青のタスキ



冬の都大路を駆け抜ける、全国高校駅伝が今年も行われ、女子は47チーム、男子は57チームで競われました。


高校時代に陸上部に所属していた僕は、この歳になっても憧れだった都大路をいとおしく思い、沿道へ応援に出かけます。
有力高校とか選手とかには疎いですし、あまり興味もないんです。
でも、テレビで見てるのと違って、沿道では彼らの地面を蹴る音、荒い息遣いが聞こえ、かつての自分とダブるんですね。
走ったものだけが分かる、気持ちが高ぶります。


僕は、懸命に走ってる彼らのなかで、一番後ろを走る選手を最も応援しています。
理由は2つ。



テレビやラジオの中継では先頭ランナーを追うのがほとんどで、後続のランナーたちは中継地点で一瞬映るだけ。
まだ駅伝だからいいものの、マラソンだと、映るどころか一度も名前を呼んでもらうことなくレースが終わってしまうことも、しばしば。
それでも走り続ける彼らにとって、沿道の声援は何ものにも替えがたい心強いもの。
その声援をかける一人になりたいからです。


最後尾の彼らを応援するもうひとつの理由は、

絵になるからです。


先頭ランナーは、常にテレビに映っているのでカッコよく見えますが、実際に沿道で見てると全然違います。


まず、先導のパトカー、続いてテレビ中継のバス
そして先導の白バイ2台

その次にやっと先頭のランナーがやってきます。

「集団」の中ではランナーが一番小さいために目立たず、
誰が主役なんや?
と いぶかります。


その点、最後尾だと、
ランナーの後ろに
白バイ2台、救急車、自衛隊の車などが続き、
まるでランナーが車両を従えているように見えます。
さらに、沿道からの声援がひときわ大きくなり、
僕も大声で「ファイト!」と声を掛けます。
違う意味でVIP待遇です。



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今年の大会では、後から気づいたのですが、最後尾のランナーだけタスキの色が違いました。
上の写真をよく見てください。

ほかのチームは黄色のタスキなのに、  彼だけ青のタスキ。


ナンバーカード41、佐賀県代表・白石高校。


白石高校1区のランナーが肉離れをおこして途中棄権してしまい、
2区のランナーから繰り上げスタート
したためです。青のタスキはその証。


その繰り上げスタートも、最後尾が通過して1分経ってからスタートさせられ、孤独な戦いを強いられます。
この写真も、その時のものです。
そうとも知らない僕は、前を行く選手に食らいついて欲しい一念から応援をしていましたが、
彼は本来いるべきではない位置に焦りを感じていたかもしれません。


白石高校はチームとしてはもちろん失格で、総合順位も公式タイムも出ません(2区以降の区間記録は認められています)が、
彼らは20人以上を抜いて36番目にゴールインしました。


5区では区間2位の記録も出ましたしね。
失格でも全力でレースを続けた、その姿勢に花マル
です。

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僕が現役時代の駅伝京都予選会では、基準タイム内に3区→4区の中継点にたどり着けず、
4区からの繰り上げスタート時に渡された苦い思い出もある青のタスキ。

もう10年以上も前のことなのに、4区→5区の中継所で待ってる僕の所に走って来た先輩の青のタスキ姿。
今でもしっかり記憶に焼きついてます。


あのときも、
悔しかった。

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白石高校には今回の青のタスキを糧にして、来年はぜひ黄色のタスキをつながるよう願っています。
それと、高校駅伝史上初めて、レース前に棄権した神奈川県代表・藤沢翔陵も、来年の都大路を走れることを期待しています。

その前に来年も、ちゃんと都道府県予選を勝ち抜いてくださいよ!!(笑)

(2004.12.26)