アナログ同好会
2010(平成22)年7月4日付の各新聞のテレビ欄を見て、違和感を覚えませんでしたか。
地上波の全てのチャンネルで、午後5時59分から1分間、「全国一斉地デジテスト」と書かれています。
文字の上に、うっすらとピンク色がかかっていますが、これは僕がつけたのではなく、新聞に印刷されていたんですわ。
これは、来る地上デジタル放送(地デジ)への 完全移行のPR番組で、 同時にデジタル放送を受信できているかどうかを 確認するためのものでした。 |
アナログ放送のほうは、番組の途中から砂嵐が流れて、危機感をあおる内容と なっています。 随分といやらしい事をしてくれるねぇ。 そんなことをしてくれんでも、我が家のブラウン管テレビ画面の右上には、 ほぼ常に「アナログ」と出ていますわ。 放送自体も、アナログ放送で主流の画面の縦横比率、4:3から、 デジタル放送の主流、16:9に変わることにより、 テレビ画面の上下に黒い帯が出て、さながら映画を見ている気分です(笑)。 |
2003(平成15)に始まった地上デジタル放送。その完全移行まであと1年(当コラム執筆当時)となりました。
もう、多数の方がテレビをブラウン管のから、軽くてきれいな液晶のものに買い換えているらしいですね。
地デジの最大の魅力は、なんと言ってもフルハイビジョン(フルHD)の高画質、
それと、番組と連動する双方向通信や番組情報やニュースに天気予報、交通情報などを同時に見られるデータ放送。
しかし、僕はいろいろな疑問を感じずに入られません。
高画質がいいように言われているけど、
インターネットの動画投稿サイトのYoutubeの動画なんて、アナログのテレビより画質悪いものが多いのに、
受け入れられてるよ?
双方向通信やデータ放送って、
K帯やパソコンがあれば、ほぼ同等か、それ以上のことが出来る。
↑の両者をたとえ持ってない方は、それらを必要としてないのだから、
地デジのメリットなんて逆にお節介なだけのように思うんですけど。
地デジが始まったころは、これだけインターネットが普及することが予想できなかったんでしょうね。
だからテレビに全てを託していた。
ニポン人は「何でも入り」を好むけど、「何でも出来る=便利」ではないよ。
僕は別に今のアナログ放送に不満はないし、家族会議の結果、
地デジに完全移行して、我が家のテレビが砂嵐しか映らなくなってから次のテレビのことを考えたらいいんじゃない?の
結論に達しています(笑)。
画面の上下の黒い帯の下には
「ご覧のアナログ放送は2011年7月24日正午をもって見られなくなります」とかテロップが流れてますし、
アナログ放送への風当たりは厳しいです。
でも、そのために壊れてもしないテレビを買い換えるだなんて、
家電業界だけを元気にさせてるだけに思えてしまいますね。
政府主導の「エコポイント」による、使えるものを「古いから」という理由だけで 環境にやさしい最新製品に買い換えさせてるのは、
ムリヤリ消費を刺激させようとしているだけで、エコでも何でもないがな。
ブラウン管は世界的に廃れてきているため、もうリサイクルやリユースは望めないので、
我が家のテレビの運命も知れてます。
買い換えるのか、地デジチューナーをつけて「延命」させるのか…。
------
しかしまぁ、テレビの世界ではデジタルこそ全てでアナログが悪者扱い。
そもそも、デジタルは「0」と「1」の2つで全てをあらわせるために、
カンペキな正確さを求めることが出来る。
けれど、他のものに目を向けたら、どうやろ?
デジタル腕時計って、最高級モデルでもたいした価値ないけど、
昔からある機械式のアナログ腕時計なんて、宝石店で売ってるくらい高級品やど。
デジタル録音のCDは耳に聞こえる音しか記録できないけど、
アナログのレコードは、耳には聞こえない周波数の原音をそのまま盤に刻み込むから、
音がリアルで耳にやさしく聴こえるで。
デジカメなんて、設定を変えるだけでいくらでもインチキ写真が出来るけど、
アナログの銀塩一眼レフカメラなんて一瞬一瞬をありのままにフィルムに残すから、
一度のシャッターだって価値が重いわ。
我が家にあるン十万円もするニコンのフィルム式・フルマニュアル一眼レフカメラ、狙っているけど、触らせてもくれへん orz
デジタル的に管理されて育つハウス栽培の野菜は、味はそれなりで一定かもしれないけど、
アナログな自然の恵みをたっぷり受けた露地栽培の旬の野菜の味には足元にも及ばないよ。
世の中ががイエス(「1」)かノー(「0」)しかないデジタル社会になったら、
人類は融通が利かなくなって滅びるよ。
デジタルは決して万能ではない。
だから、デジタルの極みであるパソコンやK帯に向かっているみんなに言いたい。
アナログにもエエとこいっぱいあるんやで〜。
パソコンもK帯も片付けて、外に出てみない?
参考資料:毎日新聞 2010年7月4日付朝刊
(2010.7.7)