あなたのお名前なんて〜の?




自分に与えられた名前。

僕はずっと嫌っていた。

一般的でありきたりすぎる呼び名であること。それなのに9割がた読み間違われる漢字

一族の男に伝統的につけられてきた、漢字一文字というのも気に入らなかった


自分の名を正しく読んでもらえない腹立たしさ。

そしてやはり、友人たちのように「苗字二文字+名前二文字」とバランスの整ったのがいい。



中学生になる頃には、15歳になれば自分の意思で名前を変えることが出来るのは知っていたし、現に身内に改名した人がいた。
その人も、ありきたりな一文字の名から、他では見たことがない、読み方も異なる二文字の名に変えていた。

僕もそうなりたい。
読みはありきたりなままでいいからせめて二文字にしたい。どんな漢字が似合うだろうかと頭を悩ましていた。



そうしているうちに高校生になった僕は、新聞の読者投稿ページに投稿するようになり、ペンネームが必要となった。

今、名乗っている「えいまる」は、その当時のペンネームの一部をアルファベットから平仮名にしたものだ。
誰にでも読んでもらえる名でありたくて、つけた。
読み間違えられる本名に対する自分の分身である。



いつからか、キラキラネームなどと言われる、
オリジナル性を強調した名前を目にするようになった。

わが子に唯一無二を求めたい気持ちは分かる。

でも名付けられた方はどうなのだろう。


本当にその名で、よかったですか。

本当にその名を、堂々と名乗れますか。

本当にその名で、幸せですか。



結局、改名することなく、自分の名前と真正面から向き合っている。

幸せですよ、親が与えてくれたこの名前であって。


(2019.4.29)