ターンテーブル・オンステージ



おことわり

当コラムの内容は掲載当時(2009(平成21)年)当時のものであり、現在は「京都鉄道博物館」の一部となっています。




蒸気機関車(SL)が大好きです。
黒光りした大きな車体に、大きく吐き出す煙に、周りの空気を激しく振るわせる、音。
そして、SL全体からほとばしる力強い走り。



何をやらせても弱かった 幼きころの自分にとって、その男らしさを感じる姿はあこがれでしたね。
圧倒的な存在感と躍動感は僕だけでなく、子どもたちなら大喜びでしょ。



僕の親から聞いたSLにまつわる話で秀逸だったのは、


トンネルでは必ず閉めなきゃいけない窓をわざと開けて、車内を煙だらけにし、
乗客の顔がススで真っ黒になって、あとで思い切り叱られた。




それ面白いやん!!
観光用にSLを走らせているところがありますが、そこで必ずや実践して叱られてみたい!
いい歳こいた大人の僕の瞳だって少女漫画の女の子のように輝くがな(笑)。




僕の住む京都の最寄のSL路線に、滋賀県の湖北、米原→木之本で運行している「SL北びわこ号」があります。
が、運行区間にトンネルが無いんですよねぇ。
もう少し足を伸ばして福井県の敦賀まで行ってくれたら、長いトンネルがあるのに ( ̄ー ̄) 




ま、それはいいとして。
われらの京都には、古都としての歴史だけではなく、SLとたわむれ放題の施設があります。
施設の多数が国や市の重要文化財に指定されている、その名も「梅小路蒸気機関車館」



僕からは一言で解説↓

要するに、SLに特化した鉄道博物館ですね(笑)。ちなみにニホンで唯一のもの。


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地元民である僕が、見るからに楽しそうな市内の施設に足を運ばないのはいかがなものか。
仕事をすっぽかして行ってきました。



2009(平成21)年3月27日。晴れ。
弟のJOGを借りて走ること約20分。カフェカブでもおなじみの梅小路公園に到着です。
ここはもともと、JR貨物の梅小路駅だったところを平らにして、市民の憩いの場にしたものです。
なので、都市部の公園としては十分な広さを持っています。
その奥に、本日の訪問施設「梅小路蒸気機関車館」があります。



それはJR嵯峨野線(山陰本線)の陰にありまして、とっても目立ちません。実は場所が分からず迷いました(笑)。
ついでに言うと駐輪場はそれ以上に目立たないJRの高架下にあり、
ニホンの生きた鉄道の歴史を学べる場にふさわしくない出で立ちです。



ロケーションはともかく、
建物はニホン最古の木造の駅舎である旧・二条駅舎を移築したもので
重みのある立派なものです。
その脇に、SLの車輪の実物オブジェがありまして、記念写真を一枚。
車輪、デカいですねえ。身長174cmの僕とほぼ同じ大きさですよ。





では中へ入りましょう。400円の入場券を券売機で買おうとすると、
横に「『ICOCA』でお支払いいただけます」と書かれています。
さすがJR西日本関連の施設。駅のコンビニ「ハートイン」同様に自社の電子マネーで決済できるシステムがあるのか。
便利な世の中になったもんやね。


それじゃ、僕もICOCAで入場料払いますわ〜。


パネルにICOCAの入っている財布をタッチ一秒。決済完了!!


ブーッ


あれ、お支払い出来ひんやん。財布に入れたままタッチしたから読み取り不良したかな?
と決済画面を見ると、


「チャージ残高 370円」


残高不足やがな orz
多数の入場者がいる前で真っ赤になりながら、再び隣の券売機で現金400円を投入する僕がいました(涙)。



いきなり恥をかきましたが、なんとか入場に成功。


↓2009年当時のもの




↓2015年当時のもの





旧駅舎の中は資料展示場となっていて、
国内外のSLの模型展示や、ビデオ上映室、SLの運転を擬似体験できるコーナー、お土産販売
などがあります。


春休みだけあって、親子連れが目立ちます。
その中に紛れ込んだ髭坊主devオヤヂの僕が のしのし歩いて見物しているさまは、違う意味で目立っています(笑)。
平日の昼間にこのような場所にいる単品の大人など、ろくな人生歩んでなさそうと思われてへんかなぁとか、
余計な心配してましたわ(笑)。




旧駅舎を出て機関車展示場へ移動。
僕の目が奪われました。

転車台を中心に放射状に線路が伸び、
その先には、国の重要文化財である扇形の大きな車庫


あまりに大きいので、写真を4枚繋いで やっと収まりました↓







SLがずらっと勢ぞろいしています。18両が保存されていて、
そのうち7両は
いつでも走らせられる「動態保存」です。


近づいてSLを撮影。天皇陛下が乗る客車を牽(ひ)く「お召し列車」も見られます↓


動態保存車両の中で、C56形やC57形は今でも「SLやまぐち号」として活躍しています。



すごい迫力です。



自由な見学が基本でして、気ままに眺めたり写真を撮ったり。
視界いっぱいに広がる非日常に、子どもたちの興奮のボルテージは振り切ったまま。
おれも負けじと振り切ってたで(笑)。



場内放送がかかりました。

これから「SLスチーム号」が運行するようです。



これは、動態保存されているSLの維持管理を兼ねて、
乗客を乗せて、梅小路公園内を往復するというものです。


憧れのSLが牽く客車に乗れるのですから、
子どもたちの振り切ったボルテージが最高潮に達します。
はーい、僕も乗りま〜す!!
ボルテージが壊れた(-_-;) 僕も200円の乗車券を買って、客車に乗り込みました。


乗る前に、係員が乗車券に(はさみ)を入れてくれるんですよ。
どっかの無機的な自動改札と大違いや(笑)。
見渡すと、乗客は親子連ればかり。
髭坊主devオヤヂの僕はやはり目立っています orz


本日の「スチーム号」を務めるSLは、1914(大正3)年製造の「8620形」8630号です。
あっちにある でっかいデゴイチ(D51形)のほうがよかったのになぁ〜。


ま、いいや。動くSLを堪能できるだけでも嬉しいもんね。




ポオォ〜〜〜〜〜〜━━━━━━ッ!!




長い汽笛。シュッシュッシュと煙を上げ、僕たちを乗せた客車がゴトンと動き出しました。
客車には「線路はつづくよどこまでも」が流れています。
SLは梅小路公園の縁と、真向かいのJR東海道本線(JR京都線)の間の専用軌道を、時速20kmくらいでのんびり走ります。
なので、公園内を散策されてる方々や、通りかかったJR在来線の乗客の視線をたっぷり浴びられます(笑)。



わずか10分ほどの旅ですが雰囲気を堪能できました。
どっちかというと、大人より、子ども向けといった感じですけど、ビッグ・チャイルドの僕だから良いのだ(笑)。


僕が乗車したのは、本日最終となる 3回目の15時半の運行。


最終便は乗客を降ろした後、燃料の補給や掃除のため、
転車台に乗り、回転するSL
を見せてくれます。
とことんサービスしてくれるねぇ。
梅小路蒸気機関車館のHPでその動画が見られますが、
ナマの迫力
には敵いません。



転車台の周りに子どもたちが集結して微動だにしてませんでしたが、
大人の僕も視線が釘付け
でした。

これを見るためだけに入場料を払ったと言っても過言ではありません。
機関士さんの仕事は、電車の運転士のそれとは比べ物にならないほど重労働なのは
本などを読んで知っています。


でも、子どもたちの笑顔に触れ、
笑顔で返していたその彼はヒーローの一員なんですよね。



僕は、こういう 子どもたちに夢を売る仕事を目指すべきやったな…。



僕の頭の中もすっかりSL一色に染まって梅小路を後にしました。



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鉄道は年々スピードアップし、乗り心地も向上していってますが、
たまには、ゆっくりの時を堪能するのはいかがですか。


(2009.7.10)