3750万円の咆哮
ゼウスといい、今回のコラムの主役といい、僕にはモノの価値を見出す目が無いのやろうか…。
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以前にヤマハの企業ミュージアムに遊びに行ったときのことをコラムにしたためましたが、
そのときに載せなかった写真があります。
僕にとっては全く興味をそそらなかったし、
ヤマハの製品の紹介をする場なのに、それだけは全く他社の製品だったからというのもあります。
それは、他社製品にもかかわらずフロア中央付近の最も目立つ場所に
デーンと置かれていたので無条件に嫌悪感を覚え、
なぜそれがこのような場所に置かれているかなども考えることすらせず、
僕の中で意識的に「無かったこと」にしていたんです。
が、ある新聞記事が、その「無かったこと」を不意に思い出させてしまったのです。
以前、どうぜジョーダンやろうと高をくくっていたヤマハの四輪車事業参入について。
どうやら当のヤマハは冗談ではなく本気のようなのです。
とはいえ、
市販の四輪車生産の実績がないし、搭載する1000ccのエンジンといっても、
たとえば…、ピュアスポーツバイクのYZF−R1の1000ccエンジンを車にポンと載せるのは
性能の問題からして現実的ではないよなぁと思っていたんです。
一から作れるのか、と。
ところが、↑の新聞記事に色をつけた一節(3段目の3行目から)で僕の目が留まりました。
トヨタはヤマハと技術提携をしている。
この記事と僕が載せなかった写真がひとつの線で結ばれた瞬間でした。
だから「あれ」が自慢げに置かれていたのか…!!
では、お目にかけましょう。
ヤマハの企業ミュージアムなのに展示されていた他社製品は、これやっ!!
トヨタの高級車ブランド、レクサスの最高級車、「LFA」。
お値段は国内の市販車としては最高となる3750万円。
全世界限定500台のスポーツカーです。
隣の黄土色の車は同じくトヨタの2000GT(1967(昭和42)年式)。
なんでこんなモンが自社製品よりシャシャリ出てくんねん!とそのときは憤ってましたわ。
だから嫌悪感を覚えて「無かったこと」にしていたのに、なぜこんな写真を撮ったのか覚えてません。
でも、そのおかげで
国内最大企業がバイクメーカーにひれ伏す決定的な証拠をお見せすることが出来るのです。
LFAの横にそのエンジンが展示されていますが、そこにはこんな文字が。
↑写真をクリックすると、新しいウィンドウ/タブで原寸サイズで見られます。(写真サイズ:1600×1200ピクセル、388kB)
実は、LFAに搭載されている4800cc・570馬力を発生させるV10エンジンは
ヤマハが作ったんです。
エンジンに組み立てた人の名前まで入れるなんて、よっぽど自信がなきゃ出来ひんよ。
トヨタは以前からヤマハよりエンジンの提供を受けていて、
2000GTはトヨタブランドで販売されていましたが、全て生産はヤマハに委託されていました。
このときから両社の蜜月が始まっていたんです(笑)。
トヨタ レクサスのHPのLFAのページには
「それは、アクセルを踏み込んだ瞬間、 クルマ全体で呼応するレスポンス。 高回転型エンジンによるどこまでも果てることのない加速感。 そして、その咆哮だけでLFAであることを 主張するエンジンサウンド。 すべては、乗る者を非日常の世界へ導くために。 LFA。走る愉しさは、今、陶酔の境地へ。」 |
なーんて書かれていますが、
エンジンサウンドも楽器メーカーの顔を持つヤマハが作り上げた傑作なんですよ。
それやのに、あたかも自分の手柄のような顔してカッコつけるなトヨタッ!!
つまり、国内最大企業・トヨタの最高級車はバイクメーカーの力を借りなければ存在できなかった、と。
(*'´艸)( 艸`*)プッ とんだお笑い草や〜。
僕的には方向性がいまひとつ掴みきれないヤマハですが、これからも掴みきれない技術で四輪車界も席巻してくださいな。
参考資料:京都新聞 2013年12月18日付朝刊