果てしなき自筆の旅
僕は字が下手でした。
今の仕事は現場労働なので字を書くこともそんなに無いし、だいたい、ワープロという便利なものもあるやないか。
だから下手でもさして困ることもなかったわけです。
ところが、そんな僕に転機が訪れたのは、連れのこんな一言がきっかけでした。
「オマエの年賀状の字は読めん」 orz
年賀状のワープロ書きを嫌い、両面手書きを貫いている僕にとって、
唯一たくさん字を書くのがこの年賀状。
これが最大の困りごとでした。
宛名を書きにしても字のバランスが悪いし歪んでるし。字が下手くそなのを否応無しに意識させられてしまう。
丁寧に書けば気持ちは伝わるだろうと思っていた僕にとって、連れのボディブローは堪えました。
連れはそこそこの当たり障りのない字を書くので、明らかにヘタクソな僕に反論の余地なし。
キーッ、悔しい〜!
こうなったら字を上手くなって、来年の年賀状は美しい文字で驚かしてやる!
早速新聞の折り込みチラシに入っていた通信講座を申し込んだのは2010年2月初旬のことでした。
僕が選んだのは、数々の通信講座をもつことで有名な「ユーキャン」(※外部リンク)の「実用ボールペン字講座」。
人気講座ベスト5に入るほどのポピュラーさ。
読んで字の如し、日常的に使うボールペンで上手な字を書けるようにする趣旨で、
標準の受講期間は半年間(最大2年まで自動延長)。
テキスト6冊と添削課題が10回(最大15回)、その他もろもろがついて、 お値段2万9000円。 ちょっと値段が高くないか?でも、これで字が上手くなるなら安いもんや〜と割り切りました。 |
こういう学習(練習)は始めが肝心です。
講座のスタートは、いきなり第1回目の添削課題の提出となっているので驚きですが、
その内容は、最も多く書くであろう自分の名前と住所を添削してもらうこと。
なーんや、それなら楽勝やん。
自分ではうまく書いたつもりでしたが、返ってきたそれは赤ペンで直されまくって酷く凹む orz
逆に言えば、ここからどれだけ字が上手くなるかが楽しみということやね。
メインはテキストを使って字を書く練習。
1日のノルマは2ページで所要時間は2〜30分程度なので、手軽で続けやすいのが◎。
練習は薄く書かれたお手本の文字をなぞり書きし、次はお手本を見ながら何度か書き写すというスタイル。
小学校で毎日やらされた漢字ドリルを思い出すわ(笑)。
だけど、テキストの1ページ目は「こ」とか「い」などの練習で、こんなの誰にでも書けるやんアホらしいと馬鹿にしていました。
しかし実際に書いて見ると、お手本のなぞり書きすらハミ出てしまってマトモに書けない現実。
んなアホな。こんな簡単な文字すら書けへんのか おれは(涙)。
講座は始まったばかりなのに、すでに挫けそうな僕。
この調子では字が上手くなる日など永遠に来ないんじゃないだろうかとため息ばかりついていました。
だけど始めた手前、やめたら負けと自分を叱咤し、来る日も来る日も字を書く練習、練習。
ひらがなとカタカナを終えると、次はよく使う漢字、そしてやや難しいけどよく使う漢字…。
ただお手本をまねるだけでなく、テキストには字形の成り立ちや、美しく字を書く要領なども書かれてあり、
今までの自分の字のクセや下手くそな原因が少しずつ分かってきました。
ああ、だから僕の字は丁寧に書いても下手に見えてたのか…!
節目節目で長い文章を書き写す練習や、添削課題で講師の教えを受けたりしながら順調に練習を進め、
季節は春から夏、そして秋を迎えた10月、標準受講期間を過ぎてしまったけど、8ヶ月で楷書のテキストを終了。
その成果は、これだっ!
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どちらも正真正銘、僕の字です。
自分でも信じられませんわ。
僕の恩師に渡邊さんという方がおられまして、年賀状の宛名の「邊」は画数が多いので書くのはいっつも難儀していました。
それもこの通り↓
BEFORE | AFTER |
おかげで堂々と字を書けるようになったので、自筆の機会が増え職場での掲示物にも僕の字が躍りましたし、
目標だった2011年の年賀状は、きれいな自筆でお届けできました。
ところが僕の字をコケにした連れはもちろん、
他の誰もが僕の字が上手くなったことに気付いてくれなかったのは計算外やったけど ○| ̄|_
とにかく、今は字を書くことが楽しくて仕方がないですね。
ただ、上達して終わりではありません。
さらに美しい文字を書けるように習字でも始めようかな。
(2011.3.27)