30年選手引退宣言



我が家にやってくる家電製品は総じて長持ちです。


ざっと思い当たるだけでも、
一番古いテレビが25年、コンパクトカメラも25年、衣類乾燥機20年、アイロンも20年オーバー、CDラジカセ15年…
今は無きものでも、ドライヤーは30年、洗濯機で20年、冷蔵庫20年、エアコンは15年…



大体の耐久家電製品は、使用年数6〜9年くらいをメドにしているそうですが、
ウチにあるその手のもので一ケタ年数で寿命を迎えるとなど、考えられません。



ま、古い製品は消費電力や性能、重量、サイズなどの面で今のものに大きく劣ることは重々承知です。
年季の入ったエアコンは電気をバカ食いしてることも分かっています。
ですけど、十分使えているものを、古くなったからと次々と新しいものに買い換えることは、
ニポン人が大切にしてきた「もったいない」の風潮から認めたくないのです。



それにひきかえ、昨今の家電製品には「耐久」の戴冠すらできない弱々しいものが多く感じます。


高性能すぎて1ヶ所故障しただけでも全部がパーになったり、
金属部品→プラスチックにシフトしすぎて耐久力が落ち簡単に破損したり、
塗装がはげて汚らしくなったり。



バブルの頃までの製品には「頑丈」「無骨」なイメージを抱かせるものがポピュラーだったのに、
今のは「ちゃっちい」んですね。安かろう悪かろう…のような。寿命も明らかに短くなったし。


なので、僕はちょっと古い目の家電製品が好きなんです。
機械らしいところが、特に。

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ところが、先日三洋電機がそこに注文をつけてきました。
「弊社の、製造から30年を超える扇風機は、
発火の恐れがあるので使わないでくれ」
マスコミ等を通じて通達を出したんです。


新聞記事を読むと、
「1970年製の三洋製の扇風機から火が出て家が焼け2名が亡くなった」とあります。
モーターやコードの劣化が原因で扇風機が燃えてしまったそうです。


三洋の社長が記者会見で謝っていましたが、
PL法(製造物責任法)で義務付けられている耐久保障はたったの10年だそうです。
だから37年も使ってる物に対してのメーカーとしての責任はありませんし、そこまで長期にわたって使うことなど考えもしなかったでしょう。
亡くなられた方はお気の毒ですが、使用者自身が経年劣化等に注意を払うべきだったのでは…と思うのですが。



で、そこに載っていた件の扇風機の写真に、激しい既視感(デジャヴ)に襲われました。






いや、デジャヴではありません。
↓僕のすぐ横にあるんですけど…写真とほぼ同じ形・同じデザインの扇風機が。




それは当然三洋製で、製造は1975(昭和50)年。すでに32年が経過していますが、我が家で普通に現役です。
後に買ったものより、うんと立派に働いてくれてます。
機能も単純なので壊れにくいのもあるでしょう。
モーターからの異音や発熱すら無く、すっごくタフで我が家で一番「長生き」な耐久家電となっています。



30年以上前に製造された三洋製の扇風機は、670万台。
その内、全国にまだ6〜7000台が稼動しているようです。我が家のは生き残っている貴重な千分の1台。
これらは一体どういう運命になるんでしょうね。


だけど僕には捨てられない。



参考資料:京都新聞2007年8月24日付朝刊



(2007.8.26)