誓いの鍵



真夏が近づき、「相棒」とのツーリングもまもなくシーズンオフやな〜と感じながら、1ヶ月ぶりに400ccで走ってきました。


目指すは、福井県の若狭湾に面した「三方五湖レインボーライン」
まぁ、道中の話は書くに値しないほど、ソツの無いものだったので、端折っておきます。


「レインボーライン」は福井県にある5つの有料道路の一つで、
「エンゼルライン」も同じく若狭湾に面していますが、賑わい具合に天と地ぐらいの差があります。

シケシケの「エンゼルライン」とは違って、オミヤゲ屋さんや、たこ焼きやソフトクリームを売ってる店もあり、
展望駐車場から三方五湖を見下ろせる山頂へ登れる リフトやケーブルカーもあります。

「レインボーライン」の通行料は、乗用車が1020円、125cc超のバイクが710円。
そこから、「地元協力金」がそれぞれ20円、10円差し引かれて、実際に料金所で払うのは1000円、700円になります。

僕たち観光客が、地元の三方町、美浜町の財政を潤わせてあげてるのなら、もっと料金負けろよ、って思っちゃいますね。
原付は通行できませんので、「たかが49cc〜」で紹介しないで、ここに掲載したわけです。


で、真昼に「相棒」とレインボーラインを走り、展望台駐車場についた僕は、
観光客がうじゃうじゃバスから降りてきたのに顔面蒼白。
広くない駐車場に、妙齢?のオジさん、オバさんの大群

それが、集合写真を撮ったり、オミヤゲ屋さんに雪崩れこんだり、山頂へのリフトやケーブルカーに群がり、
一人出来ていた僕は中年(壮年、の方がいいか)パワーに圧倒されっぱなし。

というか、リフトの順番待ちしてるところをすり抜けて 先に乗るなオッサン共ー!!!
リフトとゴンドラ乗り場間違うなオバハン!!!
通路の真中で立ち話すんなーーーー!!!!
などなど、周辺は無法地帯化してる!


んもう、どーして中年(壮年)の人たちは自分勝手なんやろう…
って、ブツブツ一人ごちながらも山頂へ行き、三方五湖を見下ろす。
快晴で最高の眺め。北を向けば日本海が広がっていて、こっちもgood。


…と、ぶらぶら散策してると、目に付く柵という柵が奇妙な事に気づきました。
写真では分かりにくいですけど、これ、全部南京錠なんです。
南京錠が、山頂のいたるところに掛けられていて、木の枝にまで南京錠が掛けてありました。


なんなんや、これは?


訳がわからずさらに歩くと、問題の南京錠が売っていました。
「誓いの鍵」と言うもので、300円で南京錠を買い(無人販売です)、鍵についている札に「誓いの言葉」を書き、
錠前を適当なところに掛けて、鍵を奉納するのだそうです。

確かに、南京錠には「誓」の文字が刻印されています。
「あなたのかけた鍵は この地にいつまでも残ります」と記されていました。

ふーん、なるほど。面白いやん。とばかりに300円で南京錠を購入し、「誓いの言葉」を書き、
「ご縁がありますように」と5円玉を錠前のリングにはさんで掛け、適当なところに、鍵を奉納しました。

観光客のオバサン共は、物珍しそうにその回りでかしましく喋るばかりで、目障り。
仲良く錠前を掛けてた、若い今時のカップルのほうが、気持ちよく見えました。

でも、こんなん、95年に来た時は無かったで…。
その後に観光の目玉として作ったのでしょう。商魂知恵をしぼらはったなぁ、なんでも考え付くもんやなと、けなげにも思いました。

それにしても、南京錠の数は半端じゃないです。至る所に南京錠があります。じっと見てたら気持ち悪いです。


さらに、前には無かったものに、立派な石造りの「五木ひろしのステージ」があります。
五木ひろしは「三方町の名誉町民」だそうです。
こんなところに場違いな物をこしらえ、近づくと五木ひろしの歌声が流れる「金イッパイかけたんやろう」的物体で、
ここにまで「誓いの鍵」がいくつも掛けられていました(笑)。


前に来た時の素朴さが、どっかに行ってしまったような、寂しさがありました。


と、そこへ先ほどのあつかましい中年観光夫婦のオッサンが南京錠を見ながら一言、
「こんなもん20年くらい経ったら廃棄じゃあ、邪魔でしゃーない」

アンタはそれでエエけど、300円出して奉納したおれ、雰囲気ぶち壊しー!!!


 

2002.7.9