似非サイドカー
あのとき、こんなにも突拍子もない乗り物と分かっていたら、もっと注意深く観察したのに…。
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さて、今回ご覧に入れますものは、大分県の国東半島の南側、
杵築(きつき)市の城下町を訪れたときに出遭った乗り物。
それは、車の駐車スペースに普通に停めてありました。
最初に見つけたときには、単純に カッコいいサイドカーやなぁ、と。
ジロジロ見ているところへオーナーが戻ってきて咎められたらイヤなので遠目に眺めていたのですが、
しばらく経ってもオーナーが戻ってこないので、もっと間近で見てやろうと観察モードに。
細部をよくよく見てみると、なんだか「普通の」サイドカーとは何か違う…。
「側車」だけではなく、「バイク」のタイヤとホイールも まんま車やん。
「バイク」にはフロントフォークがなく、
フロントタイヤの右側から延びた片持ちのシャフトにサスペンションが取り付けられています。
下を覗き込むと、「バイク」+「側車」のサイドカーではなく、
なんと、「バイク」の後輪と「側車」の車輪がドライブシャフトで繋がっていたのです。
つまり、この乗り物は、サイドカーのスタイルをしたトライク。
「側車」が「バイク」の右側についている「左ハンドル仕様」なことから、外国製ということはすぐに分かりました。
「バイク」も どこのメーカーの何というモデルがベースかも分かりませんでしたが、
世の中には面白い改造をする人がいるんやな〜。
…それがそのときの率直な感想でした。
写真には収めましたが、とりあえず撮っておくか〜、程度でした。
当時の僕の認識は、あくまでもサイドカーを改造した乗り物というレベルでしたので、
特段記憶にも残らず、すぐに忘れてしまいましたよ。
後に、撮った写真をパソコン上で整理しているとき、不意に この改造サイドカーの写真が出てきまして。
そういや、あの乗り物は何やったんやろう。
車体に刻まれた文字から何か分かるかもと
たいした期待もせずネット検索をしてみると…とんでもないことが分かったのです。
そのときに分かったのですが、
この「バイク」のハンドルにはクラッチレバーもブレーキレバーもありません。
アクセルすら右手で回しません。
「バイク」の右足側にアクセルペダルとブレーキペダル、左足側にクラッチペダルがあり、
車のような操作性を持っています。
そして、エンジンが「側車」の下にあり、
そのエンジンはなんと、プジョーの2000ccのDOHCを積んでいるんです。
おかげで、「バイク」のシート下は特に搭載すべきものがなく全てトランク。
なぜかマフラーは「バイク」に取り付けられています。その後姿に「これはバイクやな」と騙されてん、おれ。
つまり、バイクに「側車」がついているのではなく、車に「側バイク」がついている!!
サイドカーならぬ、さしずめサイドバイク。
(そうは言っても、操作はバイク側で行うんですけど)
フランスのサイドバイク社という そのまんまの名称の会社が作っている
「メガゼウス」という名の3輪の車なんだそうです。
だから、ベース車両がどうのこうのではなく、最初からこの形で生産されている模様。
本国ではどういう扱いなのかは分かりませんが、ここまで手の込んだものを作るなんて、
開発者は、車の免許しかないけれど どうしてもバイクに乗りたい!なる執念でもあったのやろうか…。
長さはバイクよりちょっと長い程度ですけど、
幅は1890mmと どっかの燃費の悪い外車なみにワイドなボディ(笑)。普通の駐車場やと停めるのに苦労するど。
ちなみにお値段は500万円超。
一体どういうお方が所有しているのか知りたいわ(笑)。