで最も車が少ない時間帯だけに、速い交通の流れを乱す「遅いバイク」と思われたのでしょう。
バイクの初心者って、そういう意味で不利だなぁと思います。


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最初のうちは、慣れないために緊張感を持って運転してると思います。
冒頭に書いた「ガッチガチ」までいくと周りに気を払う余裕もなくなるので、適度にね。


でも、しばらくして運転に慣れてくると、だんだん横着をするようになり、ついカッコつけた行動にでたりするんですよね。
人の目を引くような運転です。
ニンゲンの生まれ持った性質なのかもしれません。



「慣れてきたときが一番危ない」というのはそういう意味です。
10代終盤〜20代前半の若者の交通事故死者数が飛び抜けて多いのはそういうことでしょう。


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僕、去年(2005年)の春から、仕事で2t車や4t車のハンドルを握っています。
それまで小柄な乗用車しか乗ったことがなかった僕は、毎日がおっかなびっくりでした。
幹線道路だけならまだしも、狭い旧街道や住宅地を縦横無尽に走るので神経を使い、初期のころは仕事後は精神的にも疲労困ぱい。
でも、心地よい疲れでした。



けれど、それが慣れるにつれ、自分でも信じられないような大立ち振る舞いをするようになっていました。
そんな僕に天罰は下りました。
狭い場所で切り返し損ねて電柱に接触。2t車をキズモノにしてしまったのです。



いつもきれいに手入れしている車だけに、申し訳がなく、傷を見て日ごろの自分の行いを反省しました。
目立つカラーリングにネーミング入りの車両で程度の低い行為をするなど、プロとして失格です。


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どんなときも「初心忘るべからず」です。
初めて運転をした時の感動や喜び、あのときの初々しさは何物にも代えがたい。
そして、交通社会にいる以上、緊張感と慎重さ、それに自制心を持ってのぞまなくては、と。
ひとつ、「あの時」にかえってこようと思います。