誰のための42.195km?




東京マラソン(※外部リンク)の大成功をきっかけに健康志向と相まって、
いわゆる「第二次マラソンブーム」が沸き起こっていますね。
そりゃ3万5000人も出走していて完走率が99%近いのだから「自分もフルマラソンを走れる!」と思いますもん。




僕の日課としているランニング歴は学生時代から続く長〜いものですが、
夜に一人ぼっちで走っていたんですよね。


ところが最近では、ランニングしてる方を多数見かけます。
別に一緒に走るわけではありませんが…、同志がいるというだけでも心強いものです。


だって、マラソンが流行る以前は、
夜中に一人で走っていたら前を歩いてる女性が逃げ出したり
しましたもんね orz
おれ変質者ちゃうがな!!




そんなわけでマラソンです。この競技は最も簡単。

ただ走るだけです(笑)。



走ると言えば、小中高校での50m走や、運動会での徒競走。
そして、中・高校の持久走が思い浮かびます。



まぁ僕は陸上部出身で毎日走ることに明け暮れ、走り慣れていたので、
毎年冬に行われる体育の持久走は授業時間中に2時限も校外に出られるチャンスと、
今考えても変な喜び方をしながら走っていました(笑)。

が、大方の生徒は長い距離を走るのが嫌で嫌で仕方がなかったんじゃないですかね。



なのに、今じゃぁ健康のためにとか理由つけて昼休みの河川敷などで「にわかランナー」が走りまくり、
各地の市民マラソン大会が大盛況だったりします。




僕が毎年エントリーしている「高槻シティ国際ハーフマラソン」(※外部リンク)は、
以前ならエントリー締め切り日直前でも悠々と申し込みが出来たのに、
マラソンがブレイクしてからと言うもの、早くに定員オーバーで締め切られてしまいます。


今年(2011(平成23)年)の大会は、僕が申し込みをしようとした時には、いつも出場しているハーフマラソンの部は
定員オーバーで締め切られていて、仕方がなく枠に空きがあった10kmを走った次第。




走るだけならお金もかからず誰でも手軽に出来るからと始める方も多いようですが、
いきなり走ったためにアキレス腱を切っただの、靭帯(じんたい)を損傷しただの、肉離れを起こしただの…。

運動を起因とするケガ、いわゆる「スポーツ障害」の原因で最も多いのは「昔やっていたから」といきなり無茶をしたこと。

年齢とともに体力は衰えるから、昔のように体はスムーズに動いてくれないんですよ。



ただ走るだけであっても、そこにもコツやテクニックと言ったものがあります。
それは難しいことではない。でも一朝一夕で出来るものでもないのです。

現在体重が90kg近くある僕が長い距離を走り続けられるのは、
かつての陸上部での練習を通じて知らず知らずのうちに「走り方」を会得していたから
他ならない。




東京の後に続けとばかりに、関西圏では昨年(2010(平成22)年)12月に「第1回奈良マラソン」(※外部リンク)が行われました。
エントリー料が8000円もするのに、定員1万人が先着順で5日で埋まるほどの人気ぶり。


そして、今年(2011(平成23)年)は大阪でフルマラソン(※外部リンク)が初開催されます。
参加費が1万500円とマラソン大会としては大変高額ながらも、大阪の御堂筋を走れるなどで人気が高まりそうです。




そして、我らの京都でも二匹目のドジョウを狙うべく、
フルマラソンの「京都マラソン」を2012(平成24)年3月に開催します。



それまで毎年行われてきた「京都シティハーフマラソン」(21.0975km)を
財政難を理由に2009(平成21)年の大会を最後に中止
にしておきながら、また復活とは…。

なんかおかしいと思わへん?




それはともかく、百聞は一見にしかず。
京都マラソンのコースはどないなものか、二の足ではなく自転車で走ってきました(笑)。




西京極陸上競技場をスタートし、平安神宮前の大鳥居がゴールの42.195kmです。



↓当初案のコース






↓最終決定したコース







東京マラソンや大阪マラソンと大きく違うのは、コースの難易度です。

上記の両コースともほとんど平坦なんですよね。僕が唯一走るフルマラソン大会の「京都木津川マラソン」も平坦な部類です。
平坦が好まれるのは言うまでもなく、走りやすいからです。



それらに比べて京都のは、聞いて驚け。最大高低差が75mあるんですよ。
山岳コースじゃあるまいし、都市型マラソンでこれだけコースがアップダウンする大会は稀だと思います。

しかも、前半に上り坂が集中



西京極をスタートし、約5kmで訪れる広沢池から先、上賀茂御園橋までの長い区間は、ほとんどずっと上り坂


ここで多数の市民ランナーが脱落し、初フルマラソンの方はマラソンが大嫌いになること請け合い(苦笑)。
ここを自転車でひーひー言いながら走った僕が言うのやから間違いないって(笑)。




北山通で一息つけると思った途端に、狐坂で国際会館へ。
平均上り勾配が7%とかなりキツいので、さらにランナーが脱落(笑)。
しかも国際会館で折り返して今上ってきたばかりの狐坂を下らせるとか。こんな下り坂走ったらヒザ痛めるわ(涙)。



続く鴨川河川敷は地道なので、
晴れていたらランナーたちが巻き上げる砂ぼこりが目や口に入って結膜炎や気管支炎の僕には拷問。
雨ならぬかるんで走りにくくシューズは汚れるし、足をとられて転倒必至。



最後に今出川通の東行きで最後の上り坂。何回坂を上らせるねん(怒)。




自転車を漕ぎ漕ぎ3時間。
ゴールの平安神宮の鳥居が見えたときは、涙が流れるほど嬉しかったですよ。
自転車でこれ以上走らなくていいのかと思うと(笑)。

好きな自転車で好きな京都市内を走っていただけなのに、どうしてこんなに苦痛を感じたのやろう…。



それは坂道の多さだけでなく、「観光名所を巡るコース」と謳いながら、
そのほとんどはいわゆる市街地ではなく山手に近い「洛外」の「観光地の近くを通るだけ」で、
実際にはそれらを見ることすら出来ない失望感
がプラスされているのやろう。


このコース、実際に二の足で走って作ったものではないやろな



ちなみにコース中にマトモに見られる名所は、広沢池と仁和寺&今宮神社の山門、それと見ても嬉しくない国際会館だけです(笑)。
桂川や賀茂川〜鴨川の河川敷の風景もいいですけど、草木も芽吹いていない3月では陰気くさいんやね。



そういうわけで、自転車で走っても泣かされるこのコース、
実際のレースでは果たして制限時間の6時間で出走者の何割が「生還」出来るのやろうね。



以前開催されていた「京都シティハーフマラソン」のコースが秀逸だっただけに、フルマラソンに期待しすぎたのかな。

大体、市街地全域が観光都市である京都盆地で大規模な交通規制をして、
市民生活や観光客の足を奪ってまでしてやるべきものではないよ、市民マラソン大会は。



京都市サイドで開催に先立ち意見を募集していましたので、激辛のコメントを送らせていただきました。



その内容を少しだけ触れておくと、「フルマラソンをナメてるやろ」
平坦な木津川マラソン(フルマラソン)ですら5時間以上かかった僕には京都のフルマラソンは走りきれない orz




参考資料:京都新聞2010年10月29日付朝刊



そして、東日本大震災よりちょうど1年となる2012(平成24)年3月11日に「京都マラソン2012」は盛大に開催されました。


懸念されていた交通渋滞はほとんど無いどころか、レース時間中の交通量が休日の夜間並みに少なくガラガラだったこと。
僕は沿道への応援に自転車で行きましたが、これならバイクで行っていても全く問題なかったですね。
京都市民は協力的だった、と。これは意外でした。


さらに驚いたのは完走率
コースの難易度が高く、制限時間が6時間ということを考え、完走率80%くらいと予測してましたが、
実際には95.3%と、ランナー20人中19人は完走したという事実でした。

沿道にも48万人も来ていたそうで(僕が見ていたところでは、そんなに人が居なかったけど…?)、
マラソン大会としては成功かな、と。

見ていた僕も走りたくなったし(笑)。



ただ、コースのバランスの悪さは直すべきやわ。
前半が坂道が多くて体力を奪われるし、
距離を稼ぐために作ったような北山通り周辺の折り返しの多さは気が滅入ってNG。
終盤の賀茂川〜鴨川の地道の河川敷も問題やね。




参考資料:京都新聞2012年3月12日付朝刊



2013年に開催された第2回大会のあとに、たいへん不評だった後半のコースが変更されることが検討され、
2015年に開催される(はずの)第4回大会より、コースを一部改めることになるかも…らしいです。


ランナーのやる気を削ぐだけの狐坂をやめて
代わりに植物園の中を走らせたり、市役所前広場を走らせるようです。
これにより、折り返しポイントが更に増えることに。


コースを作ってる人は、疲労が増す中180度ターンすることがランナーにとって、どれだけ負担がかかるか何も分かってないんですね。

市役所前など走らせるくらいなら、
旧シティーハーフマラソンのときのように御所の周りを走ったほうが、よっぽど京都らしいと思うけど。

地道である加茂川/鴨川河川敷もそのままやし。並行する加茂街道を走らせたらいいのに。


参考資料:京都新聞2013年11月9日付朝刊