ソーシャル・ディスタンスなんて
2020(令和2)年。
未知のウイルス、新型コロナウイルスの世界的流行は収束の気配を見せず。
二ホンでも狂乱的なコロナ禍を経て落ち着いたかと思いきや、第二の流行期へ。
人々の生活様式は一変。
・ マスクを着用しないで外出すると奇異の目で見られ、
・ リモートワークという名の在宅勤務が一般化し、
・ 店という店のレジ前には飛沫感染防止の透明のビニールシートが張られ、
・ 集団で集まらないよう、人々は一定の距離を保つように求められ、
・ 歓楽街はウイルスの温床として、自治体から二度目の営業自粛要請の危機にさらされ、
・ なのに、政府は経済活性化と名打った旅行支援事業「GoToキャンペーン」を実施する矛盾。
しかも、東京だけは感染拡大防止のため除外されるイケズな目に遭う。
僕の住む京都市では、各地で祭事やイベントが目白押しなのに、ほぼすべて中止に。
観光で持っていた地元経済はあっけなく崩壊、もはや瀕死の重傷。
仕事の休みが待ち遠しかった僕も、娯楽の大半を奪われ、
やる気が削がれてしまい、家の掃除をしたりゴロゴロして過ごすことが多くなりました。
そんな何もない休みの夜のこと。
車で平安神宮の前を通りかかると、歩行者専用道路がなんだか賑やかそう。
何をやってるんやろう。思わず車を止めて、賑やかそうな方向へと駆け寄ると。
縁日のように露店が並び、その中央に組まれたやぐらには軽快なトークをするDJが。
周囲では大音量で流れる音楽に合わせてたくさんの人たちが自由に踊ってるやん。
誰もがノリノリで歓声を上げてます。
その輪の端にいるだけで、得も言われぬ高揚感が自分の内側から激しく湧き上がってきたんです。
今では「常識」のマスクをつけてる人はおらず、
大半の露店には、お客さんと店員さんを隔てるビニールシートもありません。
ここには、かつて当たり前だった賑わいが、楽しさがありました。
ああ、そうや。
僕が、僕たちが今求めているのはこれなんや。
ソーシャル・ディスタンスなんて、くそ食らえですよ。
先ほどまでの墜落寸前だったテンションの低さはどこへやら。アクセル踏む力も強くなり、エエ気持ちで帰宅しました。
明日からの一週間も、そのノリのまま突っ走れそうなほどに。
「巣ごもり」なんて言ってないで!
梅雨も明けたんですもん、外に出てコロナウイルスを吹き飛ばす勢いで遊ぼうぜ。
(2020.8.2)