五大力さん





京都の多くの家で見られるお札(ふだ)のひとつに、
災難・盗難除けとして掲げられる「五大力尊御影」(ごだいりきそん みえい)と呼ばれるものがあり、
我が家にも玄関の扉の上に鎮座しています。



伏見区醍醐の醍醐寺(だいごじ)の1100年以上の歴史がある大法要
「五大力尊仁王会」(ごだいりきそん にんのうえ)にて、御影を授かります。

そのイベント(?)全部をひっくるめて「五大力さん」と呼んでいます。



上醍醐の五大堂にまつられている五大明王(=五大力さん)の功徳をたたえ、
国の安全や人々の安泰を祈る
もので、毎年2月23日に行われます。
週末開催とかではなく日時固定ですが、令和の世の続く限り祝日ですので、お参りしやすいと思います(笑)。



この日に限り、1週間にわたって和尚たちが上醍醐の五大堂で祈祷を込めた御影が授けられるので、
醍醐寺には10万人もの人々が押し寄せます。


もし売れ残ったら、昨年(2007(平成19)年)大流行した、食品の消費期限を延長する偽装工作よろしく、
日付を翌年のに書き直して売るかどうかは定かではないが(笑)。





たかが御影と侮ってはいけない。御影はB5サイズくらいあり、2000円もするんですよ。





えーと、ひとり1体 買った 授かったとして…、@2000(円)×100000(人)=2億円
坊主丸儲けやがな(笑)。

罰あたったら困るから、ここで卑しく計算してることを醍醐寺に密告したらアカンでぇ。



おや?
醍醐寺限定商品(?)のはずでプレミアがつく御影が、醍醐寺のHPから通販で授かれるようになってるやないか!!
この寺どんなけ商売してんねん。2月23日に醍醐寺で授かるからこそ価値のあるもんやろ?



------



そして忘れてはならないビッグイベントが、餅上げ力奉納(もちあげ ちからほうのう)です。

ばかデカい鏡餅を持ち上げ、その力を五大明王に奉納することで、ご利益を授かります。
御影を授かるのより、こっちのほうがイベント的に有名になってしまった(笑)。



これも1100年の歴史があるのかな〜と思ったら、戦後に始まった歴史の浅いものです。


   終戦後の物資不足の折、信者らがご利益を授かるようにとお米を持ち寄り、
   大鏡餅を供えたことが起源となっているようです。


ちなみに、持ち上げる鏡餅の重さは、台座込みで、女性用が90kg、男性用が150kgあります。
それを持ち上げ、どれだけ持続できるかで順位を決めます。




参加費もタダやし、とにかく一度チャレンジしてみるかと、
家から自転車をキコキコ漕ぐこと15分、醍醐寺にやってきました。






2008(平成20)年2月23日、日曜日。


5年ぶりの週末開催になったからか、
ものすごい数の人々が境内に吸い込まれていきます。
感覚的にはGLAYの野外コンサートと見紛うほどです。行ったことないですけど(笑)。



ま、野外コンサートと大きく違うのは、客層というのか、やって来る年齢層が…。
御影を授かる人々の列の平均年齢は60歳くらいやろう。
その列はゆうに100mは超えていますが、それを横目に会場である金堂(本堂)前へ。





そこには特設のリング…もとい舞台が設置され、それを幾重もの観客が取り囲み、

さながらプロレス会場みたいです。






周囲には奉納された大鏡餅が並べられています。
紅白の餅のピンク色は、ショッキングピンク系で毒々しい(笑)。




挑戦者は12〜64歳の男女合わせて76名。



いかにも特訓してきました!みたいなヤツもいます。
ジャージ姿に肘ヒザにサポーターまで巻いて、何かのスポーツと勘違いしていないか?



優勝(「横綱」の称号が与えられます)目指して、それ専用の私設道場を開いた夫婦の話が新聞に載っていましたし。
ほかにも、マッチョ野郎御用達の「ゴールドジム」の連中まで大挙して来てる!
(しかもその様子をブログに載せてるやん)



もはや「力奉納」ではなく、「力自慢」ですわ。
その中の一人である、何の準備もしてない僕は、冷やかしにしか見えません(笑)。
さらに前日に筋トレをしずぎて、体のあちこちが筋肉痛です。
法要をおちょくるとは、まさにこのこと(笑)。




肝心の賞品は、
1位が 「餅上げ力奉納」で持ち上げた ばかデカい鏡餅の上段、ピンク色餅(推定60kg)、
2位が 同じく下段の白色鏡餅の2分の1(推定35kg)、
3位が 同じく下段の鏡餅の4分の1(推定17.5kg)。


餅だけ?副賞に何かあるのではないかと期待してみましたが、本当に餅だけみたいです。




12時より女子の部から始まり、続いて13時過ぎから男子の部です。
男女とも最初の3人にはマスコミ各社の写真撮影があり、舞台は20人ほどの彼らで占拠されます。
僕たち舞台下で見てる人は、マスコミがジャマで奉納者が全く見えません(涙)。




撮られた計6人のうち、各紙に掲載されたのは、若くて一番可愛い女性、ただ1人でした。
あとの5人の写真は抹殺(笑)。

マスコミども、お前ら顔で選んだやろ。一番最初に奉納したオバサンは餅を持ち上げたのに、
それを載せず、持ち上がらなかったカワイ娘ちゃんを載せるなんて。
男のほうは揃ってムサかったから載せなくても許すが(笑)。




つぎつぎと競技…じゃなかった、奉納がなされていきます。
持ち上がると、観客から「おぉ〜っ」と、どよめきや歓声が上がります。


餅がビクとも持ち上がらずに、審判役の老和尚に「そこまで」と中止をさせられたり、
逆に、勢い余って抱えた鏡餅ごとひっくり返り下敷きになったり尻餅をつく参加者も多数
つく餅を間違えてるど(笑)。




来なくてもいいのに、オヤジも見に来ていました。
オヤジ、持って来たデジカメを見せながら「動画で撮ろうか?」

永久に恥さらしになりそうやから、いらん (-_-x) 静止画希望。






自分の順番が近づき、舞台に上がり袖で待機します。
本当に舞台にいる証拠に、他の人の奉納シーンを無断撮影(笑)。






さらにそのシーンをオヤジに激写されるorz






僕の順番が来ました。
司会担当の和尚さんに意気込みを訊かれ、
「少しでも上がるように頑張ります」



このときは、冷やかしといいながらも、少しは自信があったんです。
コケた200kgオーバーの「2相棒」を難なく起こせたのだから、
それより軽い鏡餅など大したことないやろう。




果たして 自分と初めて対峙する、紅白の巨大鏡餅。
大きく深呼吸し、鏡餅の背後にひかえる金堂に軽く一礼。


おもむろに台座に手を掛け、
他の人のやってたように、まず台座を手前に引き寄せ、ひざの上に台座を載せるように引き起こす…。
おっ、重い!!持ち上げる前からパワー全開です。あれだけにぎやかな周りの歓声も耳に入りません。



だりゃああぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁ━━━━━━!!!!!!!!!!!!



雄叫びに周囲は失笑したことでしょうけど、プライドなどありません。今は持ち上がるか持ち上がらないかの勝負や!

写真でみたら、僅かながら浮き上がっていますが、これではダメです。
ここから背筋を使い抱え込むようにして持ち上げるのですが、重くて上がらない!





結局餅のほうに軍配が上がり、僕の初挑戦は「記録ナシ」で終了(涙)。


当然ですが、単なるパワーだけでは制覇は出来ません。持ち上げるコツがあるんです。
現に今回の優勝者は、女性は50歳(7分26秒)、男性は42歳(4分39秒)でしたからね。




参加賞は、紅白の小餅でした(あんまりおいしくなかったです)。
来年こそは持ち上げてやる…と心に誓い、醍醐寺をあとにしました。



お賽銭をせず、お参りもせず、餅上げだけして帰った罰か、ひざの周囲が青染んで腫れてきました。
どうやら150kgの重みがひざにきたようです。歩くのも少々うずくんですけど。

次のマラソン大会まで2週間なのに、足を傷めて何をやってるんや おれは orz